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刹那

ねーねー!由紀

由紀

なによ刹那!

刹那

明日も僕と遊んでくれる?

由紀

仕方ないわね。

僕は【河霧 刹那】(かわぎり せつな) 名前で皆は僕をいじめてきた。 だから僕は友達がいなかった

ただ、1人。僕の幼なじみを除いたら……

幼なじみの【釧路 由紀】(くしろ ゆき) 同じ学校の生徒で僕なんかと違い色んな友達に囲まれてとても充実した生活を送れてるのに僕なんかと遊んでくれる

刹那

なんか、僕なんかと遊んでもつまんないよね

由紀

………。

由紀

何言ってるの?

刹那

だって、由紀は僕と違って友達もいるしイジメなんて程遠い存在じゃん……

由紀

私はあんたといる時が1番楽しいの!

刹那

いいよ。そんな同情とか……

由紀

違うよ!私は確かに友達に囲まれてる。でも、みんな上辺だけの付き合いだって思ってる

由紀

でも、刹那は違う!気は弱いし、すぐ落ち込んだりネガティブになるけど、私の周りの子にはない

由紀

【綺麗な心とその優しがある】だから、私はあんたといる時が1番好きだしすっごい楽しいの!

刹那

ほ、ホント!?

由紀

だから、そうやってクヨクヨしないでよ!!男の子でしょ?

刹那

う、うん!

この時から僕は由紀に恋をしてたのかもしれない。それから毎日一緒に遊んだ。学校ではいつもみたいにイジメを受けてた

でも、由紀と遊べる。僕の唯一の親友がいる。だから、僕はそんなイジメなんてどうってことは無かった

それから時はすぎて、小学校の卒業式後 僕が由紀を呼んで今までの想いを伝えようと決意してた。でも、待ってたのは絶望だった

刹那

由紀……まだ来ないのかなぁ?

刹那

やっぱり友達が多いから僕のこと忘れちゃったのかな……

刹那

でも、最後にこの想いだけは伝えておきたい。だから、早く来て欲しいな……

ずっと待ってた。学校の大きな桜の木の下そこでずっと待ってた。いつか現れる由紀をずっと………

刹那

……。やっぱり来ないか

刹那

そうだよね……僕なんかより他のこといた方がいいもんね…

由紀の母

いた!ねぇ君が刹那君よね?

刹那

は、はい。

刹那

あの、誰ですか?

由紀の母

由紀のお母さんよ。それよりも由紀は何処にいるか知ってる?

刹那

わからないです。僕も由紀の事ずっと待ってて…

由紀の母

そう……。刹那君も知らないのか

刹那

あの!!

由紀の母

ん?なーに?

刹那

由紀になにかあったんですか!

由紀の母

それがね、なんか急に荷物置いてどっか行っちゃっておばさんも分からないのよ。

刹那

由紀が1人でどっかに行った?

由紀の母

でも、確か裏山に行ってくるとか言ってたかな?

刹那

裏山ですね!ちょっと僕行ってきます!

由紀の母

あ!ちょっと!!

刹那

僕のお母さんに伝えといてください!!

由紀が1人で裏山に行った!裏山には僕をいじめてきた奴らの縄張りがあるからもしかして僕のために乗り込んだんじゃ……

ダメだ!由紀はそんなことしなくていい!そんな、危ないことは僕だけでいいんだ!もう、大切なものは無くしたくないんだ!

〜裏山〜

刹那

何処だ……何処にあいつらの縄張りがあるんだ……

刹那

あれか?人工物がいくつか建ってる。どれも、ボロボロで今にも崩れそうな建物だ

刹那

でも、なんだろう。この変な感じ…

刹那

なにかすごい寒気がする……

刹那

とにかくあそこに行かないと由紀の居場所が掴めない!殴られても蹴られてもいいから…由紀だけは見つけないと……

クソガキ

ん?おいあれ…

クソガキ

おー。刹那君じゃんw

クソガキ

こんなとこまで来てどーしたの?

刹那

ゆ、由紀はどこにいる?

クソガキ

由紀?あぁ、お前と仲良くしてるあの女かそれならこの先に行ったよ。

クソガキ

まさか、この先でお前が溺れてるなんて嘘ついたらまじにして行ってやんのw

クソガキ

そもそもここにお前が来るわけないのになww

刹那

……。

ゆっくりとそのいじめっ子達に近づき リーダーでありそうな奴の胸ぐらを刹那は思いっきり掴んだ

刹那

ふざけるな!!

クソガキ

けっ!なんだぁ?俺らとやるのか?

刹那

ボクはどーなってもいい!!でも、なんで彼女を巻き込んだ!!どうして彼女を巻き込む必要があった!!

刹那

答えろよ!!早く!!

今までいじめてきた刹那とは雰囲気が違いいじめっ子は驚きを隠せていなかった

クソガキ

だって、お前にはとことん俺らの玩具になって欲しかったのにそれを邪魔するからあいつが……

刹那

ふざけんなよ!!関係ない彼女を巻き込んで事を大きくするなよ!!クズどもが!

怒った刹那はそのリーダーらしきものに、怒りのこもった拳を顔に突きつけて すぐに由紀を探しに山の奥にと 走り去っていった

クソガキ

……。おい。もう帰るぞ

クソガキ

で、でも流石にあれは……

クソガキ

俺の話しが聞けねぇのか?

クソガキ

分かったから、そんなに怒んなよ……

いじめっ子は何事も無かったようにその場から立ち去り、この事を口外しないように仲間たちに強く言いつけた…

刹那

由紀!!何処にいるんだ!!僕は溺れてなんていないよ!

刹那

早く出てきてくれ!

山に入り2時間…空は少しずつ暗くなり山の中はもうすぐ暗闇になる所だった

刹那

……!水の音だ!!近くに川があるはず……そこにきっと由紀がいるはずだ!!

急な土の坂を滑り降り河原を歩いて回る しかし、人影はなくただただ無情にも時は過ぎていくばかり

刹那

そんな……何処にいるんだよ!由紀!!

由紀

せ……つな?

刹那

由紀の声だ!!何処にいるの?もう1回返事してよ!!

由紀

ここだよ刹那……

刹那

そっちだね由紀!!すぐ行くよ!!待ってて

由紀

もう来ないで……私はもう

刹那

なに?川の音でなんにも聞こえなかったよ!

由紀

もう、いいの。

刹那

由紀の声はこっちからだった!この岩陰の奥に由紀がいる!!

その先には確かに由紀はいた。 しかし刹那の知っている由紀はいなかった 下半身は大木に挟まれて動けず

恐らくこの上の道から落ちたのだろう。そんなに高くないが小学生なら重症を覆う程の高さだ。着地に失敗したのか

右腕はありえない方向に曲がっていた。 そして、宝石のように綺麗な顔には頭が切れたのかそこから垂れ流れてきた血で見れない

刹那

由紀……

由紀

なんだ………溺れて……ないじゃん

刹那

なんで、なんで!こんな所に来たんだよ!

由紀

だって……刹那…………溺れてるって…………聞いたから

刹那

そんなのなんで信じたんだよ!僕はずっとあの木の下で待ってたのに……

由紀

ごめんね………私。刹那には、元気でいて欲しくて…………だから、ね…

刹那

やだよ!!こんな、木なんて僕がどけるから待っててよ!!

由紀

もう……遅いよ。分かるんだ…………私死ぬんだなって……

刹那

死ぬとか言うなよ!!僕は認めない!!由紀には沢山楽しいことを教えてもらった!!だから、次は

刹那

僕が楽しいこと教えてみたいんだ!!それまでに死ぬなんて絶対認めない!!

由紀

………。刹那……ありがとう

刹那

なんで………なんで死にそうなのに笑うんだよ!!

刹那

僕はこんなに死にものぐるいで由紀を助けようとしてるのに……

由紀

もう、気持ちだけでいいよ。………早く帰りな………お母さん待ってるよ?

刹那

知らない!!由紀と一緒に僕は帰るんだ!!

刹那

クソ!動けよ!!この木が動けば僕が街まで運ぶから……だから!

由紀

………最期に私から言いたいことがあるの……

刹那

嫌だ!!最後なんて言わないでよ!!絶対に最後にはさせない!僕が必ず……

由紀

刹那………私刹那が…………

その後の言葉は聞こえなかった。 覚えてるのは力なく倒れた無惨な由紀の姿 僕はその場に泣き崩れた。

自分が殺したんだ。自分が弱いから由紀を関係の無いひとを巻き込んで殺したんだ…頭の中でずっと自分を攻めていた。

自分も死のうとも考えた。でも、それじゃあ由紀の伝えたかった事は分からない。だから、ボクは生きる。強くなって

色んな人を守れるぐらいつよくなってみせる!そう心に誓った。

その後うずくまった僕と亡くなった由紀は町の大人に見つかり保護された。 翌日は由紀の葬式があった

そこで、改めて誓う。由紀の伝えたかった事。それを知るために、そしてこんな事にならないために僕は強く生きると……

刹那

んぁ?また、あの夢か……

自分の枕が濡れている。 どうやら僕は寝ている時に涙を流していたらしい。

あれからもう何年経ったのかな……。 今では、高校2年になっていた。 僕の住んでる場所は【霞島】(かすみじま 本島から数十キロ離れた小さな島に住んでいる。

ここは、人口も少なく建造物も少ない。 僕の通う学校はこの島には無いからわざわざ船で本島に向かわないといけない。

そんな、小さな島が未だにあるのはこの島がある観光スポットになってるからだ。 この島を別名【天狗島】

日本の天狗はここから生まれたとされているため、そんな名前が付けられた。 そのためこの島では年に一度祭りが開かれる。【天狗祭】

これは、天狗を崇めるだけの祭りではなく死者が帰ってくるとされる祭りでもあるのだ。天狗は死者を連れている

そんな迷信を信じている大人が始めた祭りだ。でも、そのおかげでこの島は無人島にはならないですんでいる

死者はお面をつけてこの世に帰ってくるとされていて、お面を付けている人と話すことは禁止とされている。

死者と生者は互いに干渉してはいけない存在だからとか…。そんなことは今の俺には関係ない。そう思っていた

刹那?

刹那

なに?

あんた宛にこんなの届いたから見といてね

刹那

は?なにこれ……

それは何の変哲もないただの茶封筒。 差出人の名前は無くて不思議と感じたが 中身を確認してみないと分からない

茶封筒の中身を確認するとノートの切れ端がそこにあっただけ。そこには 【あの木の下で待ってる】

刹那

………。由紀?

刹那

まさか、由紀な訳が……

しかし、否定できなかった。 その字は見覚えがあったからだ。 小学校のころよく見てきた由紀の字だ

【あ】の書き方に少し特徴がある それが、由紀の特徴的な字だ。 胸の高鳴りに気づく

刹那

ホントに由紀なのか?

刹那

それもこの手紙を送ってきた日付は今日【天狗祭】のこの日に送ってきた。

刹那

行ってみないと分からないよな……

真相を確かめるべく刹那は家を出て 指定された【あの】木の下に行く 刹那が告白に指定した小学校の桜の木の下 そこに、彼女がいることを信じて……

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