ゾム
…?
ふと目を覚ますと外はまだ夜で夜が明ける前だった
夜空に浮かぶ満月は綺麗だった
何もする気力がなくただずっと部屋の中から満月を見ていた
すろとザッザッザと砂石の上を歩く音が聞こえる
ふとそちらに目を向けるとそこには一人のニンゲンがいた
???
…あ
???
こんばんわ
そのニンゲンはこちらに気付いたようで
赤い瞳に眼鏡をかけていた
ゾム
…
???
こんな所に住んでて何をしてるんすか?
ゾム
なんで教えないといけないん
???
普通に興味本位で聞いてみただけ
ゾム
…とりあえず上がったら?
???
あざーっす!
???
俺は…
???
変な体質持ってるって言ったら驚く?
ゾム
うすうす気づいとったから別に驚かんよ
近くの海の波の音とともに会話は静かに進んでいった
トントン
俺の名前はトントン
トントン
俺は火を操れる体質を持っとるんやで
ゾム
俺はゾム
ゾム
どうせ俺の体質はもう気づいとるやろ
トントン
まぁ、ここまで来るまでにたくさん枯れてたしな
ゾム
なんでここに来た?
トントン
ゾムには言っておきたいことがある
トントン
「眠たくなったら石を掴め」
トントン
この約束は絶対に守って
トントン
これだけ伝えに来た
ゾム
…意味が分からんわ
トントン
そのうち分るよ
トントン
俺との約束守ってな
ゾム
善処します
トントン
それじゃ、俺はもう行くわ
トントン
それじゃ
そのような不思議なことを言って彼は去っていった
トントンの服には塵のようなものがついていた