それからしばらくは楓さんと会っていない
たまたま授業がなかったりしただけ、バイトも、体調が悪くて休んだだけ
そう、たまたま
薫
………
薫
(あ…楓さんだ…)
久しぶりに見た彼女は相も変わらず美しかった
周りには沢山の人
やっぱり、私とは住む世界が違う
私は歩いてきた道を引き返した
楓
薫!
薫
………
名前を呼ばれ振り向くと楓さんが私に向かって走ってきた
楓
ま…待って…薫…
薫
(ああ…ダメだ…)
楓
今日はもう終わり?
楓
それだったら
薫
(最低なんて分かってる)
楓
一緒に帰りましょ…?
薫
(こうやって言う事も、皆を置いて私の方に来る事も)
薫
(全部、期待してたなんて)
薫
はい、いいですよ
コツ、コツ、コツ、コツ
楓
それでね、この前食べたティラミスが美味しくてね
急に私が手を繋いだらどう反応するのだろうか
楓
薫にも食べさせたいな〜って…
急に私が楓さんにキスをしたらどう反応するのだろうか
楓
だからね!今度暇だったら…
恥ずかしがるのか、喜ぶのか
楓
わ…私と…デート…してほしい…の
……なんて、馬鹿な考えは捨てよう
薫
はい、行きましょ
薫
気になります、そのティラミス
純粋なこの人を弄ぶような事なんて、したくないし、考えてはいけない
楓
よかった…!
楓
ふふ…
楓
楽しみ〜!
薫
……
今はただ、この関係が続けばいい、何も変わらず、これからも
薫
私の事好き過ぎじゃないですか?
楓
ふふふ…
楓
大好きよ!