TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

地球で最後の二人〈4話完結済〉

一覧ページ

「地球で最後の二人〈4話完結済〉」のメインビジュアル

地球で最後の二人〈4話完結済〉

4 - 地球で最後の2人 最終話 必ず君に会いに行く

♥

47

2019年11月19日

シェアするシェアする
報告する

雪子

……

雪子

……

雪子

ごめん。落ち着いた

雪子

なんだかおかしいとは思ったんだ。あなたのご両親から、子供がいるなんて話は聞いたことなかったし。ここの廊下は汚れてるっていうし。ドーナツも、テレビゲームも、芸能人って言葉も知らないし

雪子

中国やオーストラリアの人たちは、あなたの時代には全滅していたのね

奏太

結局、ぼくが地球最後の人間だったというわけですか

ーーーーー

雪子

ねえ、奏太はここにいるの?

奏太

います。入って右手のコンソールの前に立っています

雪子

わたしもそこにいるよ

雪子

……

雪子

奏太と手を繋ぎたい

雪子

……

奏太

ぼくもです

ーーーーーー

奏太

あぶなかった

雪子

なに? どうしたの!?

奏太

スーツです。一瞬ですが通信機以外の全電力が落ちました

奏太

また〝闇〟に見逃されたみたいですね

雪子

もう、勘弁してよ。心臓が止まるじゃない

雪子

でも、二回連続で助かるなんて、ほんとついてるよ!

雪子

奏太?

雪子

ねえ

奏太

……

奏太

……

奏太

すみません、ちょっとひっかかったことがあって

雪子

いいの

雪子

そういえば、わたしはどうなってるの? つまり、わたしの遺体は

奏太

隅に蹲っています

奏太

朝になったら埋葬します

雪子

ごめん。気持ち悪いよね

奏太

そんなことありませんよ

雪子

ううん。でも、埋葬なんてしなくていいから。奏太のシェルターに帰るのが遅れるほど、奏汰の危険が増えるもん。はやく帰って。どうせわたしはあと数日で消えるんだろうし

奏太

雪子さんを残して帰れるわけないでしょう

雪子

じゃあ、タイムマシンでも作ってくれるの?

奏太

いまはまだ無理です

奏太

……

奏太

ただ、ちょっと考えがあるんです

ーーーーー

雪子

これ以上は無理そう。いまにも電気が落ちるわ

奏太

奏太

すみません。お待たせしました

奏太

いまから送るプログラム文をコピーして、工業用3Dプリンタに送ってください。部品が出来上がったら、ぼくの指示に従ってスマホに接続してください

ーーーーーー

雪子

全部つなぎ終わったよ

雪子

これ、なに?

奏太

ぼくは、この旅で二回、光を失いました

奏太

でも、まだ生きてます

奏太

〝闇〟に襲われなかったんです

雪子

すごいラッキーだよ

奏太

ラッキーなんてものはこの世にありませんよ。何事も結果には原因がある。〝ティンダロスの猟犬〟〝闇〟は、ぼくを襲わなかったんじゃない。襲えなかったんです

奏太

量子コンピュータですよ

奏太

前に説明したでしょ? 〝ティンダロスの猟犬〟は人間の量子リンクを探知・攻撃します。そして、第七世代の量子コンピュータはそれを妨害できる可能性がある

奏太

ぼくは自分が作ったものを第六世代の量子コンピュータだと思っていましたが、じっさいは過去・未来をつなぎうる第七世代のそれを完成させていたんじゃないかと

雪子

襲われなかったのは、ただの偶然じゃないの?

奏太

違います

奏太

だって、ぼくはさっきからずっとスーツの光を落としていますから

雪子

!?

奏太

ぼくは無事です

奏太

というわけで、いま、雪子さんに作ってもらったのは、ぼくのと同型の第七世代量子コンピュータです。素材に制限がありますから、計算力はかなり落ちますが、それでも第七世代には違いありません

奏太

電源喪失に備えて、手動の電力補充装置も付けてます

雪子

じゃ、これを起動すれば、わたしは助かる?

奏太

うまくいったら、お送りした製造プログラムのコピーをほかの生存者に渡してくださいね

雪子

もちろんそうするよ

奏太

それと

奏太

……

奏太

……

奏太

……

奏太

……

奏太

好……いえ、いままで、ありがとぷり

雪子

コラ、ちゃんといえ

雪子

それじゃあ起動するわ。うまくいくよう祈って

ーーーーー

雪子

……

雪子

うまくいったかしら?

雪子

いま電灯が消えたわ。でも、わたしは消えてない

雪子

成功だよ!

雪子

奏太天才!

雪子

奏太?

雪子

どうしたの?

雪子

ねえ

ーーーーー

雪子

チャットするのは一週間ぶりかな

雪子

昨日、中国の人たちと合流したよ。それにオーストラリアやフィリピンの生き残りに、つくばシェルターのお二人にも。全部で三千二十一人。みんな奏太に感謝してる

雪子

つくばシェルターのお二人は子供を作るって約束してくれたけど、別の精子と卵子から生まれる以上、その子は奏太じゃないんだろうね

雪子

だから、連絡がつかなくなったんでしょう。あなたが〝この世界の未来〟から消えてしまったから

雪子

……

雪子

わかってたんでしょ? そうなる可能性があるって

雪子

あなたのご両親は、この世界の未来と奏太といる世界の未来が枝分かれしただけで、奏太はまだ生きてるっていってる。ただ、こっちの世界とのリンクが切断されただけだって

雪子

……

雪子

……

雪子

わたし、あなたのご両親に、科学を教わることをしたの。いつか、第八世代の量子コンピュータを作るわ。そして、歴史の分岐を超えて、もう一度あなたとつながってみせる

雪子

……

雪子

次こそ、ちゃんと告白しなさいよ 笑

ーーーーーーーーー

奏太がログインしました

奏太

おはよう雪子さん

奏太

といっても、例によって届いてはいないんでしょうけど

奏太

ぼくは今日で二十二歳になりました。雪子さんの世界と別れて十年になります

奏太

そんなに何してたのかって? もちろん、量子コンピュータの改良を続けていたんです。最新型は第十二世代です

奏太

こいつはちょっと凄いですよ。空間、時間、次元を超えて、分岐した〝他の世界〟に行けるんです。一昨日、はじめてよそにお邪魔しました。たどりついた先には、第十五世代を完成させた三年後のぼくがいました

奏太

彼にあった瞬間、彼の経験とぼくの経験すべてが互いに共有されました。人間の脳は一種の量子コンピュータだっていいましたよね? 別の世界の自分自身と対面すると、共鳴して、記憶が共有化されるんです

奏太

三年後のぼくは、これまでに三十二人のぼくと知り合っていました。みんな同じように、次元の壁を超えてきたんです。そのなかの一人は、四十二歳で過去に千二十五人のぼくと知り合ってしました。その千二十五人のなかには、七十一歳で五万六千人のぼくとあったぼくがいました。そういうわけで、ぼくは、十億六千二十五万のぼくの記憶を共有しています

奏太

それらのぼくは、合計で一兆三千億と二十三の世界を訪れていました。みな雪子さんを探しています

奏太

これが、なかなか難しいんです

奏太

人が一回多く呼吸しただけで、世界は無数に分裂するわけですから。究極的には無限の数の世界があるんです。雪子さんが生まれなかった世界、〝ティンダロスの猟犬〟に襲われなかった世界、ぼくが生まれなかった世界、もちろん、ぼくが知り合った雪子さんのいる世界も無限にあるんですが、そのほかの無限が多すぎて、なかなかたどり着けないんです

奏太

でも、ぼくは、ぼくたちは諦めません。いつか必ず雪子さんにたどりついてみせます

奏太

……

奏太

それでは、一兆三千億と二十四個目の世界に行ってきます

奏太がログインしました

奏太

おはよう雪子さん

奏太

ぼく、奏太4056987号個人としては四十二歳になりました

奏太

ただし、人生経験は百億歳を軽く超えていると思います。精神崩壊しないのが不思議なくらいです

奏太

今日までに無限のぼくたちと探した無限の世界の数は十二京個を超えました。当初、ぼくたちが行けるのは、ぼくしか生き残っていない世界ばかりでしたが、量子コンピュータの進化に伴って、いろんな世界にいけるようになりました。いまでは、あらゆる時代、あらゆる過去、あらゆる未来と接続できます

奏太

でも、雪子さんが見つかりません

奏太

ティンダロスの猟犬に襲われなかった世界では、もちろん雪子さんもいますが、それはぼくの雪子さんではありません。別人です

奏太

はるか過去の雪子さんも別人です。当たり前ですね。ぼくとまだ会っていないんですから

奏太

ぼくにとっての雪子さんは、ぼくとチャットし、そしてぼくの到着を待っていた、あの瞬間の雪子さんただ一人なんです

奏太

世界は無限にある

奏太

それでも、ぼくたちは、いつか必ずあなたに会いに行きます

奏太がログインしました

奏太

おはよう、雪子さん

奏太

ぼく、奏太157809536547号です。ほかの奏太もきっと君にチャットを送ってるだろうから、こうして番号をつけたほうがいいですよね?

奏太

ぼくたちが雪子さんを探して七千億年、探した世界は五垓個を超えました

奏太

どれほど探しても雪子さんは見つかりません

奏太

考え方を変えたほうがいいんでしょうか

奏太

ただ闇雲に探しても見つからないのかも

ソウタがログインしました

ソウタ

おはよう、雪子さん

ソウタ

ぼくはソウタ14785号です

ソウタ

気づきました? 奏太だけだと管理しきれないから、ソウタ、そうた、そーた、奏たみたいに、呼び方を増やしてみたんです

ソウタ

いまは、呼び方ごとにグループを作って役割分担しています

ソウタ

奏太はもとのまま、頑張って世界を渡り続けてます

ソウタ

ぼくたちソウタは、新しい量子コンピュータの開発担当。全部で七百万人もいるから、作業効率は悪くないです。しかも、対面するだけで研究成果を共有できるんですから。いまの量子コンピュータは五百十二世代です

ソウタ

そうたは、雪子さん探しの戦略を練っています。ただ、最近、連中が総会に顔を出さないんで、進捗はわかりません。記憶共有を遮断する装置が作られたという噂もあります。奏太1は気を揉んでいます

SSDがログインしました

SSD

おはよう、雪子さん

SSD

SSD509865です

SSD

ぼくは、そうたグループから派生した、新捜索チームのD個体です

SSD

奏太グループからの攻撃で、昨日、F個体の連中は全滅したようです。奏太の連中は相変わらずなにもわかっちゃいないんです

SSD

世界が無限にあることの意味がわかってないんです。無限とは文字通りの無限なんです。たとて百億垓年探し続けようが、無限の前ではゼロに等しいんです

SSD

このままだとぼくは永久に雪子さんに会えない

SSD

どうすればいいのか?

SSD

どうすれば雪子さんに会えるのか?

SSD

答えはずっと目の前にあったんです

SSD

世界を減らすしかないんです

SSD

世界は知性体が意志を実行するたびに分岐します。つまり、意志の個数を減らすことが、世界を削除することにつながるんです

SSD

いま、ぼくの目の前にある五万十二世代の量子コンピュータは、まもなく、各世界の〝意志〟を攻撃する無数のプログラムを放出します。彼らは、無限に増殖し、いつか無限の世界を有限にまで減らすでしょう

SSD

安心してください。あの瞬間、第七世代量子コンピュータのスイッチを入れた瞬間の雪子さんが襲われることはありません。量子コンピュータの波動のそばにいる意志は攻撃しないよう、条件づけています

SSD

戦いの音が近づいてきました。D個体の仲間が奏太たちを食い止めていますが、長くはもたないでしょう

SSD

ぼくはやつらに殺されます

SSD

でも、その前にこの〝ティンダロスの猟犬〟を放ちます

SSD

これで、いつか必ずほかのぼくがあなたに会いにいけます

SSD

いつか必ず

この作品はいかがでしたか?

47

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚