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シロとクロ

5 - シロとクロ 『不安』

♥

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2020年05月09日

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昨日感じた違和感は 気のせいではなかった

『私』

おはようございま...って

『私』

誰もいないし

『私』が病院についた頃 病院の入口付近には 誰1人いなかった

奥から騒がしい声が聞こえる

『私』は声が聞こえる方へと向かった

トコトコ

『私』

(緊急治療室...?)

『私』

(緊急の患者が運ばれてきたのか)

そう思いながら、『私』は 緊急治療室を覗いた

『私』

━━━ッ!?

声が出なかった

一瞬、時が止まったように感じた

医者達が慌てた様子で図鑑のような太さの本をあさったり

パソコンに向かって文字を入力したりしていた

でも、そんな光景は病院で働いているとよく見る光景だろう

『私』の声が出なかった原因は その奥にあった

緊急治療室の奥のベッドの上には

酸素マスクをつけられ、点滴をいくつも腕につけられて、目を閉じている

『君』の姿があった

『私』

━━━ッ!?嘘.......

『私』はその場から走り去った

昨日までは『君』が死ぬかもという 不安は全くなかったのに

急に、『君』が死ぬんだという現実が見えた

『私』はどこかで なんだかんだ言っても『君』は死なないと思ってた

『私』

ハァハァ.....

気がつくと、『私』は 『君』の病室に来ていた

『私』がゆっくり病室に入ると、 テレビがつけっぱなしになっていた

つけっぱなしのテレビをぼんやりと見ていると、カタッという音が鳴り、

現実に引き戻された

『私』

ッ!?

急いで『私』が振り返ると

『君』が立っていた

『シロ』

クロさん、何してるの?

『君』の腕にはまだ何本もの点滴がつけられていた

『私』

『君』こそ...

『私』

どうして...ここに.....

『シロ』

昨日の夜、ちょっと倒れちゃってさ

『君』は冗談交じりな笑顔を『私』に向けた

『シロ』

でも大丈夫だよ、最近ちょっと疲れてたのかも

『シロ』

病室っていつ見ても変わらないし、来るのはセンセ達ばっかでちょーっと憂鬱になってたのかな〜

『シロ』

あ!でも、クロさんが来るのは全く憂鬱じゃないよ!

『私』

ねぇ.....

『シロ』

ん?どうしたの?

『私』

『君』は.....

『私』

本当に、死ぬんだよね.....?

『シロ』

.....

『シロ』

そりゃ死ぬよ

『シロ』

俺も死ぬし、クロさんだっていつかは死ぬよ

『私』

そうじゃなくて.....

『シロ』

あ、病気でって事?

『シロ』

それもまぁ、死ぬよ

『私』

そうじゃなくて!!!

気がつくと『私』は大声をあげていた

『シロ』

!?

『私』は『私』自身を抑えきれなかった

『私』

これでも『私』なりに、『君』を心配してるんだよ.....!

『私』

『私』は顔に出ないから分からなかったかもしれないけど...

『私』

凄く...凄く...不安だったんだよ.....

『シロ』

.....

『シロ』

クロさんは、俺に生きてほしいの?

『私』

うん...ものすごく...

『シロ』

えへへ...そっか

『シロ』

俺って、こんなにクロさんに必要にされてたんだね〜

『シロ』

こんなの、クロさんが初めてだよ...

『私』

...え?

初めて...?

『君』はたくさんの人に必要とされて、愛されて育ったんじゃないの?

そう思ったけれど、その思いは声に出なかった

『シロ』

ねぇ、クロさん、

『シロ』

クロさんって車持ってる?

『私』

本当に、『君』は急に何を言い出すの?

『シロ』

いや、今回の事で俺に少し自由時間が与えられたんだ

『私』

自由時間...?

『シロ』

そう!病院を出て、どこか空気のいい所にでも行って来いって!

『私』

車は持ってるけど、『君』は免許証を持ってるの?

『シロ』

え?何を言ってんの?

『私』

え?

『シロ』

だーかーらー、

『私』

待って、分かったかもしれない

『私』

もしかしてだけど、

『私』

『君』は『私』を運転手にしようとしてるの?

『シロ』

おぉ、正解だよ!クロさん!

『シロ』

やっと俺たち、心が通じあったのかな

『シロ』

でも、運転手ってのは、半分正解で半分不正解かな

『私』

それを普通の人は、おしいって言うんじゃないかな?

『シロ』

失礼だね、まるで俺が普通の人じゃないみたいに

『私』

その通りだよ

『シロ』

うわははは!!!

『シロ』

まぁ、これは俺の死ぬまでにしたい事に当てはまるからさ

『シロ』

クロさんも一緒に来てよ!

『シロ』

実は、俺が行こうとしている所は、昔、毎年家族と行ってた所なんだ!

『私』

『君』はこの前、もうすぐ死ぬから思い出の地を巡るとかしたくないって言わなかった?

『私』

言っている事が矛盾してるように見えるんだけど

『シロ』

まぁそんな事は置いとこうよ

『私』

どこに置いとくの?

『シロ』

何その変なツッコミ

『私』

ツッコミではないと思うよ

『シロ』

うわははは!!!

『私』の目の前で いつものように大きな口を開けて 笑う『君』は

確かに、生きていた

『シロ』

まぁそういう事だから!

『私』

ねぇ『君』は『私』の予定っていうのを考えないの?

『シロ』

だって、クロさん明日休みでしょ?

『私』

だからなんで知ってるの?

『シロ』

石屋センセーに聞いたのー!

『私』

じゃあ後で石屋先生に、『私』の予定を『君』に言わないでって言っとくね

『シロ』

あっははは!!!

また笑った

『シロ』

とにかく、明日の朝6時に病院前に来てね!

『シロ』

車でだからねー!

『シロ』

じゃあねー!

『私』

ちょ、ちょっと...

口答えする間もなく、『私』は病室を追い出された

『私』

はぁ〜...

休日は昼間まで寝ていたいのに

まぁ、いいか

石屋先生

あれ、黒須さん?

『私』

あ、石屋先生

『私』

緊急治療、お疲れ様です

石屋先生

あぁ、見てたんだね

『私』

はい

石屋先生

石屋先生

何かいい事あった?

『私』

え?そう見えます?

石屋先生

うん

『私』

.....

『私』

.....少し...

『私』

少し、いい事があったのかもしれません

石屋先生

それは良かったね

『私』

はい

今日は珍しく

明日が待ち遠しい

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