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少し前の話

僕はこの世から席を外した

理由はとてもしょうもない事だった

好きな子の前で恥を晒されたのだ

ぼくはその時点で死ぬことを決意した

その子だけじゃなく他のみんなにも恥を晒してそんな中次の日からも学校に行く

そんな心は持ち合わせてなかった

穴があったら入りたい ということわざがあるがあの時の僕はまさにそれだ

たまたまその穴が墓穴と言うだけだった

自分で話していて滑稽だなって思う

でも、それでも僕は死にたくなったんだ

そしてその日のうちに死を決意して

僕は世界から消えた

あの日から数日は経っただろう

幽体になった僕はあの世に行くことなく

この世をさ迷っている

やはり未練があるからなのかもしれない

好きな子に思いを告げられなかった

欲をいえばその子と共に歩きたかった

けれどもそれはもう叶わない

だって僕はこうして死んだのだから…

そんな節に僕に誰かが声をかけた

声の主は分からないけれど何か僕に施してくれるとの事だった

3つ……

3つの願い事を叶えてやる と声の主は言う

それを聞いた僕は真っ先に思いつたことがある

僕をもう一度あの世界に戻して欲しい

【僕】のままであの場に生き返らせて欲しい

さらに欲を言えばある子と付き合う世界線が欲しい と願った

声の主は願いを叶えるが2つにして叶える

そう話してくれた

僕はそれでいいと返事をして再び世界に戻ってきた

そして約束通り僕自身で好きな子と付き合う世界線が誕生した

それからの生活はとても楽しいものだった

誰もが想像する理想的なカップル

理想的な日常を送れていたのだから

でも僕自身薄々気づいていたことがあった

いや、初めから気付いていた

あの願い事を選択した時点で僕自身気づいていたのかもしれない

それをあえて見えないふりをして生活していた

無意識のうちにそんなことをしていたのかもしれない

それに気づいた僕は意を決して

その日に最後の願い事を使うことにした

ヒロイン

ねぇ僕くん?

主人公

ん?

ヒロイン

なんか今日顔暗いよ?

主人公

え?

主人公

そ、そうかな?

ヒロイン

そうだよ!

ヒロイン

なーんか今の外の天気みたい

そう言って教室の窓から外を見る

先程までは蒼天が広がっていた

入道雲がよく見えて園芸部が育てていた向日葵を照らしていたのに

今はどんよりとしたねずみ色の空

空気感も少し重く感じる

気分も心無しか沈んでいくようだった

主人公

僕そんなに暗いのかぁ…

ヒロイン

なにか悩み事でもあるの?

主人公

いや……まぁ

主人公

主人公

うん…

ヒロイン

一人で抱え込まないでさ

ヒロイン

たまには私を頼ってよね

ヒロイン

それとも私じゃダメ?

主人公

そんなことは無いよ…

主人公

だけど……

主人公

主人公

分かった……

主人公

驚かないで聞いて欲しい

ヒロイン

うん…

主人公

ここにいる僕は君の知ってる僕じゃない

主人公

もっといえば世界線が違う僕なんだ

主人公

何を言ってるか分からないだろうけど

主人公

とりあえず最後まで聞いて欲しい

主人公

実は僕ある日に死んでるんだ

主人公

その世界線は君の前で僕はとんだ恥をかいた

主人公

それがきっかけで僕は自決を選んだ

主人公

君にも笑われてそしてそれを見てた人にも笑われた

主人公

そんな中次の日からも学校に行く勇気なんて僕にはなかった

主人公

だから逃げたんだ

主人公

死ぬ事で逃げることにしたんだ

主人公

でも死んだ後も悔いがあったみたいで幽体になってた

主人公

その時に何者かの声を聞いて願い事を叶えてくれた

主人公

その声の主は3つの願い事を叶えるといい

主人公

僕はそのうちのふたつ

主人公

生き返らせて欲しいという願いと

主人公

君と付き合う世界線に行きたいと願った

主人公

つまりこうして僕たちが出会えたのは運命ではなくて

主人公

僕の欲が形になったいわば必然的な出会いで

主人公

そしてその形でもあるんだ

主人公

でもそんなの君からしたらいい迷惑だよね

主人公

いわゆる僕のエゴに付き合わせてることってなるでしょ?

主人公

願う前からそんなの分かってたのに分からないふりをして

主人公

こうして今までズルズルと引きずってきた

主人公

だけどそれにもう耐えられなくなったんだ

主人公

自分のエゴで他者の人生を壊すなんて

主人公

そんなの出来ないから…

主人公

これが今日君の言う暗かった理由だよ

ヒロイン

………

主人公

失望させてたよね

主人公

気持ち悪いとも思ったよね…

主人公

何を思ってくれても構わないよ

主人公

だってそれら全て事実なんだから…

ヒロイン

ねぇ僕くん?

主人公

ヒロイン

私からも変なことを言うようだけど

ヒロイン

あなたと付き合う時から少し違和感を感じてたの

ヒロイン

その違和感っていうのは

ヒロイン

君が”ここ”に居ることに対しての…

ヒロイン

よく分からないけれど

ヒロイン

私の感じてた違和感は君がいることに対してだったの

ヒロイン

もしかすると君が死んでしまった世界線の私とここにいる私

ヒロイン

両者の記憶がリンクしてたのかもしれない

ヒロイン

でもそれら全てを私は気の所為で済ませてた

ヒロイン

いや、僕くんと同じでそうやることで現実から逃げてたのかもしれない

ヒロイン

それでね…僕くんに伝えないといけないことがひとつあるの

ヒロイン

僕くんの消えた世界の私の思念がここにいる私にも伝わったの…

ヒロイン

それを伝えるよ…

ヒロイン

僕くん……ずっとずっと好きだった

主人公

ヒロイン

別世界線とはいえ僕くんと過ごせた日々は

ヒロイン

私にとっての宝物だよ

ヒロイン

ありがとう僕くん

主人公

………

主人公

そっか…

主人公

いわゆる両想いだったんだね僕達

主人公

それじゃあわざわざ死んでしまった僕は

主人公

まるでバカみたいじゃないか…

ヒロイン

そんなことないよ…

ヒロイン

結果として私と付き合えてるんだから

主人公

そうかもしれないけど

主人公

今ここにいる僕は”この世界の僕”では無い

主人公

あくまでも死んでしまった僕がこの世界の僕に取り憑いただけに過ぎない

主人公

だから君もこの世界の僕を好いてるけれど

主人公

死んでしまった僕を好いてるわけではない

主人公

僕のエゴに振り回されてたんだよ…

主人公

それでね今日この話をしたのは最後のお願いを叶える為に話したんだ

主人公

僕のエゴを終わらせるためにね

主人公

そしてこの世界の君自身の人生を元に戻すためにね

ヒロイン

それって……

主人公

何度でも言うよ

主人公

僕のエゴに付き合わせてごめんね

主人公

主人公

僕に語り掛けた声の主は聞こえるか?

主人公

最後の願いを叶えて欲しい

主人公

この世界での”僕”の行いを全て無かったことにしてほしい

主人公

この世界を元の世界の形に戻して欲しい

ヒロイン

それじゃあ僕くんは…

主人公

別にいいんだよ

主人公

元々僕はこの世界に不要な存在

主人公

言い方を変えればいてはいけない存在なんだ

主人公

君も元に戻るだけ

主人公

僕と付き合う前に戻るだけだよ

主人公

今までの記憶を全て消してね

ヒロイン

偽りの僕くんを好いてたとしても…

ヒロイン

この記憶は消したくない…

主人公

うぅん…

主人公

残念だけどそのお願いは聞けないよ

主人公

僕のやった事は僕がケジメつけなきゃ…

主人公

甘えなんてダメだよ

ヒロイン

そんな……

主人公

それじゃあ声の主さんよろしくお願いします

そうして僕はこの世界から消えた

僕は2度死んだのだ

本体から”僕”という魂が消えていく

消えゆく僕を最後まで彼女は見ていた

幽体となった僕くんが消え代わりに一輪の花が私の手元に落ちる

ヒロイン

この花は?

紫の花びらが特徴的で

真紫と言うよりは少し紫がかる白色が綺麗な小ぶりな花だった

後で分かったことだがこの花ミヤコワスレという花らしい

何故最後にこの花が自分の手元に落ちたのかは分からない

”気が付いたら私の手元に一輪の花が落ちていたそれだけなのだから”

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コメント

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久しぶりの感動と切なさ系のお題に沿った話です

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