目の前に立つ者… その口元はまるで 生娘にて染めた「鮮血化粧」
髑髏「亀梨」
ココ何日モ…
人間ノ肉クッテナイ…
直枝
か、亀梨…さん…
肩の肉を食われ 痛みに耐えかね亀梨だった者を 突き飛ばし… 口元を拭い見せた面… その顔、正しく死神の様
髑髏「亀梨」
直枝
亀梨と呼ばれたその男 もはや人の様相 杳々(ようよう)知れず
髑髏「亀梨」
喰ワレテヨ…
直枝
其は獄卒… 人喰外道の髑髏
髑髏「亀梨」
体勢を立て直し その異形は勢いよく襲いかかる
直枝
声にならない叫びを挙げるも、その手は一瞬地面に転がるソレを捉えた
直枝
うぅ…!!!
恐怖に苛まれながらも 手に触れたソレを鞘から引き抜き 異形目掛け…振りかぶる
直枝
髑髏「亀梨」
ガン!! 直枝が放った七尺包丁による斬撃。 異形の頭部を捉え、数歩よろけ後ろに斥けた。
直枝
異形を殴打するも 肩の痛みによってその場に崩れ落ちる直枝
髑髏「亀梨」
対し、向き直してきた異形… そこには傷など一切なく… 骸骨の笑みばかりが直枝を見下ろすばかりだった
髑髏「亀梨」
直枝
じゃなきゃもっと叩きます!!
片手で切っ先を異形に向けるも その顔は恐怖と激痛に歪んでいた
髑髏「亀梨」
クククク…
効カナイ…
何度斬ラレテモ死ナナイ…
直枝
だ…誰か…助けて…!
髑髏「亀梨」
誰モ助ケニナンカ来ナイ!!
異形が…直枝目掛けゆっくり歩み寄ってきた その口を大きく開け、今度こそ喰らいつくさんとばかりに…
直枝
助けてぇぇぇ!!!!
♪〜
髑髏「亀梨」
直枝
それはどこからともなく 響いてきた美しい横笛の旋律…
直枝
なんだろう…?)
髑髏「亀梨」
グゥゥゥ!!!
マタアノ忌々シイ音…!!!
やがて、遥か向こうから… 白布にて顔を隠した人物が音色を奏でながら歩いてきた。
???
直枝
髑髏「亀梨」
???
妖魔…
直枝
直枝
昼間私に失礼なこと言ったあの人だ…)
髑髏「亀梨」
???
「承知致しました!」
その直後、屋根の上から人影が降り立ち 異形目掛け回し蹴りを叩き込む
髑髏「亀梨」
直枝
そしてすぐさま、直枝の身体を抱き抱え 飛び回るようにして、横笛の男の元まで行く
屋台の親父
直枝
ささ、さっきのろくろ首…!?
屋台の親父
???
その者助六と言うてな
妖怪ではあるが人を害する者では無い。
直枝
髑髏「亀梨」
「無礼者!下がれ!」
異形が突進する刹那 どこからともなく凛とした女性の声が飛ぶ 「ジャランっ!」 錫杖特有の金物の音を響かせながら 一人の女武僧が亀梨の体目掛け数発の打撃を浴びせる。 目にも止まらぬ早業… 異形を後方に弾き飛ばした。
そのまま、女武僧が飛び跳ねながら 3人の前に控え 異形に対し得物を構えた
住職
直枝
さっきののっぺらぼう!!
???
ろくろ首「助六」
あのカオナシも味方だよ
直枝
髑髏「亀梨」
ゾロゾロト何人モ…!
???
卑怯とは言わせんぞ…
髑髏「亀梨」
???
銀小将!!!
家紋旗をここに!!!
「待っておりましたぞ!!」
動物のような足音で突っ走ってくる、やや小柄な人物。
銀小将
その手には、長方形の布の巻かれた長い竿を抱えている
直枝
ろくろ首「助六」
直枝
猫又「銀少将」
???
そら!述べよ!
猫又「銀少将」
銀小将が咳払いを1発した後、巻かれた布を払って竿を地面に突き立てる
猫又「銀少将」
控えおろぉ!!!
髑髏「亀梨」
風が、銀少将の突き立てた竿に吹き付けるや… 布に現れたるそれは… 吾亦紅とその中央で向かい合うの二羽の雀
直枝
(あの旗…!確か!)
猫又「銀少将」
江戸徳川が腹心!
柳生宗矩が子孫!
柳生十兵衛雅道様であらせられる!!
髑髏「亀梨」
「柳生家」 それは戦国及び江戸の御代… 影から徳川家を支えた剣術指南の家柄にして後の世にもその名を轟かせる「柳生新陰流」の大元たる家柄である。
猫又「銀少将」
無駄な抵抗はやめ!
その身を雅道様に委ねよ!!!
柳生十兵衛雅道
大義じゃ銀。
猫又「銀少将」
髑髏「亀梨」
何故コンナニ速ク来レタァ!!
柳生十兵衛雅道
早馬ならぬ早猫がおってのぉ
ほうぼう突っ走ってもらった結果こうして参陣かなった訳じゃ
猫又「銀少将」
髑髏「亀梨」
ソンナニ速イ偵察ガイルナラバ…!
モット速クカケツケラレタハズ!
何故間際二来タ!泳ガセル真似マデシテ!!
柳生十兵衛雅道
己が警官に化けとる間に詰めよれば言い逃れの機を与える。
それ故に、本性現すまで待っておった。
直枝
雅道が、白布の隙間から直枝を見つめる。 その眼差しは凛々しく 護る者が放つ眼光をチラつかせていた
柳生十兵衛雅道
そこはワシの不得じゃ…
すまぬ
直枝
髑髏「亀梨」
余裕の笑みを浮かべた雅道が亀梨の方を向く
柳生十兵衛雅道
人のフリするの上手いだけあって頭は悪くなさそうよのぉ。
さ、後は貴様次第よ
降参するなれば一太刀で楽にしてやる。
生憎、山田浅右衛門殿程ではないが…
一太刀で首を落とすくらいはワシにもできるぞ?
髑髏「亀梨」
ドイツモコイツモ僕ノ邪魔…!!
柳生十兵衛雅道
目の前の異形が蹲ると同時、周囲から血よりも赤黒い瘴気が漏れだす…
髑髏「亀梨」
今夜八ソコノ女喰ッテオワラセルツモリダッタケド…
モウイイ!!!
「バァァン!!!」
異形が、地面を強く叩くと同時に、地面から無数の朽ちた腕が突き出す
髑髏「亀梨」
その言葉と共に…数多の朽ちた屍が地面から這い出てくる。
直枝
何…あれ…
柳生十兵衛雅道
戦に巻き込まれ、今なお無念を残す古兵の怨霊じゃ…
ワシの祖先宗矩様もその戦いで数多くの北条兵を討ち取ったと聞く。
髑髏「亀梨」
ソノ通リ…
聞ケ武者達ヨ!
ソコノ白布…
貴様等ヲ仕留メタ憎キ柳生ノ末裔ダ!
雪辱…果タスナラ今!!!
屍兵
屍兵
屍兵
北条様ノ仇討トセン!
三体の屍兵の声と共に 無数の朽ちた落武者が 朽ちた得物を構える その数目算にて凡そ五十体
髑髏「亀梨」
サァドウスル?
柳生ノ末裔。
コチラハマダマダ呼ビ寄セレル…
貴様次第ハソチラノ様ダガ?
直枝
異形の言葉に対し 恐れに呑まれた直枝が 雅道にしがみつき 恐怖に怯えた顔のまま 死に物狂いで揺する
直枝
柳生のお侍様!
あんな数流石に無理だよ!!!
柳生十兵衛雅道
揺するな…揺するな娘ぇ〜
雅道が、直枝の負傷していない 肩の方に手を触れる。 白布の隙間から、全く動じていない 表情を向けて…
柳生十兵衛雅道
あの程度の雑兵退けれずして
御先代三厳様の御名は頂戴しておらぬ
直枝
柳生十兵衛雅道
其方には些か辛いかろう?
故に、決着は疾く付けるに限る。
握っていた横笛を、指揮棒のように振るい 3人の配下に檄を飛ばす!
柳生十兵衛雅道
今宵は初手より抜く!
雑兵共の露払い頼むぞ!
猫又「銀少将」
ろくろ首「助六」
のっぺらぼう「帰蝶」
横笛を降ろし、雅道が直枝を一瞥する
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
柳生十兵衛雅道
ワシはしばし動けんくなる。
離れては護りきれんでな?
直枝
その言葉を胸に込めおき 雅道の後ろに隠れるや 背中にしがみつく
直枝
柳生十兵衛雅道
髑髏「亀梨」
グガガガガァァァ!!!
柳生十兵衛雅道
亀梨が地団駄を踏み、激しく地面を蹴りつける。 既に骨と化した顔ながら、怒りは頂点に達する様相にて…
髑髏「亀梨」
絶叫を上げながら両手を前に突き出す
髑髏「亀梨」
オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛
呼応した屍兵達が 憎悪に満ちた雄叫びを挙げながら 怒涛の勢いで一向に迫る
柳生十兵衛雅道
皆の者!
かかれ!
助六/帰蝶/銀少将
乱戦の幕開けである…
初手 右手にて猛撃 先陣を斬るは ろくろ首「助六」
屍兵
錆刃ニテ飾リツケン!!
数体が、包囲するようにボロボロの武具で狙いを定めながら突進する。
ろくろ首「助六」
我が足捌き、獲れるものなら獲って見ろ!
助六が跳躍し 片手の指を広げると共に糸を煌めかせ… 脇の建屋の壁を蹴って宙を舞うや 迫り来る屍兵達の胴体を蹴り飛ばしながら 疾風の様に敵陣の後方へ一気に駆け抜ける
屍兵
何スルモノ…
グッ!!!
次の瞬間、屍兵達の身体が一箇所へ 叩きつけられるように固められると同時に 身体の至る所に亀裂が走る
屍兵
ナ、何ヲシタ!
ろくろ首「助六」
全員砕けろ…
よく見ると、固められた屍兵たちの身体には極細の鉄線が巻きついており 今にも肉を切断線とギリギリ音を立てていた。 鉄線は至る箇所から張り詰められているものの 大元に伸びる先、助六の片指五本にて張り詰めていた
ろくろ首「助六」
屍兵
助六が鉄線を束ねた指を勢い握ると同時… 屍兵達は朽ち果てた骨臓物に至るまで 全身が細切れになる
ろくろ首「助六」
錆付いた性根
三途で落としてこい…
指を高速で振るうと同時に周辺に張り巡らされた鉄線が助六の指に収まる
第二陣 左手より大挙 続く攻め手 のっぺらぼう「帰蝶」
のっぺらぼう「帰蝶」
「シャァンシャンシャンシャンシャン!!!」
座禅を組みて、錫杖を突き立てるや… 杖頭部に備え付けられた胴輪を片手で 振るいながら何度も鳴らす
片手は指を揃えて祈りの構えを取り 首は斜め下に向けている
屍兵
実二悪手…!
死シテ我等二類セヨ!!!!
のっぺらぼう「帰蝶」
陰ながら幸い給え…
帰蝶が祝詞を唱えながら… 閉目して尚も錫杖を鳴らす
屍兵
屈辱也!
屍兵達が一斉に得物を振りかぶり 座禅を組む帰蝶の全身を貫かんと 鋭い突きを繰り出した
のっぺらぼう「帰蝶」
錫杖を勢いよく持ち上げては落とし… 勢いを利用して宙ずりの如く空に身を乗り出した
屍兵
のっぺらぼう「帰蝶」
空中にて逆さずり状態から身体を横回転に振るい。 勢い付いた状態で合掌の構えを取り 直後、両手の指を引き締めながら掌底の構えを取る
のっぺらぼう「帰蝶」
「ダァン!!! ダダダダダダダダン!!!!」
落下しながら、周囲を取り囲んでいた屍兵達の顔面に1発ずつ掌底を叩き込み 地面に着地する
屍兵
己小癪ナ!
顔面に浴びた強烈なる衝撃に狼狽えて顔を振るう。 すると屍兵達の様子がおかしくなり始めた…
屍兵
刹那、周囲の屍兵達も異変に狼狽えその顔を見るや
屍兵
直後、座禅を組み直した帰蝶が 錫杖を手に持って祈り手のまま不敵に笑む
のっぺらぼう「帰蝶」
顔と御霊をすり替えたからです。
屍兵
のっぺらぼう「帰蝶」
そうなってしまってはもう体を動かせません
「シャン…」
屍兵
カ、顔ガ…!
飛ビ出!!!!
次の刹那、屍兵達の顔が一気に膨張し 首から上が音を立てて爆裂… 力尽き、バタバタと崩れ落ちていく
のっぺらぼう「帰蝶」
少しやりすぎてしまったでしょうか?
南無阿弥…
囁きがてら もう一度、錫杖の胴輪を鳴らし… 冥福を祈るかのようにお経を口にし始めた
第3陣 中央より強攻 攻め手 猫又「銀少将」
猫又「銀少将」
助六と帰蝶よりも多めですぞ…
屍兵
腹這イトナレイ!
疎らに散兵し 各々に得物を構える屍兵達
猫又「銀少将」
殿以外にそのような姿勢あっしも義に反します。
その場で棒立ちになるや 銀少将が口を開いた。
猫又「銀少将」
食べるのはお好きですか?
屍兵
猫又「銀少将」
特に肉!
直後、銀少将の口元に炎が漏れ始めた…
猫又「銀少将」
どうせなら美味しく頂きたい…
目元が猫特有の眼に代わるや 懐から鎖鎌を取りだした
猫又「銀少将」
屍兵
者共ォ!即刻!
猫又「銀少将」
とくとご覧あれ
鎖鎌を振り回すや炎が巻き起こり、牛車の車輪がコマのように銀少将を囲むように周り始めた
猫又「銀少将」
銀少将が鎖鎌をしならせるや 命中した二基の車輪が凄まじい回転を見せながら 屍兵達を包囲
激しく燃え盛る炎にて朽ち果てた敵兵を豪火が飲む込む
屍兵
瞬く間に全員が燃え尽きて 焼ける匂いが立ちこめた
猫又「銀少将」
うわ臭っ!
熟しすぎですねぇ〜
コレは食べたらお腹壊しそうですな…
「んにゃあぉん〜」 片手を猫の手にして顔に付いた煤を拭った
鮮やかささえ感じる3人の武術に 直枝は僅かに見惚れるものを感じた
直枝
本当にみんな妖怪なんだ…
対象、妖魔と化した亀梨 呼び寄せた屍兵達が全滅するさまを 屈辱に歪ませて地団駄をふむ
髑髏「亀梨」
フザケルナァァァ!!!
バンバンバン!!!
地面を強く殴打して… 再び屍兵達を呼び寄せ始める
髑髏「亀梨」
モット…
モット沢山呼ビ寄セル!
猫又「銀少将」
懲りずにまだやるのですか!?
ろくろ首「助六」
のっぺらぼう「帰蝶」
直枝
柳生十兵衛雅道
直枝
直枝が、雅道の方を見ると…
直枝
柳生十兵衛雅道
少し待っておれ…!
地面に、一振の刀を鞘ごと突き立てながら… 目を瞑って何かを唱えていた…
柳生十兵衛雅道
ウータラ デン セン ダン ボーレン テン
ウンガン ソワカ…!
それは仏教において強力な力を持つ 真言(マントラ)と呼ばれる呪文
しかし、よく知られるモノとは異なる響き が含まれ…
それ故に力の現れ方もまた異なる
柳生十兵衛雅道
ウータラ デン セン ダン ボーレン テン
ウンガン ソワカ…!
雅道が唱える度… 片手にて地面に突き立てた得物に 霊験あらたかな気配がたちこめた
直枝
ーーーーッ!!!
一瞬静かながら力強い音が鳴り響いた
柳生十兵衛雅道
来たな!
雅道が刀から手を離す 本来ならばそれは地面に転がるはずが 真っ直ぐに半ば浮くようにその場に静止していた
直後、両手でいくつもの印を結び始める
柳生十兵衛雅道
柳生十兵衛雅道
言い終えると同時、最後の印を結び… 勢いよく刀を掴んだ 片手は鞘を握り 片手は柄を握り 力を込めて刀身を引き抜いていく
直枝
刃が…光ってる…!?
髑髏「亀梨」
昨日ハ使ッテ無カッタ…
ナンナンダ!!
柳生十兵衛雅道
とでも言えば良いかの
そこに現れたるは玉緑色の光 昼時、志村十郎太の 抜き去った時には存在しえなかった 見事な刃紋を刻んだ刃 刀身の根元には「妖討」の文字 刃が動く事に微かに梵字が揺らめく…
柳生十兵衛雅道
皆ご苦労であった!
攻めて交代…
誰ぞ直枝を頼む!
のっぺらぼう「帰蝶」
今夜いつもに比べてやや強い
猫又「銀少将」
ろくろ首「助六」
直枝さんこっちで回収する!
銀少将と帰蝶が一目散に屋根の上へ駆け上がり 一歩遅れ、助六が直枝を抱き抱えた
直枝
ろくろ首「助六」
4人が屋根の上に退避して そこから先下の様子を見守る事にした
髑髏「亀梨」
次カラ次ヘトフザケルナナァァァ!!!
先程呼び覚ました屍兵達… 今度は倍以上の数… その上凶悪な殺気を纏うモノが 何体か紛れた…
柳生十兵衛雅道
(強い気配がおるな…
将も紛れておるか…)
外道武者「多目元忠」
「多目元忠(ため もとただ)」
参陣…
柳生ノ猛者ヨ…
イザ尋常二…!
柳生十兵衛雅道
雅道が素早く、霊剣を中段に構え多目と名乗る武者に睨みをきかせた
「多目元忠」 北条軍にて精鋭と謳われた 五色備えのうち 「黒備え」の大将にして 「早創七手家老」と呼ばれた忠臣の一人である。 一説によれば、小田原征伐の戦いにて戦死したともされる…
柳生十兵衛雅道
気高く戦った者まで叩き起すか…
貴様…下劣であるな…
髑髏「亀梨」
ドウ吠エヨウガ
オ前ヲ殺セルナラ
何デモイイ…!!
殺レ!!!
オオオオオォ!!!!
我先にと、屍兵達が雅道目掛け駆け抜ける
柳生十兵衛雅道
一番手短に迫る三体を斬り伏せた後、後退や前身を繰り返しながら四方を飛び回る
屍兵
数十本の槍が襲いかかる!
柳生十兵衛雅道
後ろに飛びながら身体に当りかねない槍のみを弾く
屍兵
ンナ!!
一点を狙った集団の突き技… 加え、雅道は敢えて大きく弾いた為に絡まり抜けなくなり… 屍兵達は槍の引き抜きに苦戦する
柳生十兵衛雅道
数の利を逆手に取らせてもらったわ!
「ザンザンザンザンザン!」
「ーーーーー!!!!」
一気に駆け抜け 槍兵達の首を空高く斬りあげると同時に斬られた屍兵達はそのまま空中に霧散した
屍兵
柳生十兵衛雅道
刀が一斉に振りかぶられるも、雅道がその場で身体を回し、守の薄い首元を回し切りにしていく。
切り伏せられ、霧散していく屍兵達の瘴気をの煙の中から 外道武者「多目元忠」が鋭い横凪を振るいながら雅道へと切りかかる
柳生十兵衛雅道
体制を素早くなおし、距離をとるも 切っ先が雅道の左手下腕を掠め負傷する
柳生十兵衛雅道
外道武者「多目元忠」
躱ストハ見事…
負傷箇所も気にせず 若干痛みにこらえる表情を見せながら雅道が元忠に立ち向かう
柳生十兵衛雅道
ほんの少しとはいえ堪えるのぉ
外道武者「多目元忠」
髑髏「亀梨」
柳生十兵衛雅道
真後ろから、亀梨が鋭い手刀を雅道に放つ。 間一髪、急所は外したものの、脇腹に深手を拵える事となった
柳生十兵衛雅道
直枝
お侍様助けた方が!!
猫又「銀少将」
あっし御館様の援護に!
のっぺらぼう「帰蝶」
直枝
猫又「銀少将」
のっぺらぼう「帰蝶」
ろくろ首「助六」
御館様は命じた。
攻め手交代と…
下で繰り広げられる戦い… 直枝は焦り、銀少将も額から汗を垂らす。
対する助六と帰蝶は 冷静そのもののまま見守る姿勢を崩さない
ろくろ首「助六」
まだ窮地ではないと
のっぺらぼう「帰蝶」
「今を楽しんでいると」
ろくろ首「助六」
のっぺらぼう「帰蝶」
直枝
ろくろ首「助六」
多目元忠と亀梨から距離をとる雅道… その顔には未だ闘志が宿る
柳生十兵衛雅道
ここは気を利かせて
「助けに来ました〜」と言うてくれてよかろうに…
髑髏「亀梨」
多目!サッサト殺セ!
外道武者「多目元忠」
髑髏「亀梨」
命令ダゾ!
柳生十兵衛雅道
髑髏「亀梨」
怒りに満ちた表情で亀梨を鋭く睨みつける
柳生十兵衛雅道
それは正々堂々戦うぞと言う意を持つ!
己はそこに水をさしおった!
恥を知れ!!!
剣を鞘に収め、身をかがめる
柳生十兵衛雅道
此度は将にも恵まれなんだな…
多目殿
外道武者「多目元忠」
狼狽えるばかりの亀梨の前に多目が立つや 朽ちた片手で制する
外道武者「多目元忠」
全霊ヲ掛ケ仕ル
髑髏「亀梨」
そうして、かつての猛者は上段に得物を構え一層の闘気を示した…
外道武者「多目元忠」
多目周防守元忠…
柳生殿二今一度
死合ヲ挑マン!
柳生十兵衛雅道
柳生宗矩が子孫!
柳生十兵衛雅道!
我が父祖の紡ぎし
新陰流の太刀にて
謹んでお受け仕る!
一瞬、沈黙が訪れ… 両者は間合いを測る
多目/雅道
ーーーーーッ!!!!
次の刹那… 勝負は一瞬にて決着する。 多目の放つ凄まじい上段振るい。 それを雅道が、霊剣の鍔にて受け止めて脇に流し… 円を描くようにして多目元忠の首を一太刀に捕らえた
多目の首が空を舞い…身体が力無く崩れ落ちるのを目の当たりにしてつぶやく
外道武者「多目元忠」
髑髏「亀梨」
ダメダ…殺サレ!
柳生十兵衛雅道
目にも止まらぬ速さにて亀梨の背後に回り込んだ雅道が… 居合の構えから大きく胴体を横凪に振るう… 直後屈み姿勢のまま、鞘に剣を一寸手前まで収める
柳生十兵衛雅道
「チンッ!」
沈黙が亀梨と雅道の間に流れ…
次の刹那… 亀梨の身体が四肢を初め… 無数の斬撃によって寸断されていく
髑髏「亀梨」
全身が霧散すると共に… 髑髏と化した首のみが地面にころがった
柳生十兵衛雅道
グッハ!
深く呼吸すると同時に 雅道の口元から鮮血が 吐き散らされ そのまま地面に両膝を着く
直枝
猫又「銀少将」
のっぺらぼう「帰蝶」
ろくろ首「助六」
まだその時では…
直枝
直枝
猫又「銀少将」






