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事務所から、 「SNS用に、自然な2ショットを撮って投稿してくれ」
と言われて、 空き時間に2人でカフェに来た。
テラス席の奥、目立たない角の席。
ふみくんはサングラスをかけて、当たり前みたいに隣の席に座ってきた。
楓弥
史記
史記
ふみくんはスマホを構えて、 俺のドリンクを手で引き寄せた。
史記
楓弥
史記
シャッター音と同時に、 俺の顔が引きつる。
史記
ふみくんの余裕そうな笑顔。
俺は、なんかモヤモヤしたままドリンクに口をつけた。
史記
楓弥
史記
史記
ふみくんが軽く笑って言うその言葉が、なんかちょっと胸に引っかかる。
“恋人”って言葉。
…演技だって分かってるのに、 そんな風に言われると、 なんかうまく返せなかった。
なんだろう。
ふみくんは俺の一番の尊敬する先輩で。
仕事に向き合う姿勢も、ダンスも、 全部リスペクトしてる。
でも、恋人同士として、 なんて急に言われて
「はい、わかりました」なんてできるほど、俺にとっては簡単な事じゃない。
何年も、メンバーとして一緒に活動してきたのに、急にそんなこと言われたって、動揺しない方がおかしい。
楓弥
史記
楓弥
ふみくんは少しだけ黙ってから、 アイスコーヒーを一口。
史記
史記
楓弥
史記
ふみくんはそう言って笑ってるけど、 俺はその言葉に上手く返せなかった。
カフェを出て並んで歩いてると、 ちょっと風が強くなってきた。
夕方の街はまだ明るくて、 人通りも少なくはなかった。
楓弥
史記
ふみくんは肩をすくめながら笑って、 俺の方に少し体を寄せた。
俺が思わず一歩引いたそのとき――
JK
後ろから聞こえた、女の子の声。
振り返ると、制服姿の2人組がスマホを持って立ってた。
JK
俺は一瞬、頭が真っ白になった。
やば、どうする…って思ってたら、 ふみくんがすぐに対応する。
史記
ウィンクまでして、余裕の笑顔。
ファンの子たちは「キャー!やばい!ふみふみってガチ!?」「尊い…」とか盛り上がってて、こっちは心臓バクバク。
JK
楓弥
カップルだってことを公表してから、 バディに会うのは初めて。
どうしたら、、変にボロが出てバレたらどうしよう、、
不安や焦りから、顔が熱くなる。
でも、ふみくんはさり気なく俺の手首をとって、軽く引き寄せた。
楓弥
史記
ふみくんは最後までアイドル全開で、俺はそれに引っ張られるように頭を下げた。
ファンの子たちが嬉しそうに手を振ってるのを横目に、歩き出す。
数メートル進んで、やっと距離をとると、ふみくんがポツリと言った。
史記
楓弥
帰ってすぐ、ベッドにダイブして スマホを開いた。
ふみくんがアップしてた、 昼間のカフェでの2ショット。
《#ふみふみデート 》
投稿から数時間しか経ってないのに、 いいね数は軽く万を超えてて、 コメント欄も凄まじい勢いで 更新されてた。
「ガチで付き合ってたの!?」 「この距離感やばすぎ!」 「楓弥くんの照れ顔が尊い」
スクロールすればするほど、予想以上の反響が押し寄せてきて――
楓弥
胸の奥がざわついた。
これ、全部“演技”なのに。
でも、演技だって知らない人たちは、 “本当に付き合ってる”って 信じてくれてる。
楓弥
そう思うと、なんだか喉の奥がぎゅっと苦しくなった。
楓弥
俺は短く「了解です」とだけ返して、 スマホを裏返した。