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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

同時刻

──馬渡(まだら)島

 

 

 

影山家本部

〜末 side〜

ガタッ

BoE構成員

ま、末代表、敷地の門の内側にこんなものが……!

……ほう?

あの鳴海のお転婆娘が、まさかこんな 辺境な地まで旅をしに来るとは……

(塩谷ノ浦……ここから少し北にある小さい浜辺か)

いいだろう、ちょうど誰もいなくて暇を持て余していたところだ

今更何をしようが無駄、 既に革命の歯車は回り始めている

少しの間屋敷を空ける。あちら側のことは頼んだよ

BoE構成員

はっ!

 

 

 

ザザ──……

静かに揺れる波打ち際、 日は既にほとんど落ちている

……来ましたか

あぁ、暇してたんでな

お久しぶり……いえ、この場合は、“初めまして”と言った方が適切でしょうか。

それでは改めて。私は現鳴海家総代、鳴海瀬と申します

へぇ……名が変わっただけで随分な変わりようだな。あの頃のお前が嘘みたいだ。

……それで、何が理由でこんなところに呼び出した?

簡単に言えば、貴方と話をする為です

話か。てっきり手を出してくるのかと……。

……あぁ、そうなると、お前の御付きが黙ってないってわけか

真瀬

……言動にはくれぐれも気をつけるように。例え影山の総代と言えど、もしもの時は容赦しない

分かったよ。それで、こんなところでするお話の議題は?

それは、たったこれだけです。

──“今すぐ作戦を中止しなさい。さもなければ、貴方が一番後悔する”

そう伝える為に、参りました

 

──魔法界

〜真冬 side〜

僕は“氷翼(アイスウィング)”で上空から、 そらるさんは“アクアボード”で地上から、 それぞれ捜索する

真冬

ここら辺は見当たらない……。

真冬

……ん……?

少し遠くの細い道に、 何やら見覚えのある影を見つけた

真冬

そらるさん!

報告する為に、そらるさんが 走っている地上付近まで高度を下げる

彼方

どうした?

真冬

ここから少し進んだところを曲がった先に、何故かうらさかがいて……

彼方

は? 何であいつらが……?

2人のチームが探している場所は ここと逆方向、天ちゃんもいるし、 道に迷うこともないはず

真冬

(その天ちゃんが見当たらなかったのが、少し気がかりだけど……)

彼方

……一応行ってみるか。道は?

真冬

このまま直進した先にある路地を左です

彼方

分かった

 

例の場所まで移動すると、 やっぱりそこにいたのは、 うらたさんとさかたんの2人

何故かこちらに背を向けて、 その場に佇んでいた

真冬

……2人とも? ここで何してるの?

普段と違う雰囲気を感じながら、 恐る恐る声をかけてみる

彼方

天月はどこいった? お前ら一緒に動いてただろ。何でこっちに──

ヒュンッ

彼方

っ──!?

真冬

なっ……!!

そらるさんの顔のすぐ真横を、 緑に光る何かが横切った

真冬

(今のは……“葉刃(リーフブレイド)”……?)

間違いない、これはうらたさんの技だ

渉?

……あれ? そらるさんだったのか。すんません、間違えた

優?

ちょっとうらさん、仲間くらいちゃんと見分けてや!

渉?

わりぃわりぃ。だって……

優?

あぁ、そうか。2人はもう──

 

彼方

は……??

こちらを振り返った2人は、 不敵な笑みを浮かべて、 声を合わせてそう言った

真冬

2人とも、何言って……。

真冬

っ……?

この2人、魔力の気配がおかしい

普段から僅かに闇の気配はするけど、 今はそれが、大きすぎるような……

彼方

……誰だ、お前ら

そらるさんも気づいたらしく、 低い声で言い放つ

明らかに2人ではない。 でも、じゃあこれは一体誰?

真冬

(拓とレイの時みたいな、木魔法の“変化(アピアランス・チェンジ)”ではない……)

闇使いよりも強い闇の気配なのに、 うらたさんが飛ばしてきた魔法は、 黒点が混じらない純粋なものだったから

真冬

(だったら、どうやって姿を真似てるんだ……?)

 

〜渉 side〜

なっ……

ど、どうなっとるんや……!?

何故か反対方向に向かったはずの そらるさんとまふが、目の前に現れる

(それだけじゃない、何で攻撃を……!!)

真冬?

あははっ、3人ともびっくりしてる

彼方?

無理もないだろ。だって俺ら──

は、はぁ? 何言って……

翔太

……2人とも騙されないで、アレはそらるさんとまふ君じゃない。気配が違う

気配……? ……あっ

……確かに、いつもの2人からは 感じないようなデカい闇の気配がする

翔太

“変化(アピアランス・チェンジ)”でもない……これは……?

〜百瀬 side〜

百瀬

……幻術だ

目の前にいる、もう一人の俺と 96猫さん、そして天月君を見て、 確信する

シャノン

幻術……?

アラン

もしかして、例の闇属性の能力というやつか?

百瀬

うん。だからこいつらは、影山の使いだと思……うおっ!?

キィンッ!

アラン

戦いの場で余所見は禁物。あの2人に教わっていないか?

偽物の天月君が飛ばしてきた “光矢(ライトアロウ)”を、 アランが魔法で咄嗟に弾いてくれる

アラン

ここは俺に任せろ。偽物3人くらい、俺一人で事足りる

百瀬

え、でも……

アラン

流石に死ぬまでは戦わないさ。無茶をすれば、元上司に怒られそうだからな。

アラン

それに、仲間を相手にするのは戦いづらいだろう

シャノン

……うん、分かった。任せる!!

百瀬

気をつけろよ!

アラン

言われなくとも

〜真冬 side〜

キィンッ!!

真冬

ぐっ……!!

さかたんの紅陽炎を桃雪華で受け止める

すると火魔剣の影響で、剣と剣の 接触面から火の粉が吹き出した

真冬

(っ!! まずい……!!)

以前は火の粉を直接浴びていなくても 身体が溶けかけたのに、 こんな至近距離で食らったら……!!

彼方

まふ!!!

真冬

くっ……!!

背後でそらるさんの叫び声が響く中、 せめて相打ち覚悟で、 相手の眼前に左手を構えた

そして、そのまま魔法を──

真冬

(……って、あれ……?)

何故か身体は溶ける様子がない、 そればかりか、そもそも熱すら 感じないことに気づく

真冬

(でも何で……?)

真冬

……っ!! まさか……!

──影山家は、幻術に長けている

はっとなるせ君の言葉を思い出して、 一度相手を跳ね除けて、 そらるさんの元へ戻る

彼方

まふまふ、身体は……

真冬

僕は大丈夫です! それよりあいつらの正体、何となく分かりましたよ

さっき気づいたことを、 そらるさんに伝える

彼方

影山の幻術……そうか、だからあの2人の見た目で、魔法も2人の属性のものを飛ばしてるように見えて……

真冬

だけどあくまで幻だから、僕の身体はあの火の粉を食らっても溶けなかった。

真冬

つまりあの2人は、影山の闇属性使いが、自分達の姿をうらさかに見えるよう幻術をかけてるだけ

彼方

なるほどな、違和感の正体はこれか

真冬

僕が身を挺して見破ったんですから、感謝してくださいよ?

彼方

はいはい。それより、正体も分かったことだし、ぱぱっと片付けて進ませてもらうか

真冬

ですね。別に助けを求めるほどでもないし

僕らはこれまでの経験で、 仲間を疑う力も、仲間を信じる力も 持っている

真冬

(残念だけど、僕らにそんな攻撃は効かないよ)

彼方

行くぞ!!

真冬

はいっ!!

 

〜渉 side〜

キィンッ!!

翔太

くっ……!!

……おかしい

真冬?

“氷矢(アイスアロウ)”!

翔太

……っ!! ぐっ……!?

まふと競り合っていた天月が、 至近距離で撃たれた魔法に被弾する

おい、天月!?

ちょっ、どした!? あれくらいいつも避けれるやろ!?

そう、いつもならあんな攻撃、 天月ならすぐに避けている

数時間前まで傷だらけだったとはいえ、 その傷は全部治ってるし、ゆっくり 休んで魔力も十分回復しているはず

(なのに、こいつの調子がここまで落ちてるのは……)

翔太

っ……そう、だけどっ……!!

あれはただの幻やろ!? さっき自分で言っとったのに……!

翔太

っ……──ない……!

……?

 

翔太

──っ僕には、出来ない……!!!

魔法使いは何を唱う? -紫苑の叛逆者-

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