礼拝堂
空泉
遅いぞー‼︎走って来ーい‼︎
凛
別に急がなくてもまだ4時間程ありますよ。
空泉
いやいや、あまり凛を独占しちゃうと柚葉が怒っちゃうからさ笑
凛
それで、何を話したいんですか?
空泉
何か冷たいな〜...
空泉
まぁいいや。凛、手出して‼︎
凛
何でですか?
空泉
いいから‼︎
スッ
空泉
これあげる‼︎
ポンッ
凛
何ですかこれ?液体の入った小瓶?
空泉
それは魔法の薬でね、それを飲むと嫌な思い出を忘れさせてくれるんだよ。
凛
...それって鼎さんと弾さんの記憶を消したやつですか?
空泉
えっ。
凛
柚葉さんから聞いたんですよ。そうですよね?
空泉
はぁ...せっかく内緒にしようと思ったのにー。
凛
つまりこの液体を飲めば、圭さんを忘れることができる...
凛
誰がそんな薬進んで飲みますか?
空泉
まぁまぁ落ち着きたまえよ。何も私は強制的に飲ませたい訳じゃないんだ。
凛
と言うと?
空泉
ただ...私のこと憎んでないかなってね。
凛
どうしてそう思うんですか?
空泉
君を含めた抗体人間は私達、特遺研が生み出した生物兵器だ。
空泉
戦争のためだけに使われる道具として生まれた。
空泉
でもそれは私達が君達を創ったことから始まった。すべての悲劇は私達から始まったんだよ。
凛
...それが何だって言うんですか?
空泉
憎悪の気持ちは無いの?
凛
憎悪も何も全て過去の話じゃないですか。私は過去の出来事に執着するほど性格は歪んでませんよ。
空泉
...優しいんだね。いや、それとも本心を隠しているだけかな?
凛
そうやって疑うところ、圭さんの方が歪んでいると思いますよ。
空泉
まぁ憎んでないならいいや。あ、でも飲みたかったら飲んでいいからね笑
凛
だから飲みませんって。
凛
それより圭さんに聞きたいことがあるんですが...
空泉
ん?どったの?
凛
どうして圭さんは笑っていられるんですか?
空泉
ん?どゆこと?
凛
誤魔化さないで下さい。私達を島に呼ぶために下界に行ったんですよね?その時に見ているんじゃないですか?
空泉
一体何を...
凛
凛
圭さんも下界に戻れないんですよね?
空泉
...何のことだか。
凛
圭さんは下界に行った際、進んだ技術の発展を目の当たりにした筈です。
凛
そこで知ったんですよね?あの“装置”の存在を。
空泉
どうやら全部お見通しか。なら悔いを残さないためにも話しとこうかな笑
空泉
私が下界に降りた際、ある家族に出会ったんだ。その家族は娘さんと妻で大きな施設に入って行ったんだよ。
空泉
そこは“遺体仮安置施設”って場所でね。亡くなった遺体や意識不明者に“生命維持装置”を付けて別れを延ばすっていう場所だったんだ。
空泉
その生命維持装置は現段階では9ヶ月まで別れを延ばすことが出来て、期間を過ぎたら強制的に機能を停止させ火葬される。
空泉
それは死んでいても意識不明でも条件は同じだった。
凛
そして島での1日は下界での1分、つまり圭さんが漂流してから2万1500年が経ちます。
凛
これは下界の時間に換算すると約15年程になるんですよ。
凛
だから既に圭さんの身体は火葬されてしまった...
空泉
ピンポーン‼︎流石名推理だったよ笑
空泉
もう私の身体はどこにも無いのだ〜‼︎
凛
やっぱり...
空泉
でもね私は別にいいんだ。だってそれよりも重大なことに気が付いたからさ。
凛
重大なこと?
空泉
管制塔に行く前、私は時間がないって言ったよね?あれは島と下界の時間の流れのことを言っていたように聞こえたでしょ?
空泉
でも本当はそれだけじゃないんだよね〜。
空泉
実はこの話には続きがあってね。
空泉
その家族の後をついて行くと見覚えのある顔が台に横たわっていたんだ。
空泉
空泉
それは弾だった。
空泉
つまりその家族は弾の娘さんと妻だったんだよ。
空泉
私は動揺しつつも、さらにあることに気が付いた。それは生命維持装置が付けられてからの期間だった。
空泉
空泉
8ヶ月29日5時間50分。つまり火葬されるまであと僅かしかない。
空泉
弾は娘さんと喧嘩別れしたって言ってたけど、そんな別れの後漂流したって何か悲しいじゃん。
空泉
だから出来るだけ早く下界に帰してあげたいんだ。
凛
なるほど...ちなみに娘さんと奥様はどんな様子でしたか?
空泉
娘さんは当時を悔やんでいたよ。奥さんは暗い表情で泣いていた。
凛
そうでしたか...
空泉
さて、そろそろお開きにしようか‼︎柚葉の別れの時間を多く取らないとね‼︎
空泉
じゃあ柚葉呼んでくるね〜‼︎
タッタッタッ






