TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

第二話 「声なき銃声」

東京

…福岡が来る?

報告を聞いた東京は、眉ひとつ動かさなかった。

神奈川

『誤解を解きにきた』と……名目は和平会談です。

東京

“火に油を注ぎに来た”の間違いじゃないのか?

東京は立ち上がると、机の上に置かれた小さな箱を手に取る。

開けると、銀の弾丸が一発__。静かに光った。

東京

念のためだ。会談用の部屋に“あれ”を仕掛けておけ。

神奈川

……かしこまりました。

東京 vs 福岡、表向きの“会談”。

だが空気は刺すような静寂で、言葉一つ一つがナイフのようだった。

福岡は、常に陽気な笑みを浮かべる男。

けれどその眼だけは、蛇のように鋭く、相手の心を射抜いていた。

福岡

いやあ〜、久しぶりやねぇ。東京。元気にやってる?

東京

その“元気”をくれたのは誰だったかな。

東京

お前の荷物、うちの港で見つかったよ。

福岡

あれ、そっちで片付けといてくれると助かるんやけどなぁ。

福岡

ちょっと手ぇ離せんくて。

東京

……そうか。なら“代金”も、払えないな。

緊張が走る。

その瞬間、部屋の片隅にいた福岡の部下が、わずかに手を動かした――。

動くな。

すでに東京の護衛たちが銃を構えていた。

福岡

……なに、みんなピリピリしすぎじゃない?

福岡はあくまで笑顔。だがその内心は、冷ややかに沈んでいた。

福岡

(……やっぱり、“東京の神経”は、限界まで研ぎ澄まされとる。)

福岡

(今の奴、下手に刺激したら誰でも焼き払うやろうな)

東京のビルの屋上。

そこには静かに銃を構える男の影。

指令通り、標的の脳幹……狙える位置に入った。どうする?

通信の先にいたのは――北海道。

東京

……撃つな。まだ“契り”の証拠がない。

北海道

だが奴らは“契り”を破った。東京を挑発してる。

東京

確かにな。“戦火”を焚きつけたいのかもしれん。

東京

だが……火を点けるのは、まだ俺の仕事じゃない。

スコープ越しに見える、福岡の背中。

それを見つめながら、北海道は静かに銃を下ろした。

北海道

……次に裏切ったのは、俺かもな。

長野

“火種”は動き出したよ。

長野

東京と福岡、もう言葉の裏に硝煙が漂ってた。

報告するのは、長野。

それを聞きながら、愛知はゆっくりと緑茶を啜った(すすった)。

静岡

表の均衡を保ち、裏で崩す……僕らのやり方は変わらない。

静岡

でも、“東京”の焦りが本物なら、もう少し火をくべてみようか。

静岡が囁く。

長野

じゃあ、動かす? “あの兵隊たち”。

愛知

まだ早い。

愛知

けれど……一人だけ、出していいかもしれないね。

静岡

誰を?

愛知の指が、地図の“広島”をなぞった。

福岡

これで、少しはお互いの疑念も解けただろ?

そう言って握手を交わす福岡と東京。

だがその手の温度は、氷のように冷たい。

東京

ああ。次に会う時は、もっと静かな場所にしよう。

福岡

例えば?

東京

……火葬場、とか。

福岡の笑みが、わずかに凍った。

東京は車の後部座席で黙っていた。

神奈川

首領。どうしますか。次は――。

東京

……一つ、“火”を消そう。

彼が向かったのは__。

宮城。

次回

――誰も、先に撃ったとは言わない。

第三話 「花弁の下に、銃を伏せた。」

花は血で咲いた。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

543

コメント

15

ユーザー

神 東京さぁん(?) 明日が楽しみぃぃ!!!!!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚