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春、桜が満開を迎えたころ。 咲はついに大学生になった。

慣れないキャンパス、初めての講義、 自己紹介に緊張しながらも、 通学バッグには哲汰からもらった 小さなキーホルダーをつけて、 そっとお守りにしていた。

そんな咲に、ある日、哲汰から連絡が入る。

哲汰

咲ちゃん、ひとつ報告!

ーーーー!

哲汰

……ドラマ、決まった!

!!!

哲汰

ーーー笑

スマホの画面越しでも、彼の高揚した様子が 伝わってきて、咲は思わず口元がゆるんだ。

(すごい……!おめでとう!)

ただいまー

帰宅後、玄関で迎えてくれたのは、 いつも以上にキラキラした笑顔の哲汰だった。

哲汰

咲ちゃんおかえりー(*^^*)

哲汰

レギュラーで、
しかも主演じゃないけど、
けっこう重要な役。
しかも、原作付きのドラマで、ファンも多いんだって!

……ほんとにすごい。
どんどん夢、叶えてくね

咲は素直に嬉しかった。 でもその奥で、少しだけ胸がチクっとしたのも 事実だった。

(これから、ますます
忙しくなるんだろうな)

(一緒にいられる時間、
減ってくんだろうな)

そんな不安を、哲汰はすぐに見抜いたように、 咲の手をぎゅっと握った。

哲汰

でも、咲ちゃんとの時間は
なくさないよ。
どんなに忙しくても、絶対に

……言ったね?

哲汰

うん、何回でも言う。
咲ちゃんがいるから、
俺頑張れてるし。
大学、どう? 大丈夫?

うん、なんとか。
広すぎて迷子になりかけたけど

そう言い合って笑いながら、 リビングのソファに並んで座った。

夕飯を食べながら、咲はふと思った。 彼の夢はどんどん広がって、 自分も新しい世界で一歩ずつ歩き始めていて。 それでも、こうして帰る場所が“同じ”って、 すごく特別なことなんだ。

……がんばってね、ドラマ。
ちゃんと、全部見るから

咲は湯気の立つ味噌汁をすくいながら、 ぽつりと言った。

哲汰

うん、じゃあ……

哲汰は咲の方を見て、小さく笑った。

哲汰

放送初回の日、仕事終わりに
帰ってきたら、“一緒に見て”
くれる?

うん。何があっても、
一緒に見る。

咲は頷いた。

それが、ふたりの“新しい春”の約束になった。

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