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あの連絡があってから数ヶ月後。

ついに今日はドラマ初回放送の日。 夕飯を終えて、咲と哲汰はリビングの ソファに並んで座っていた。 テレビの前、スナック菓子と咲が入れた あったかい紅茶。 リラックスした空気の中で、 いよいよ番組が始まる。

画面には、オープニングでキャスト紹介―― 「関 哲汰」の名前が映ると、 咲は小さく拍手して笑った

はじまったね

哲汰

うん。……ちょっと緊張する

画面が切り替わり、ストーリーが進みはじめる。 舞台は男子校。青春の空気の中に、 じわじわとふたりの関係がにじみ出していく。

そして―― 画面に映ったのは、 哲汰が演じるキャラクターが、 もう一人の男子キャラの顎をそっと持ち上げ、 距離を詰めていくシーン。

「……なあ、俺のこと、もっとちゃんと見ろよ」

低い声、少し照れた笑顔、そして―― そのままの流れで、キス寸前まで顔が近づく。

……そして唇が触れた。

画面の中では、切ない音楽が流れている。 けれど――咲の中に走ったのは、 キュッと胸をつかまれるような、 予期せぬ感情だった。

(……わかってる、仕事だって。演技だって、ちゃんと……)

でも、 でも、どこかザワザワしてしまう。

そのシーンが終わったあとも、 咲は言葉少なになった。 目はテレビを向いているけど、 まるで心ここにあらずのように。

すると――哲汰が、 ちらっと咲の横顔を見て言った。

哲汰

……モヤモヤ、してる?

……うん。ごめん、変だよね。ドラマってわかってるのに……なんか、胸がムズムズするっていうか

咲は一瞬驚いたように目を開いたけど、 否定はしなかった。

哲汰

ううん、変じゃない。むしろ、正直でいい

哲汰はテレビのリモコンを手に取って、 一旦音を下げた。

哲汰

咲ちゃんがそう思ってくれるの、俺には嬉しいよ。だって……それだけ大事に思ってくれてるってことだもんね?

……そういう言い方、ズルい

哲汰

でしょ。でもさ、
俺の“本気の気持ち”は、
テレビの中にはないよ。

哲汰は咲の手をそっと握った。

……うん?

哲汰

カメラの前じゃなくて、誰かの目を気にせずに、本気で“好き”って言えるのは、咲ちゃんだけだから

……ずるいってば、ほんとに

咲は少しだけ目を潤ませながら、でも笑った。

哲汰

安心させたかっただけ

手を繋いだまま、咲はテレビに もう一度目を向けた。 画面の中で役を演じる彼も好きだけど、 今、隣で自分だけを見てくれるこの哲汰が、 何よりも特別だと思った。

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