雲がない青空の下
君を
見つけてしまった。
授業中いつも手に顎をのせて
窓を一日中見ている
隣の席の君の名前。
月島 伊織〈つきしま いおり〉
私はいつも月島くんを 見つめてしまう。
友達
友達
河合 絢芽
友達
じゃないでしょ?笑
友達
次、移動教室だよ!!
河合 絢芽
私の名前は 河合 絢芽〈かわい あやめ〉 高校1年生。
友達
河合 絢芽
クラスメイト
河合 絢芽
クラスメイト
クラスメイト
伊織も可愛いと思わねぇ?
月島 伊織
月島くんは私をジロッと見て、 すぐに視線をはずした。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
ちゃんと笑えてたかな?
河合 絢芽
河合 絢芽
偽物だ。
私はいつも、仮面を被っている。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
いつも帰る道。 ふと横を見ると、 細い道がひとつあった。
なんでそっちに足が向いたのか 分からなかった。
河合 絢芽
細い道をぬけると、海が綺麗に見える広場になっていた。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
私の秘密場所にしちゃおうかな。
河合 絢芽
気持ちいい。)
広場の横を見ると、小さな建物があってがあって、
一人の男の子が海を眺めながら その建物の上に座っていた。
男の子の髪の毛は太陽でキラキラと茶色にうつっていた。
河合 絢芽
河合 絢芽
男の子は私の声が聞こえたのか 私の方にゆっくり向いた。
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
顔が赤くなった気がした。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
ごめん、上の名前、知らなくて。
河合 絢芽
皆が呼んでたからか。)
河合 絢芽
月島 伊織
月島くんは ニッと歯を見せて笑った。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
でも下の名前で呼んでほしいな。
河合 絢芽
あんまり好きじゃないから。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
私はニコッと笑った。
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
伊織は自分の顔をつついた。
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
伊織の顔つきが変わった。
河合 絢芽
河合 絢芽
もう1人の黒い伊織。
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
あぁ、もうめちゃくちゃだ。
顔がぐちゃぐちゃ。
河合 絢芽
もう、 仮面なんてとれている。
これが素の私だ!!!
河合 絢芽
涙、止まんない。
こんなのただの八つ当たりだってわかってる。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
伊織は私の横を通って 背を向けて歩いていった。
そして一言、 今にも消えそうな声で私に言った。
月島 伊織
月島 伊織
…私は
何も分かっていなかった。
私が伊織の事を勝手に 決めつけたんだって。
伊織にも私のように 何かあるのだろうか。
私はその場所をしばらく動くことが出来なかった。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
クラスメイト
クラスメイト
絢芽ちゃん♡♡
河合 絢芽
河合 絢芽
また仮面を被った。
クラスメイト
私はもう席に座っている伊織の隣の席にいつも通り座った。
河合 絢芽
河合 絢芽
ちらっと伊織の方を見ると、 相変わらず
手に顎をのせてつまらなさそうに 窓の外を見ていた。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
私は走って昨日行った道と 同じ道を辿った。
私は確かに、 仮面を被っている。
でも、 簡単に伊織にはバレてしまった。
クラスの皆にもバレちゃうのかな。
なんで、伊織は分かったの?
どうして、私のこと すぐに気づいたの?
私がただ、伊織をずっと見てた。
伊織は私のことなんて何も見てなかったのに。
どうしよう。
私、伊織のこと、ずっと見てたから
いつの間にか好きになってたのかもしれない。
だから、隣の君をずっと見つめてしまっていたの?
河合 絢芽
広場について、辺りを見回した。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
私は後ろを振り向いた。
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
私は頭を下げた。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
伊織は私の頭を くしゃくしゃにした。
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
伊織はニカッと笑った。
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
伊織は私の手を掴んで ずんずん前に進んでいった。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
伊織は建物のドアを開け、 私の手を離した。
河合 絢芽
繋ぎたかったな…。)
建物に入ると、目の前に10段ほどの階段があった。
伊織は階段をのぼっていったから 私もそのあとについていった。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
ガチャ。
月島 伊織
月島 伊織
目の前には海が果てしなく広がっていて、空は深い青色。
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
なんか、君といるときは 仮面が自然に剥がれた。
それがなんでか分からなかった。
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
スマホの時計を見ると もう18時だった。
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
俺はいないよ。
河合 絢芽
じゃあ、私にもまだチャンスはあるかな?)
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
そう言うと、伊織は 悲しい顔をして笑った。
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
じゃあ、誰?
河合 絢芽
あ、素の自分が…。
河合 絢芽
伊織はまた悲しい顔をした。
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
伊織は一瞬、目を見開いて お腹を抱えて笑いだした。
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
伊織は座っていたところから立ったから、私もその場を立った。
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
そう言うと、伊織は 左足の制服のズボンの裾を持った。
そしてゆっくりと持ち上げた。
河合 絢芽
そこに伊織の本物の足首はなく、 義足がはめられていた。
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
一瞬、足を見て固まったけど
私の気持ちは 変わるはずがなかった。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
伊織が瞳から涙を溢した。
それはまるで滝のように。
止まることなく、 流れ続けた。
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
…悩みを
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
言葉は何げない一言でも 相手を傷つけることがある。
それは自分が良くても 相手には 傷つく言葉かもしれない。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
星空の下、 伊織は私にキスをおとした。
それから私たちは ずっと一緒にいた。
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
最近、 あまり元気がなくなった。
河合 絢芽
河合 絢芽
私が行きたかった店。 パンケーキ屋さん
河合 絢芽
河合 絢芽
来たかいがあった。)
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
伊織はアイスミルクティーを 口に含んだ。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
私はパンケーキを口にしようとしたとき
伊織がパクッと食べてしまった。
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
カッと顔があつくなった。
月島 伊織
月島 伊織
素の君が好き。
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
楽しかったその日も
あっという間に終わって
1つの思い出になった。
楽しかった。
この日はきっと忘れないだろう。
しかし、次の日から
終わりを告げた。
おごってもらう約束は果たされず
塵になった。
伊織が姿を現さなくなった。
学校にも来なくなって、
連絡も返事が返ってこない。
私の目の前から消えてしまった。
河合 絢芽
友達
友達
友達
河合 絢芽
伊織がいなくなって 1ヶ月がたった。
友達
河合 絢芽
河合 絢芽
友達
友達
友達
最近の絢芽、何かいいな。
河合 絢芽
友達
河合 絢芽
いつの間にか
仮面なんて 剥がれてしまっていた。
伊織と毎日、過ごしてたから
…仮面のつけ方忘れちゃったんだ。
全部、全部。
伊織のおかげだ。
河合 絢芽
友達
どうやって!!?
河合 絢芽
今、会いたい人がいる。
どうしようもなく
君に会いたい。
会って 話したいことがあるの。
言いたいことがあるの。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
私はただひたすら走った。
行くあてもなく、 ただただ道をさまよう。
河合 絢芽
もう、伊織が行きそうなとこ 探したし
もう、行くとこない。
足もガクガクする。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
ふと横を見ると、 細い道があった。
河合 絢芽
河合 絢芽
初めて、伊織と話した場所。
喧嘩した場所。
私は細い道を走った。
最後の力を振り絞って。
河合 絢芽
小さな建物の上に君がいた。
河合 絢芽
小さな建物のすれすれに 君が立っていた。
河合 絢芽
下には深い海があって、 落ちたら…死ぬ。
河合 絢芽
伊織は右足を一歩前に踏み出そうとしていた。
河合 絢芽
河合 絢芽
私は大声で叫んで、 小さな建物の上まで走った。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
話したいことが いっぱいあるんだから!
ガチャ!
河合 絢芽
月島 伊織
伊織は私に気づいたのか右足を縁に戻して、振り返った。
河合 絢芽
振り返った君は 涙でぐちゃぐちゃだった。
月島 伊織
月島 伊織
君の声はかすれていて 今にも消えそうだった。
河合 絢芽
私は伊織を縁から遠ざけて 押し倒した。
ドンッ!!
伊織が床に寝転がって 私が伊織を覆うように伊織の上に。
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
私は伊織の顔に 涙を落としていった。
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
涙が止まらなかった。
河合 絢芽
私から伊織にキスをおとした。
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
必要とされてないし、
月島 伊織
パァン!!
河合 絢芽
私は伊織の頬を 思いっきり叩いた。
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
必要としてんだよっ!!
河合 絢芽
河合 絢芽
私は私。
河合 絢芽
河合 絢芽
私は伊織の胸をポカポカ叩きながら、涙を溢した。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
私は下ろしてる髪の毛をかきあげて ピアスの穴を見せた。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
私は顔を手で隠した。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
私はもう一度、伊織の顔を見た。
伊織も同じように泣いていた。
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
私は伊織を優しく包んだ。
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
私たちは星空の下、 大きく見つめ合って笑った。
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
河合 絢芽
私が笑ったから 伊織もニカッと笑った。
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
河合 絢芽
月島 伊織
月島 伊織
月島 伊織
俺は絢芽にキスをおとした。
こんなに空が綺麗だから
この日もきっと
良い思い出になるだろう。
ーENDー