TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

本田菊

……ああ!

パッと体を起こす。

するとそこには桐の姿など、どこにもなかった。……

本田菊

夢、だったのでしょうか……?

ほっと、胸の内が和らぐ。

本田菊

ああ、よかった……

そう安心したのも束の間、

召集!

またあの低い声が聞こえてきた。

本田菊

ああ、なんなのですか、もう!

本田は慌てて羽織を羽織り、外へ出た。

アーサー・カークランド

……また、会ったな

カークランド殿の発言に、みな目をそらせる。

アーサー・カークランド

とうとう判断を下す時が来たようだ。……なあ、アルフレッド

アルフレッド・F・ジョーンズ

何で俺に振るんだい?

アルフレッド・F・ジョーンズ

……みんなはもう心構えは済んでいるかい?

ごくり、と生唾を飲む音が口内で響く。

本田の頭の中はもはや真空状態の最中に放り込まれているような心持ちだった。

王耀

……しっかないあるね……

王耀

我は構わないあるよ。第三次世界大戦、しようじゃねえかある

王耀

こうなってしまったら仕方ねえあるからね。……こうなることは、もうわかっていたある。

王殿はふんと鼻で笑いながら、姿勢を崩し、萌え袖にした右手を頰に当てた。

王殿の発言により、ボヌフォワ殿も姿勢を崩した。

フランシス・ボヌフォワ

お兄さんも、あのあと色々考えたんだけどねえ

フランシス・ボヌフォワ

やっぱりあの頃の俺たちが一番“話し合い”がうまかったと思うんだよねえ

フランシス・ボヌフォワ

だから、お兄さんも賛成。

イヴァン・ブラギンスキ

そうだねえ。

イヴァン・ブラギンスキ

何なら僕もうしてるし、規模がちょこっと大きくなるだけだから大丈夫だよ〜

ブラギンスキ殿も手をパチパチとたたきながら、賛同を促す。

本田は焦って、ルートヴィッヒ、ヴァルガスの方を見る。

二人も同様に本田のことを見つめていた。

アルフレッド・F・ジョーンズ

フェリシアーノ、ルートヴィッヒ、菊。

ジョーンズ殿の明るく軽快ながらも、じっと牽制するような声色に、本田はびくりと怖気付く。

……そう、これは、ほわほわとした世界会議ではない。

戦争経験のある大国同士の、いがみ合いなのである。

ルートヴィッヒ

俺は……賛成しようと、思っている

フェリシアーノ・ヴァルガス

お、俺も……

本田菊

え……?

ルートヴィッヒとヴァルガスの言葉に本田は思わず絶句した。

あの二人なら、いつもの調子でやめた方がいいさと笑ってくれると思っていたのに……

アルフレッド・F・ジョーンズ

そうか! やっぱり二人もそう思うか!

アルフレッド・F・ジョーンズ

ちなみにどうしてなんだい? 心変わりするきっかけでも?

ルートヴィッヒ

……純粋に、今のままではいけないと思っただけだ。

ルートヴィッヒ

話し合っても条約を結び合っても、結局解決には至らなかった

ルートヴィッヒ

それは戦争時も同様だと言われれば何も反論はできないが……

ルートヴィッヒ

だが、残された道は、もうさほど、残っていないのだろう?

ルートヴィッヒ

なら、もういっそのこと、奪い合っていた方が幸せだ。

諦観の混じった眼差しに、本田は慌てて目を伏せる。

見たくない現実がまた足音を立てて、本田の心を蝕んでいく……

フェリシアーノ・ヴァルガス

俺も、ルートと同意見だよ

フェリシアーノ・ヴァルガス

ルートとも……菊とも話したんだけど、

フェリシアーノ・ヴァルガス

今の俺たちにはこの混濁とした世の中を一掃することはできない。

フェリシアーノ・ヴァルガス

平和であろうとするたびに、だんだんと軋轢が生まれて……

フェリシアーノ・ヴァルガス

死ぬか生きるかじゃないもんね

フェリシアーノ・ヴァルガス

死ぬか殺すかだもん。

フェリシアーノ・ヴァルガス

だったら、殺し合った方がいいでしょ……?

フェリシアーノ・ヴァルガス

俺、嫌だよ。俺、自分の子どもたちのこと、殺せないもん……

本田菊

……フェリシアーノくん……

アルフレッド・F・ジョーンズ

ようし、なら、決まりだな!

ジョーンズ殿はどこから出したかわからないガベルを、カンカンと机に打ちつける。

アルフレッド・F・ジョーンズ

第三次世界大戦を三年後に開始しよう。

アルフレッド・F・ジョーンズ

それまで各々準備を進めておいてくれ。

本田菊

待ってください!

声が割れるほどの声量で本田はジョーンズ殿の言葉を遮る。

ギリギリと喉が痛む。

アルフレッド・F・ジョーンズ

……またかい、菊

アルフレッド・F・ジョーンズ

もういい加減、諦めたらどうだい?

アルフレッド・F・ジョーンズ

それともなんだい? また俺に“慰めて”もらいたいのかい?

アルフレッド・F・ジョーンズ

……君はバカだね。食料を得るためなら、俺に体でも売れるのかい?

アルフレッド・F・ジョーンズ

俺たちアメリカ人の精液の入ったコンドーム入り雑煮も、

アルフレッド・F・ジョーンズ

俺たちが食べ残した肉のかけらも、乞うように食べて……

アルフレッド・F・ジョーンズ

俺の知る“日本”はそんなんじゃなかったのにな

アルフレッド・F・ジョーンズ

……でも良いよ。存分に可愛がってあげるから。

ギリ、と唇に歯が食い込む。

本田菊

……私は、私は第三次世界大戦をすることを、戦争自体を嫌悪しています

本田菊

……なので、戦争はしたくありません……

本田菊

話し合いをしましょう、武器をすべて処分しましょう

アーサー・カークランド

それでは、何の解決にも至らない。

アーサー・カークランド

もとより、俺たちが今回戦争するに至ったのは、戦争問題ゆえじゃない。

アーサー・カークランド

環境問題ゆえだ。

アーサー・カークランド

……いい加減、腹を括れ。キク・ホンダ

本田桐

本当に、争いを貴様は恐れているのか?

本田菊

黙れ……

本田桐

そうだ。貴様はまだ“強さ”にこだわっている。

本田菊

黙れ……!

本田桐

“豊か”にこだわっている。“高さ”にこだわっている。“優秀”にこだわっている……

本田菊

黙れ、黙れ黙れよ……

本田桐

貴様が私を恥じることも、私を貶すことも、私を邪険に扱うのもできやしない。

本田菊

黙れ黙れ黙れ……!

本田桐

貴様の“見栄”が、この私なのだから……

本田菊

ああ、もう黙れ、くそやろう!

ガシャーン

何かが割れた音が辺りを飽和した。

ハッと我に返り、辺りを見渡す。

ああ、机の上にあったガラス製のコップが割れている。

やってしまった……

アルフレッド・F・ジョーンズ

……それが、君の気持ちかな?

本田菊

あ……

アルフレッド・F・ジョーンズ

でも俺は君の意見を尊重はしない。

アルフレッド・F・ジョーンズ

君がどれだけ苦しんでいたとしても、君以上に苦しんでいる国民はたくさんいる

アルフレッド・F・ジョーンズ

だから、俺たちは第三次世界大戦の準備をするよ。

アルフレッド・F・ジョーンズ

もしできないのなら、俺が君のところに原爆を落としてあげる。

アルフレッド・F・ジョーンズ

今度はリトルボーイでもフットマンでも比べものにならないものしてあげるから

ジョーンズ殿はすくっと立ち上がる。

そして、パシンと手をたたき、満面の笑みで

アルフレッド・F・ジョーンズ

これによって世界会議は終了だ!

アルフレッド・F・ジョーンズ

三年間の猶予を設けるからその間に準備を済ませておいてくれ

アルフレッド・F・ジョーンズ

みんな平等でないと闘いではないからね!

アーサー・カークランド

なあ、アルフレッド

アルフレッド・F・ジョーンズ

なんだい?

アーサー・カークランド

……協力はなしか?

アルフレッド・F・ジョーンズ

……なしだね!

本田菊

……

この作品はいかがでしたか?

317

コメント

2

ユーザー
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚