本田菊
眼前に広がるのは300万以上ある墓石。
これは……本田の細胞の一つ一つ……いわば、日本国民だった尊き命が眠る場所なのである。
本田菊
世界大戦により犠牲になった兵士や民間人の遺骨の一部を、
ご家族の許可を得て、本田宅の敷地内に埋めさせていただいた墓なのであった。
本田菊
あの時の出来事を思い出すだけで、胃の中がむかむかする。
目の前で散り散りになっていく子どもたちの体。
それを踏み潰して敵陣へと走る我が子。
どんなに苦しくても、痛ましくても、祖国のために努めざらむはあらじと走り続けていた。
それを……
本田はまた無力にも引き起こしてしまうのだ。
アルフレッド・F・ジョーンズ。
千に満たぬ若造。
この人により、……と言うと、あたかも本田だけが悪くないように聞こえるが、そんなことは決してない。
だが、本田はこの国により、右半身に大きな傷を負った。
それは、WW2を経てからも同様だった。
アルフレッド・F・ジョーンズ
終戦から数ヶ月が経過した頃、彼は我が物顔で我が国へ訪れていた。
本田菊
本田菊
アルフレッド・F・ジョーンズ
アルフレッド・F・ジョーンズ
彼は荒れた室内の瓦礫の上に腰をおろし、本田を見上げる。
本田菊
本田は来ていた羽織を脱ぎ捨て、包帯だらけになった裸体をあらわにした。
ジョーンズは、ぴくりと眉を動かした。
本田菊
ジョーンズの膝の上に足を開いて座る。
右足に激痛が走るが、気になどはしない。
こうでもしなくちゃ、国は守れない。
ジョーンズは冷えた本田の腰に手を回し、
アルフレッド・F・ジョーンズ
と、腰に回した手を本田の首筋まで移動させる。
アルフレッド・F・ジョーンズ
アルフレッド・F・ジョーンズ
アルフレッド・F・ジョーンズ
アルフレッド・F・ジョーンズ
首元にかけられた手が、じりじりと力で押されている。
アルフレッド・F・ジョーンズ
本田菊
本田菊
痛かった。苦しかった。
あんなにも艶かしく生々しい声で誘惑したのも、恨んでいる相手にへりくだるのも、気分が悪かった。
でもこうしないと生きていけない。
アメリカ軍のおこぼれで、日本国民は生きながらえている。
アメリカ人が吐いた唾でも、ゴムの中身でも、排泄物だっていい。
国民の、子どもたちの、笑顔が見られる日が来ると思えば、こんなことどうだって構わない。
本田菊
本田菊
本田菊
ぎり、と手にしていた菊の花の花弁がはらりと落ちる。
本田菊
本田菊
本田菊
メラメラと心の奥底から、ドス黒い感情が芽生えてきているのを感じた。
2026年2月11日。
これにて、日本国はかつて栄光を共にした大日本帝国として独立し、世界のあらゆる腫瘍を取り除くこととする。
すなわち、大日本帝国は第三次世界大戦による火玉から祖国を守るため、戦争への参加を承諾する。
このニュースは瞬く間に国内に広まっていき、そこには混乱と焦り、また喜びや使命を感じる者がいた。
そして、恐れ慄き政府ヘテロを起こそうとする老若男女、誰問わず乱射の許可を下し、国民を恐怖の窮地に追い込ませた。
すべては国民の平和のために。
王耀
日本国、いや大日本帝国の報告を耳にした中華人民共和国、王耀は怒りでどうにかなりそうだった。
王耀
王耀
頭を掻きむしる手がとまらない。
腹立たしい。計画をむちゃくちゃにされて腹の虫が治らない。
王耀
王耀
王耀
コメント
4件
一気見しました!最高すぎました❣️