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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

俺の後ろに隠れる桜君を 気にしながら、 桜君が大好きな 食べ物を食べに、 ポトスの扉を開けた。

周りをキョロキョロ見回す 君が、本当に可愛くて仕方がなかった。 俺の背後にいる当たり、 少しは心を開いてくれたんじゃないかと 少し浮足がたった。

ことは

あっ!!桜~!!!
久しぶりじゃない!
怪我大丈夫!?

ことは

子供守ったんだって!?
偉いじゃない~!

ことは

桜の好きな物いっぱい食べていきな!

中に入ると陽気な 声が聞こえてきて、 急に自分の名前を 呼ばれた桜君は ビクリと身体を震わせた。 年齢が少し低いからか、 俺たちが出会った当初より 威勢はなく、 少しあどけない。

蘇枋

ことはさんすみません、
簡潔にまとめますが、
色々あって今桜君の記憶が
無いんです。

ことは

ほんっとに簡潔にまとめたわね……

ことは

じゃあ今の桜は
私らが知ってる桜じゃないって事ね

蘇枋

そういうことですね

詳しい事情は聞かず、 全て飲み込んで ことはさんは桜君に話しかけていた。 人を怖がる目をした桜君は 自分のペースをかき乱す様な 明るい声をしたことはさんに 少し困惑をしていた。

ことは

桜。
今何歳?

多分13くらい。

素っ気なく返した言葉。 その顔は少し赤く火照っていた。 病室で初めて俺にあった時とは すごい違いだ。 敵意をむき出しにしていた目は、 今では照れくさそうに下を見ていた。

これも色んな人と関わった お陰なのだろうか。 幼い君の記憶に、 少しでも楽しい思い出が残ればいいな。 その願いはきっと君には 届かないだろう。 俺は顔を赤くした君を 優しい顔で見つめた。

ことは

桜、オムライスでいい?

お、おう……

よく分からないと言う顔を しながらも 小さい声で頷いていた。 身長等は 元の桜君のままなのに、 少し幼いその性格の所為か、 少し低い身長が さらに低く見えた。

ことは

桜、珈琲は飲める?

こ、こー……ひ?

ことは

わかんないかぁ

蘇枋

すっごく苦い飲み物だよ

蘇枋

今の桜君には
ジュースでも頼もうか

記憶があった俺は……
そのこーひー?とかいうの
飲んでたのか?

ことは

そうねぇ
毎回って言うほど飲んでたわよ

じゃ、俺もそれ飲む

蘇枋

本当に大丈夫?
今の桜君には
少し厳しいんじゃ…

年齢も下がっているから、 舌の感覚も子供っぽいのでは? と思ったので辞めた方が 良いと思ったのだが、 彼の何かを刺激してしまったのか、 ヤケになって 絶てぇ飲むっ!!! と言い出した。 言い方は少し幼いが、 こういうことを言われると 意地でも飲むという姿勢は、 君のままだった。

ことは

じゃ、珈琲ね

ことは

飲めなかったら
そこの保護者にでも
飲んで貰いなさ~い笑

俺達が付き合っていたのを 知ってるからか、 保護者というワードを使い、 関節キスを促してきた。 付き合ってしばらく経つが、 俺の恋人は極度の恥ずかしがり屋だ。 まだ関節キスすらしたことが無いのになと、俺の思考にでてきた。

飲めるし……

蘇枋

まぁまぁ桜君。
落ち着いて

でもお前珈琲飲めんのかよ
いつも甘そうな茶しか飲んでねぇ
じゃん。

蘇枋

桜君こそ
水しか飲まないくせに~

彼が水しか飲まないのは、 きっと透明な飲み物に 安心感か何かを覚えて いるからだろうか。 昔、飲み物に何か 盛られたのだろうか、 彼は頑なに水ばかり 飲んでいた。 そんな彼が急に珈琲を 飲みたいと言い出したのは もちろん驚いた。

ことは

ほらアンタら!いつまでそこ
突っ立ってんの!
さっさとカウンター席座りなさいっ!

蘇枋

それもそうだね。
桜君。座ろうか

お互い深いことは干渉しない 様にしているが、 彼の行動やこぼれ落ちた言葉には、 彼の心の闇が垣間見え、 俺の心を抉った。 苦しくてつい胸を抑えるが、 彼にはすぐ気づかれてしまい どこかしんどいのかと、 心配までさせてしまった。

ことは

ほら、桜、いっぱい食べな!

目の前に出された オムライスに顔が 一気にパッと明るくなった桜君に 微笑ましさを感じた。 慣れない手つきで、 スプーンを持つ所も、 本当に愛らしい。 こと言葉がつい漏れてしまわないかと 考えながら言葉を口にした。

蘇枋

美味しい?

!!

急に話しかけられびっくりしていたが、 顔は明るいまま、 大きく頷いていた。 幼い頃の君を見られた感じをして、 少しの嬉しさを感じた。 そして、こんなに可愛い君を、 周りの人間がどう非難したのかを 考えると、 多少の怒りも湧いてきた。

こ、これ!ていくおふできるのか!!

ことは

テイクアウトな
できねーよ

そ、そうか……

桜君が質問をしたが、 ことはさんが答える合間に 少しの間があったのを 俺は見逃さなかった。 一瞬ことはさんが 驚いた顔をしていたのは、 きっとこの会話に、 なにか思いれでもあったのだろうか。

ことは

ほら、桜
これがコーヒー

目の前に出されたコーヒーに 少し戸惑いながらも 口をつけた桜君。 飲んだあと、 下をべっと出して 顔をきゅっと顰めていた。 案の定苦すぎた様だ。

蘇枋

桜君、大丈夫?

……

やっぱ、戻れねぇか…

蘇枋

?桜君?

いや、なんでもねぇ
これちゃんと自分ので飲む

蘇枋

偉いけど、
俺が飲むよ?
桜君は水飲む?

……

じゃ水……

ものすごく考えた顔をし、 自分では飲みきれないと 判断したのだろう。 桜君の飲み残したコーヒーは 俺へと回ってきた。

初めての間接キスが、 こうなるとは思わなかったが、 今の俺は、君の可愛さに 絆されているだろう。 そんなことあまり気に留めなかった。

再びキラキラした顔をし、 オムライスを頬張る君をみながら、 俺はひっそり下をべっと だしたのだった。

記憶のない君へ。

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コメント

6

ユーザー

やっぱり蘇枋さん珈琲無理なんだね…

ユーザー

ことはちゃん!!ナイスゥ!!!最高過ぎです!

ユーザー

ことはちゃんナイスすぎる!蘇枋さんがちゃっかり間接キスしてるのいいなぁ………桜はもともと身長が169で170にいってないのが可愛いのに幼さのおかげで少し低く見えるって天子♡

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