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今日も美味なお話でした。 ご馳走様でした(尊死)
このストーリー、 桜君の記憶が無い為、甘々なストーリーが書けないということに気づいてしまったどっかの誰かさんですこんばんは…… 皆様、暫くは甘々なすおさくはお預けですが、最終話はとても甘く爽やかにするつもりですので、それまでの辛抱です! 料理の話してる?って思った方、私もそう思いながら書いてます笑 そしてご視聴ありがとうございました🙇🏻♀️
男は、ずっと笑っていた。 俺がどんなに嫌味を込めた 言葉を放っても ずっと、 ずっと。 俺のクラスメイト?の前でも ずっと笑顔で振舞っていた。
でもいつも悲しそうだった。 俺が言葉を放つ度に、 笑顔で優しく返してくれるのに、 いつも迷子の子どものような 悲しそうな目をしていた。 体調が悪いのか、 と聞いたこともあったが、 けろりと笑って見せて、 「なんともないよ」 そういった。
でもやっぱり、 どこか悲しそうで、 それはきっと俺に原因があるんだろう。 そう思った。
そこから、 前の俺について聞く様になった。 前の俺がしていた事も、 真似て見ることにした。 珈琲という飲み物を 飲んでみても、 記憶は戻らず、 ただ口の中に苦さだけが広がった。
たまらなく、 舌をべっと外気の空気に当てた。 冷たい空気に触れたおかげか、 少し口の中の苦さがマシになった。
そこからは、 普通に楽しんで飯を食った。 結局記憶は何も思い出せず、 少ししょんぼりとした気持ちで、 賑やかな商店街を 蘇枋と共に歩いた。
街の人達からかけられる声は、 暖かなものばかりで、 ちょっとだけ居心地が悪くなった。 それでも、悪い気はしなくて、 少し照れながら歩いた。 ふと見た蘇枋の顔は また笑顔で、 すごく記憶が無い事に対して、 申し訳なくなった。
それでも一言も話さず、 2人一緒に影を並べて帰った。
商店街での乱闘。 街のあちこちはシャッターが しまっており、 防犯対策は バッチリ終わっていた。 その場には、 小さなチームと 風鈴高校1年1組がいた。
喧嘩をふっかけてきた チームは、 人数こそは俺らと それほど変わらないものの、 かなり実力がある者ばかりで、 戦力差は、 俺らの方が少しきついくらいだった。
桜
記憶が無くなった桜君の 戦闘スタイルは、 初めて会った時のそれで、 俺の心臓はぎゅっと握りつぶされた。 最近は仲間と一緒に戦う というのをメインにしていた 桜君が、今では猪突猛進、 まるで一匹狼の様だった。
喧嘩について指摘された彼は 怒りを込めた声を上げながら、 相手に向かって思いっきり 飛び蹴りをしていた。 喧嘩の強さは、 そう変わるものではなく、 今でも目を引くほど 綺麗なフォームだった。
蘇枋
蘇枋
楡井
特訓はしているが、 桜君や、級友達が手こずっている 敵を、にれくん1人で 相手にさせるわけには 行かないという判断で、 俺と一緒に行動を 共にすることにした。
周りに敵が来ないか集中しつつも、 つい見てしまうのは、 彼の楽しそうな笑顔。 楽しそうに周りを飛びまわり、 どんどん敵を圧巻してゆく姿は、 俺の心を揺らがす物だった。
楡井
蘇枋
後ろに経つにれ君の言葉を 聴きながら淡々とこちらへ走ってくる 敵をひっくり返した。 流石、と言ったところか、 ひっくり返そうとしても 引っかからない輩もおり、 俺も手こずり始めた。
後ろににれ君もいるので、 絶対に負けられないという 気持ちで 敵を睨みつけた。 これじゃキリがない そう思ったのか、 相手はナイフやバット、 武器を取りだしてきた。
さすがにまずいと にれ君を 逃がそうと言葉をかけようとしたが その口を閉じた。 それくらいじゃ彼は きっとここから 逃げてはくれないだろう。 そう思ったからだっ。
楡井
泣きそうになりながらも 震えている彼を 早く安心させてやりたいが、 目の前で精一杯な俺は、 気の利く言葉の1つも 掛けてやれなかった。
桜
その瞬間、 目の前がスローモーションの様に なった。 自分が相手をしていた敵を 倒したのだろう桜君が、 背後から敵の頭にかかと落としを 決め込んでいた。 後ろにいるにれ君は、 あまりの衝撃に 『ヒッ……痛そう……』 とボヤいていた。
蘇枋
桜
彼のツンデレ加減が とても可愛らしく、 きっとこの時、 俺の顔からは笑みが 零れていただろう。 顔を真っ赤にした彼は、 ツートーンカラーの髪を靡かせ ながら、 武器を持っている敵目掛けて 走っていった。
楡井
楡井
蘇枋
彼の去って行く背中を、 2人してどこまでも 見つめるのと同時に、 彼を支えたい。 そう強く思い、 にれ君と顔を見合せ、静かに 頷きあった。
街での乱闘は 終わりを告げ、 勿論防風鈴が勝利を掴んでいた。 相手を全て倒した後、 級友達は一気に桜君へと 駆け寄って行った。 あまりの勢いに 何が起こったか 分からない桜君は、 目をギョッと見開いていた。
各地から聞こえてくる声は、 危ないところを 助けてくれてありがとう等、 暖かな感謝な言葉だった。 顔を赤く染め上げた彼は、 助けてなんかねぇ!!! と、悲鳴の様な叫び声を 上げていた。 羞恥心がキャパオーバーした様だ。
桜
蘇枋
桜
蘇枋
楡井
黒と琥珀色の瞳が 揺らぎ、 少しバツの悪そうな顔をした。 彼にとったら 褒められるという行為は、 どう受けとっていいのか 分からないのだろう。
蘇枋
優しく、優しく彼に笑いかければ、 迷った様な瞳は、 また真っ直ぐな瞳に 戻った。 それでこそ彼だ そうにっこり笑った。 店の閉まっていたシャッターが 一気に開きだし、 そこからはもう大騒ぎ
抱きつかれるわ 囲われるわ 手当されるわ されるがままの桜君を 借りてきた猫みたいだなと思い、 また少し笑が毀れた
蘇枋
楡井
きっとまた人が増えたと 大声を上げて怒るだろう そんな君を想うと 足を動かさずにはいられなかった。
蘇枋
晴天の空の中、 大賑わいではちゃめちゃな 商店街の中、 俺達は笑いあった