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Alice  最終話

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Alice 最終話

1 - Alice 最終話

♥

80

2020年04月15日

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(これよこれ!
いちごはこうでなくちゃ!)

晴人

紅茶のおかわり
お注ぎしますね。

…あのさ。
どうして誰も
突っ込まないの?

何、この苺づくし!?
苺しか食べるものがない
じゃないか!!

嫌なら食べなくて
良いわよ。
全部私が食べるから。

この量全部
食べるとか
おかしいだろっ!

苺だもの。
不可能はないわ。

どんだけ
苺大好きなんだよ。
お前。

ちょっと。
隊長も何か言いなよ?
まともな食べ物寄越せって。

千秋

苺は…
女王様の好物
なので…

すっごい
どうでもいいから。

あーあ。
すごい楽しみに
してたのにな。
久しぶりのお茶会。

この世界のお菓子は
みんな、安っぽくて
食べられたもんじゃ
ないし、こっちにいる間
何を食べたらいいのか…。

普通に食事
すればいいでしょ…
人の事言えないじゃない。

大体、お菓子ばかり
食べていたら背が伸びないわよ。
成長期でしょ、あなた。

は?
言っておくけど
僕は…。

晴人

まぁまぁ。
折角のお茶会
なんですから
楽しみましょう?

晴人

さぁ、隊長も
召し上がって
下さい。

千秋

で、でも
恐れ多いです…。
女王様の好物を
食べるなんて…。

千秋

そもそも
女王様と
同じ空間で
息をすること
自体、おこがまし…

わぁー。
落ち着け、死ぬぞ!?
息を止めてるのか…汗?

息しろ、息!!

千秋

すみません。
ですが、女王様が
こんなにも近っ…

わぁー!!

晴人

楽しんで頂いて
いるようで、何よりです。

そうかしら?

ああ…。でも、 ここはまるで 黒の世界だ。 そういえば 白の世界に来てから ずっと、失敗しないよう 気を配るので必死だった。 慣れない「日常」に 食事を楽しむ余裕 なんてなかった…。

パクっ…
(おいし…)

月は晴人と目が合い 晴人はにっこりと微笑む。

(気を遣わせたみたいね…)

…そうだ。 気弱になっている場合じゃない。 『アリス』は私しかいないんだから。 早く『アリス』を抑えて あの場所に戻らないと…。

青斗

生まれた時から
女王であったような
振る舞いを俺達は
お前には求めていない。
お前はただここで判決を
下せばいい。

傍聴席に入りきらない程の民衆。 この判決は私の「新しい女王のお披露目」 なのだそうだ…。

愛梨

…。

私に裁判は無理だと言っても 聞き入れてもらえず 結局、ここへ連れてこられたのだ。 前女王は前の裁判で不当な 判決をしたために 国民の反感を買い デモが起こりこの国を 追放されたらしい。 もしも、私も判決を 間違えたら…。

青斗

静粛にっ!
これより裁判を
行う。

国民1

女子…!?
まだいたのか?

国民2

いいえ…。
別人だわ。
顔はそっくりだけど
以前の女王とは別人だもの。

国民3

どういうことなんだ…?

愛梨

(そういえば
森にいた人達も
私を見るなり『女王』
って言った…
そんなに私に似ているの?)

青斗

この女王は
追放された。
判決を下すのは
正統な『アリス』の
血筋を持つ新しい女王だ。
では、判決を続ける。

青斗

この男の罪状は
侮辱罪。
城の壁を黒のペンキで
汚した為侮辱罪を適用する。

被告人

ぶちまけたと
言ってもガラス瓶
一つ分だけだ!

愛梨

(…え?)

青斗

だが、
ペンキの模様は
広がりまるで黒い
ひまわりのようだったと
証言している。

被告人

…それは。

愛梨

(…何それ。
どんな思い罪かと
思ってみたら。
もしかして裁判と
言っても形だけのもの…?
それなら…)

国民1

…死刑だ

国民2

死刑

国民3

死刑だ…!

愛梨

(え…!
死刑!?
確かに王家に対する
侮辱は重罪と言えるかも
しれないけど見せしめが必要な
場合も必要かもしれない…。
さすがに死刑は…)

愛梨

あの…

青斗

女王、判決は?

愛梨

…え?

青斗

判決を。

愛梨は青斗に判決を求められて オロオロとする。 オロオロしながら民衆の方を見る。 静まった民衆達が愛梨を見ている。

愛梨

(まさか、死刑を
求められている!?
この国ではこれが
普通なの?)

愛梨

(でも、簡単に
人の命を奪うなんて…。
だけど判決を間違えれば
前王女の二の舞になってしまう。
そして今民衆に求められているのは
…。)

青斗

女王、判決を。

愛梨

(無理っ!)
無罪としますっ!

国民1


無罪?

国民2

無罪だって!?

国民3

無罪…。

愛梨

無罪ではありますが
汚した壁の掃除を
しっかりして下さい!

愛梨

(どうしよう…。
またクーデターが
起こったら…。)

あ、あの…。

国民1

やったー!

国民2

無罪よ!!

愛梨

!!

青斗

これで分かっただろう?
新たな女王はこの国を支え
異変もじきに治まる。

青斗

判決は出た。
これで閉廷とする。

国民3

万歳!!

国民1

新しい女王様
万歳!

青斗

行くぞ。

愛梨

…!
は、はい!

国民1

いや〜。
また、判決を無視して
勝手に殺すかもしれないぜ?!

国民2

そうね…。
まだ、油断は出来ないわ。

国民3

顔もそっくりだしな。

愛梨

…青斗。
私と前王女は
そんなに容姿が
似ているんですか?
それに前王女は裁判で
不当な判決をしたから
追放したんじゃ…。

愛梨

…青斗。
私にはまだ
女王になる決意は
ありません。
出来ることなら
今すぐにでも
元いた世界に帰りたいです。

愛梨

それでも私に
選択肢がないと
言うなら…。
せめて前王女の
事を教えて下さい!
どんな理由があろうと
何も知らないまま
一生を捧げる事は出来ません。

青斗

…前王女は
お前の双子の姉だ。

愛梨

…っ!
クーデターの
引き金は何だったんですか?

青斗

前王女は前の裁判で
禁固刑を命じた庭師が
何者かによって
殺害された事だ。

愛梨

…庭師を殺すよう
命じたのは女王なのですか?

青斗

…いや。

愛梨

待ってください!
それじゃ、冤罪じゃないですか!
事実を証明して戻って来て貰えば…。

青斗

無理だ。

愛梨

貴方が無理なら
私が行きますから!

と言い愛梨は走り出した。

愛梨

(…だって無実の罪で
国を追い出されるなんて
酷すぎる!
それに私には王女なんて
無理だよ。)

帰りたい。 優花、明日香、悠真、お父さん、お母さん…。 何故だろう、皆の顔が上手く思い出せない。 黒の世界にいると白の世界の事を 忘れてしまう気がする。 早く帰りたい。

愛梨はある扉の前で立ち止まる。

(お城の深い場所にあるって
湊が言ってたような…?)

前に森で会った律が言ってた事を 思い出し扉を開けた。

愛梨

…この鏡って。

愛梨

(学校にあったものと
同じ!?
ここに入れば白の世界
に戻れるかも…)

ダム

おっと
待ってもらおう。

ディー

ちょっと
待ってもらおう。

ダム

僕達は
鏡番のダムとディー。

ディー

僕達は鏡番。
誰も通さない。

愛梨

…あの、ごめんなさい。
私、どうしてもここを
通りたいの。

ダム

シシッ
どうして通りたいの?
ここは通ってはいけないよ。

愛梨

お願い!
通してっ

ディー

シシッ。
なら、なぞなぞで
正解したら通してあげるよ。

ディー

パンはパンでも
足の速いパンは
なーんだ?

愛梨

…なぞなぞ?

ダム

はい、失格!
正解は『なぞなぞ』
じゃな〜い

ディー

じゃぁ、正解は…?
何だっけ…?

ダム

何だっけ…?
正解は秘密

ディー

真実も秘密。
可哀想な身代わりの
女王様!

愛梨

…!!

ダム

ししししっ笑

愛梨

(そんな…っ
どうしたら元の世界に
帰れるの!?)

…っん。
(またあの子の
夢…。
何なのかしら?)

顔は同じだけれど 性格は私と正反対な女の子。

(そういえばこの部屋も…)

この世界に来た当初 この部屋の内装は 全く違う物だった。 その内装を気に入らない と言った私の言葉を受け 即模様替えをしたのは 晴人だった。 私の趣味とは正反対 な内装。 明かに誰かの気配がしていた。 この部屋に住んでいた 『誰か』。

晴人

(誰かと間違えている
んじゃないですか?)

優花達の友人だった「誰か」。 時折チラつくその影が 何故か不安を煽る。

(ぼっーとしている
場合じゃない。どうにかして
『アリス』を抑えて黒の世界に
戻らないと!
ずっと晴人にははぐらかされて
きたけどいい加減にしてって
言わないと…💢)

って意気込んで
部屋を出て来たは
いいものの…。
何で肝心の晴人が
どこにもいないのよ!?

(もう学校に
行ったのかしら?
だけど授業には早っ…)

しばらく歩いていると 遠くの方に晴人がいた。

晴っ…

晴人

それで、そちらの
もう1人の「アリス」は
上手くやっているのですか?

青斗

上手くとは言えないが
じきに玉座にも馴染むだろう…

(何…
何の話!?)

青斗

嫌…
無理矢理にでも
馴染ませる。
代わりの「アリス」は
他にはいない。

貴方達!?
何を話しているの?

月は晴人達の所に走って行った。

晴人

…月様っ
貴女には関係のない
話ですよ。

嘘よ!!
私ちゃんと聞いたもの!
もう1人の「アリス」って。
代わりの「アリス」は他にいないって。

じきに玉座に馴染むって何!?
貴方達は何をしようとしているの?

晴人

双子の女王の悲劇を
ご存知ですか?

双子の女王のせいで
世界が荒れたっていう
話の事?
アリスの力の暴走が原因で
退位させられた姉が次に
女王になった妹を妬み
殺したとかいう…

晴人

あれはかつて
実際に起こった
事件です。

晴人

ですから我々は
その悲劇を繰り返さない
ために双子が生まれた時
には必ず1人を白の世界へ
送り込んでいました。

晴人

双子の片方が
『アリス』を
暴走させたら
代わりに連れて
来る事が出来る様に。ー

…何で
そんな話が。

まさか…
あちらの世界では
今、私の双子の姉妹が
治めているの…?

晴人

はい、そうです。

月は事実を聞いてしまいどうしたいいか 分からずその場から離れ走り出して しまった…。

青斗

良いのか?
話してしまって…

晴人

あそこまで聞かれてしまった以上
取り繕えません。
…それに彼女にも知る権利があります。

青斗

だが、万が一
女王がもう1人の
『アリス』を廃そうと
したら…

晴人

分かっています
青斗。

晴人

その時は
私の手で月様を
殺しますよ。

(私以外に
「アリス」が
居たなんて…)

(これから私は
どうなるの…?)

そう考えながら前を見ると…

(青斗…?
どうしてこんな所に)

と思いつつ、彼の後を追い 物陰から覗いてみると… そこには青斗の姿はなく1つの 部屋があるだけだった。

(居ない?
あの部屋の中に入ったって事?)

部屋の中に入るとそこには 黒の世界にあったのと同じ 大きな鏡があった。

(あの鏡…!!
ここに入れば
黒の世界に戻れる
かもしれないわ!)

ダム

ちょっと待ってもらおう!

ディー

ちょっと待ってもらおう!

何なのよ、貴方達!
そこをどきなさい。
私は女王よ!

ダム

シシッ
なら、なぞなぞで
正解したらここを
通してあげるよ。

カラスと書き物机が
似ているのはなーんでだ?

…?
分かる訳ない
じゃないそんなの。

ディー

はい!
失格!

なっ!

ディー

正解は秘密。

ダム

真実も秘密。

ダム

可哀想な
役立たずの女王様!
ししししっ笑

く、くだらない事を
言ってないでそこを通しなさい!

晴人

無駄ですよ。
こちらの世界に
いる以上貴女の
命令は効力はない。

晴人!

晴人

どうか、今は
大人しくしていて
下さい。

あんな事を知って
大人しくしている訳には
いかないでしょう!?
もう、呑気に学生なんて
やっていられないわ!
私はお母様のような立派な
女王にになるって決めたのよ!!

晴人

…あなたのお母様は
白の世界にいた頃とても
優秀な生徒だったそうですよ。

…!?
どういう事?

晴人

先代の女王
貴女のお母様は
白の世界のご出身です。
ウサギを追って黒の世界に
来た、そういう話を聞いた
ことはありませんか?

(そういえば
小さい頃に聞いた事
があるような気がする…。
白の世界のことだったんだ)

じゃ、お母様は
白の世界で生まれたの?

晴人

ええ。
確か今の月様の
年頃までこちらの
世界にいらっしゃったはずです。

(お母様が
この世界で…)

晴人

月様
以前も言いましたが
これはあくまで一時的な
措置です。
月様の「アリス」が落ち着けば
元通りになりますので…。
今はどうか大人しくしていて
下さい。
世界のために…。

(一時的…何て
信じられる訳ないじゃない。
今まで何もかも隠して来た
くせに…)

(もしかしたら
やっぱりあの
クーデターも…
愛梨、それが
私の妹の名前)

何度も夢の中で見たあの少女。 彼女が多分そうなのだろう。 不安そうだった…。 きっと彼女も逆らう隙さえ与えられず 連れて行かれたのだろう。

(お母様の血を分けた
唯一の親族…。
私以外の『アリス』
私はお母様の娘だもの。
お母様の生まれた世界で
恥ずかしい振る舞いは
出来ないわ。)

お母様のような立派な女王になる事を ずっと夢見て来た。ここでくじける訳には いかないわ。

(…でも)

(怖い…
私は女王に
戻れるのかしら…?
私は…)

愛梨

…。

青斗

…だから
無理だと言った
だろう。
もう、鏡の間には
行くな。

青斗

お前を元の世界に
戻す事は出来ない。
お前は女王だ。

愛梨

…っ

愛梨

(女王…なんて)

双子の姉は今何をしているのだろう…? 見知らぬ世界で私と同じように不安と 戦っているのだろうか?

愛梨

(これからどうなるのだろう?)

愛梨

(私は…)

元の世界に戻れるのだろうか…

終わり

ここまで読んでくださってありがとうございます、 2人は元の世界に戻れるのか…。 戻れるかどうかは読んで下った皆さんのご想像に おまかせします。 よかったらここをどうしたら良いかという 感想などありましたらコメントをお待ちしております。

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