二葉
(抵抗したいけど、ビクともしない…っ)
隼人
なに?俺のこと倒さないの?
隼人
まさか、このまま襲われたいとか?
二葉
違う…!
隼人
だったら早く抵抗しろよ
二葉
…っ
隼人
もしお前が一花じゃなくて、別人だっていうなら解放してやる
二葉
え…
隼人
そうじゃないなら、お前は抵抗する気が無いってことで
隼人
美味しくいただいとくけど
二葉
(美味しくってなに!?)
隼人
ほら、早くしろよ
二葉
…っ
隼人
ふーん、抵抗する気がないってことか
隼人
じゃあ、早速…
そう言って、隼人くんは私に顔を近づける
二葉
待って!本当のこと言うから!
その瞬間、掴まれていた手が解放された
隼人
それは、お前は一花じゃないってことでいいか?
二葉
……
二葉
…うん
隼人
お前の名前は何だ?
隼人
一体誰なんだ?
二葉
私は…
ガラッ
二葉
!
教師
ん?お前たち何してるんだ?
教師
テスト期間中なんだ
教師
早く帰れよー
隼人
はーい
隼人
今から帰ります
そして隼人くんは先生に聞こえないように私に耳打ちをする
隼人
邪魔が入ったから、この話はまた後でな
二葉
…うん
その日の夜
一花
えっ!隼人くんにバレちゃったの!?
二葉
本当にごめん!
一花
マジか…
一花
でも私にも非はあるから…
一花
クラスメイトに柔道黒帯って自慢しちゃったし
二葉
もう誤魔化せないし、全て話そうと思う
二葉
それで誰にも言わないようにお願いしてみる
一花
うん、それが一番良さそうだね
ichika
こんばんは
隼人
お前から連絡してくるなんて初めてだな
ichika
昼間話途中になっちゃったから
隼人
じゃあ詳しく話してくれるってことでいいのか?
ichika
うん
ichika
その代わり、絶対に誰にも話さないって約束して
ichika
それが秘密を話す条件だから
隼人
わかった
隼人
約束する
ichika
まず私は一花の双子の妹なの
隼人
やっぱ双子か
ichika
だけど、私はこの世には存在しないことになってる
隼人
どういう意味?
ichika
私、無戸籍なんだ…
ichika
親が出生届を出さなかったから
隼人
は?どういうことだよ
ichika
私たちのお母さん、父親と離婚した直後に妊娠したことを知ったんだって
ichika
私と一花を1人で育てるつもりだったんだけど
ichika
妊娠を知った父親が自分が育てるって言い出したみたいで…
ichika
ただ双子ってことまでは気付かれてなかったから
ichika
仕方なく、姉の一花だけ手放して、私の存在を隠すことにした
隼人
それで出生届も出さずに?
ichika
うん
ichika
だから私は小学校も中学校も行ってない
隼人
マジかよ…
ichika
お母さんは人一倍愛情を注いでくれたから
ichika
不幸だったわけじゃないけどね
ichika
ただ、2年前に病気で亡くなっちゃって…
ichika
実はその時に、初めて自分には双子の姉がいるって知らされて会いに行ったの
隼人
じゃあ一花もそこで自分が双子だって知ったってことか
ichika
うん
ichika
事情を話したら、一緒に生活しようって言ってくれて
ichika
一花が父親にワガママを言って、高校入学と同時に一人暮らしさせてもらって
ichika
そこに私が居候しているって感じ
隼人
父親はそのことを知らないのか?
ichika
うん、知らない
ichika
一花が双子ってことも知らないし
隼人
じゃあ本当にこのこと知ってるのは、俺だけってこと?
ichika
そういうこと
ichika
だから絶対に誰にも言わないで
隼人
ああ、誰にも言わないから安心しろ
ichika
ありがとう
隼人
ただ、あまりにも衝撃的すぎて今頭が混乱してる
ichika
だよね笑
隼人
つーかさ、大事なこと聞いてないんだけど
ichika
なに?
隼人
名前
隼人
一花じゃなくて、何なんだ?
ichika
私の名前は二葉だよ
ichika
ふたば
隼人
へえ、二葉か
隼人
いい名前だな
ichika
そう…?
隼人
ああ
隼人
今度から誰もいない時は二葉って呼ぶから
ichika
えっ!?名前で呼ぶの?
隼人
なに?嫌なの?
ichika
ichika
ううん、嫌じゃない
隼人
じゃあクラスメイトとして改めてよろしくな
隼人
二葉
ichika
うん!
二葉
なんか…すごく嬉しい…
二葉
二葉って、名前で呼ばれるの…
今まで亡き母と、一花しか知らなかった私の名前 その名前を初めて身内以外の人から呼ばれた
その瞬間、私は少しだけこの世界で自分の存在が認められたような気がした…






