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君に伝えようと思った。
この好きって気持ち………。
愛弓Side
好きになってはいけなかった16
昨日
悠真
愛弓
愛弓
悠真
悠真
私は次の日に告白するつもりだと、 悠真に言った。
すると彼女は自分のことでもないのに こんなに喜んでいる……。
彼女はいい人だ…
成功しない恋を… 精一杯応援してくれている。
期待を裏切りたくないけど…
愛弓
悠真
悠真
悠真
愛弓
悠真
悠真
愛弓
悠真
悠真
愛弓
誰かをみつめる彼の真剣な瞳に…
恋をしただなんていえない…。
それを遠回しに言えば… その眼差しは私には向かないってことも…。
愛弓
愛弓
愛弓
悠真
愛弓
悠真
愛弓
悠真
悠真
悠真
愛弓
悠真
悠真
愛弓
愛弓
そして今日がその日だ。
告白をする日。
自分の気持ちをはっきりさせる日。
夏輝は悠真が体育館裏に呼んでくれることになっている。
愛弓
心臓の音がうるさかった。
夏の蒸し暑さのせいか、妙に汗がシャツの下に流れこむ。
あとは………待つだけ。
『あなたは存在してはいけないの… 勝手なことをしないで。』
愛弓
その声は脳裏に流れ込んだ。
夏輝
夏輝
俺は体育館倉庫の前にドカッと座る。
真夏の日差しを遮るように タオルを顔にかぶせ一息をつく。
夏輝
???
夏輝
俺は水を受け取り、 ペットボトルの蓋を開けた。
そのまま、 一気に喉に流し込んだ後に気づく。
受け取った……?
誰に………?
夏輝
俺は慌てて横をみた。
夏輝
???
???
俺の視界はその後真っ暗に染まった。
悠真
悠真
テニス部部員
悠真
テニス部部員
テニス部部員
テニス部部員
悠真
どこ行ったんだろ、なっつ。
夏輝
目を覚ますと…そこは暗闇だった。
土臭い匂いと、ホコリの匂い。
ここはそうだ…
夏輝
俺はここから出ようと扉へと即座に 立ち上がる。
扉の前にきて、扉をひいてみる。
しかし…
ガチャガチャッ
夏輝
夏輝
扉はかたく閉ざされていた。
夏輝
あいにく、ここの扉は 内側から鍵を開けることはできない…。
さて、どうしたものか……。
俺はその場にしゃがみこむと しばし唸った。
俺をこんな状況にした人物…
あれは愛弓だった…
いや、あの雰囲気はもしかしたら…
というより俺は確信した。
あれは愛弓ではなく、麗美の方だと。
夏輝
スマホを手に取ろうとポケットに滑らせた右手が空を切った。
夏輝
夏輝
スマホもない、鍵もしまってる…
これは……
夏輝
身体を乗っ取られた。
今は私が占領していたはずなのに…。
愛弓
その声は心の中に留まった。
声にならない声に…
私はげんなりする。
肝心な時にばかり彼女が邪魔をする…。
愛弓
愛弓
この声はきっと彼女には届かない。
私はもう彼女に逆らえない。
大好きな彼のことを想うことさえ… 叶わないというのなら…
私は一体なんなのだろう。
麗美
愛弓
麗美
麗美
麗美
麗美
麗美
愛弓
麗美
麗美
そんな…そんなの、
だったら私は…今まで彼女に利用されて…
愛弓
愛弓
愛弓
麗美
麗美
麗美の為に……?
違うっ……、
愛弓
私は………っ、
私は……!
麗美
愛弓
麗美
愛弓
愛弓
麗美
麗美
麗美
愛弓
愛弓
今までどう接してきたろう…
コイツとは、何度も笑いあった。
だけど全部……、
私は利用されて、コイツは私を利用した。
思うままに動かされて………、
もう限界だ。
愛弓
麗美
愛弓
麗美
愛弓
愛弓
愛弓
愛弓
愛弓
麗美
麗美
麗美
麗美
麗美
麗美
麗美
麗美
麗美
麗美
愛弓
愛弓
麗美
愛弓
麗美
麗美
麗美
麗美
愛弓
麗美
愛弓
愛弓
愛弓
麗美
麗美
麗美
愛弓
愛弓
愛弓
愛弓
愛弓
愛弓
私は麗美を突き飛ばした。
『ありえない…』そう言った彼女が、 呆気なく消滅していく。
もう誰にも左右されない。
私は私。
彼女は彼女。
これで終わりだ。
夏輝
落ちていた木で扉を、開けようとボロボロになった両手に血が滲む。
どれだけの時間がたったろう…
俺はすでに、 ここから出ることを諦めていた。
明日になったら先生が見回りに来てくれるだろう…、
俺はため息をついてその場に寝転んだ。
ボロボロの体操マットは、 やはり土臭かった
俺はゆっくりと目をつぶる。
カチャン
愛弓
体育倉庫の鍵を開けると、
私は夏輝のもとへ駆け寄った。
体育マットの上に寝転んでいた彼は
どうやら眠っているらしい…
愛弓
私は呆気にとられたまま、 彼の横に座った。
同級生だっていうのに…、
なんでだろう。
後輩みたいだな……、
愛弓
私は悪戯心を抑えきれず、彼の頬をつついた。
すると眠そうな彼がゆっくりと瞼を開く。
愛弓
夏輝
一瞬何が起こったかわかっていない様子の彼は、私をみると状態を起こした。
夏輝
愛弓
夏輝
愛弓
私は、ようやく自分が言わねばならないことがなんなのか思い出した。
彼の寂しそうな瞳を見るととても辛い。
愛弓
愛弓
愛弓
夏輝
夏輝
愛弓
私は俯いたまま彼に謝罪した。
夏輝
夏輝
夏輝
夏輝
愛弓
てっきり彼は、私と麗美の違いをわかってくれてないと思っていた。
だけど彼は………
愛弓
夏輝
夏輝
愛弓
"友達"か………
夏輝
愛弓
愛弓
君はどう思ってるんだろうって…
ずっとずっと…考えてた。
私のこと…どう感じてくれてる?って
でもやっと確信したよ…、
だけどどうであろうと、関係ない。
私はね…この恋にケリをつけたいから…
愛弓
夏輝
彼をちゃんとみつめて…
私はきちんと伝えた。
伝えたかったこの気持ちを…
夏輝
愛弓
愛弓
愛弓
夏輝
ねぇ、今どう思ってる?
知りたくて仕方ないんだ。
こんなに私を惚れさせて…
こんなに夢中にさせて…
本気で恋させて……。
君の視線の先はどうであれ…
今はこの時間を大切にしたかった。
夏輝
かすかに漏れ出た君の言葉に、
私は胸が熱くなる。
あぁ…この言葉が聞きたかったんだと…
ちゃんと伝わったんだと…。
夏輝
夏輝
夏輝
そうだ…この顔がみたかった…
何よりこの顔が…
大好きだから…。
夏輝
夏輝
夏輝
夏輝
夏輝
夏輝
夏輝の顔が、更に真剣になっていく…
夏輝
夏輝
夏輝
愛弓
愛弓
夏輝
夏輝
愛弓
夏輝
夏輝
"輝き"
愛弓
愛弓
愛弓
愛弓
改めて思うと少し悲しいけど…
私は笑顔を続けた。
愛弓
夏輝
愛弓
愛弓
愛弓
夏輝
夏輝
夏輝
夏輝は相変わらずの笑顔で私の頭を撫でた。
くすぐったくて、嬉しかったけど…
やっぱり…
悔しいなぁ…
でも私も…
私だって笑い続けなきゃ…
頑張るんだ。
愛弓
夏輝
愛弓
愛弓
愛弓
愛弓
夏輝
夏輝
夏輝
愛弓
夏輝
愛弓
夏輝
愛弓
夏輝
愛弓
愛弓
愛弓
夏輝
夏輝
友達……
まだ私には… これが丁度いいのかもしれない…
愛弓
君らしい君が好き。
どうか、ずっと……
想いたい誰かを、君が…
想い続けられますように…✨
愛弓
隠れるように落ちた雫は、
たったひと粒だけ、地に落ちたきり…
もう落ちてはこなかった。
愛弓Side 完