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圭吾

え…

圭吾

だ…太宰君…?

私は、何が起きたのか、理解が追いついていないようだ。

みすゞ

!太宰さん!

太宰

っ…

久作

?んぇ…?

晶子

!太宰君…!

恐らく、政府…志賀家の人達だ。

太宰君は息こそしているが、なにしろ急に撃たれたものだから、大分混乱しているだろう。

圭吾

!太宰君!止血…っ

私は太宰君に近づいて、傷口をハンカチで押さえる。

徐々に紅色に染まっていく白いハンカチは、見ているのも嫌になる。

大人達

おい!俺達はそこの茶髪の奴だけでいい!

大人達

はやくそいつを引き渡せ!さもなくばお前らごと殺す!!

圭吾

…っ

…嗚呼、もしも私が大人だったのならば…

あの人達と、同じ事をして仕舞うのだろうか

否…それならば………

”私は大人になりたくない”

大人達

そんな餓鬼1人…別にいいだろう?!

大人達

没落貴族の餓鬼如きが、将来人様の役に立てる筈もねぇんだよ!!

圭吾

…!

私は、そんな大人達の無責任な発言に何かが切れた。

圭吾

巫山戯るな!!

みすゞ

((ビクッ

みすゞ

ぇ…?け…圭吾…さん…?

私が怒鳴るイメージが無かったのか、彼女は私に対して驚きの目を向ける。

…自らの背に隠れて見えなかったが、恐らく他2人も同じ気持ちだったろう。

大人達

…!餓鬼!何が言いたい?!

大人達

お前に何が分かんだよ!!!?

怒り狂った獣のように、彼らは私に怒号を飛ばす。

圭吾

人は誰かの役に立っていないと生きていてはいけないのか?!

圭吾

それは下らない命なのか?!

圭吾

貴方達の理論で物を言うならば!

圭吾

私の目から見て、誰かに認められずとも誰かを妖から守るために闘っている私達よりも!

圭吾

都合の善い”正義”に囚われて多くの人々を悪戯に痛めつける貴方達の方が不愉快極まりない!!

大人達

!ッこの餓鬼…ッ!!

奴等は私に銃口を向ける。

みすゞ

!圭吾さん!!

彼女が叫ぶ。

…嗚呼。分かっていた。分かっていたんだ。

”あの時”から…

もしも、大人達が自らの利益に執着していなければ…

そうでなければ…

”私は養護施設から逃げ出したりなんてしなかった”

大人達

!待て!はやまるな!!

大人達

なるべく他の民間人は傷つけるなと八雲様に言われているだろ?!

誰かが私達に銃を向けていた者を制した。

大人達

さて、どうします?

大人達

八雲様。

その声と共に、大人の群れを掻き分けて、1人の青年が現れた。

「小泉 八雲」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 水 「雪女」 金 「耳なし芳一」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

八雲

…成程ねぇ…私と同い年くらいの子供らか…

彼は目を細め、私達を見回した。

八雲

私は「小泉 八雲」。雪女だ。種族は雪”女”…とあるが、私は列記とした男だ。

彼はハッキリと、力強く私達に語りかける。

そして、今一度、私の方をチラと見て、

八雲

先程の君の大人への言い分…私はとても感動したよ。自分らよりも躰が大きく、力も強い大人達に怯みもせず…見事なものだったよ。

八雲

…でもね

彼は私に近づき

後ろでジッと彼の命令を待つ大人達に聞こえぬよう、私に囁いた。

八雲

都合の善い”正義”で作られた盾で己の身を過剰に守ろうとする。そして、その盾で人を殺すのが「大人」であり、「人間」なんだよ。

…分かってる。分かってるよ…

それくらい…

八雲

…私も、”主様”への恩を返さないといけない…

彼は哀しそうに、そして悔しそうに私に述べた後、大人達の元へと戻り、

八雲

………ごめんね………

そう、呟いた。

八雲

彼らを撃て。

大人達

!はっ!!

待ってましたと言わんばかりに、大人達は私達に向かって発砲した。

夜の街に銃声が響く

晶子

!圭吾君!太宰君!!

みすゞ

!待ってください…ッ!!

後ろに控えていた2人が、私と太宰君に駆け寄ってくる。

嗚呼。3人共、逃げて。

もう…

その時、私の頬を横切って3枚の札が飛んできた。

圭吾

っ?!

八雲

(?!札…?!)

その瞬間、壁に当たったかのように札は空中で静止し

薄い水色の膜を張った。

そして、その膜に衝突した弾は

全て跳ね返り、たちまち大人達は動かなくなってしまった。

八雲

?!陰陽師?!

その時、橙色の髪をした女性が、私達の目の前に躍り出た。

圭吾

?!君は…

 

いいから!早く逃げて!!

 

この道の裏に私の車を止めてあるから!

みすゞ

ちょ…どういうことですか?!

 

詳しいことはあと!はやく!!

彼女に急かされ、私達は動けない太宰君を抱えて走った。

私が助手席に、他のみんなが後部座席に座っていると、車の扉を開けて先ほどの女性が入ってきた。

 

危機一髪だったわね!

圭吾

あの…貴方は…?

かなえ

私?私は「湊 かなえ」!単独陰陽師の1人よ!

単独陰陽師…それは、誰とも組まず、単独で百鬼夜行に抗う陰陽師のこと…

圭吾

助かったよ…ありがとう…

かなえ

いいのよ!

かなえ

それより、そこの子は大丈夫?

太宰君を見ながら言った。

見ると、太宰君の傷を晶子さんが能力で治しているところだった。

久作

へ〜!「君死ニタマフ事ナカレ」って凄いね!!

元気な声で久作君は言った。

かなえ

アンタ達、新思潮の陰陽師でしょ?書店まで送ってあげるわ!

圭吾

そ、それはありがとう…

八雲

…湊かなえの能力・「贖罪」…

八雲

”全ての力を跳ね返す”…か…伊達じゃないね…

未明

八雲殿

八雲

………未明さんか…

未明

まぁ…気を落とすことは無いですよ。

未明

津島家の人間はまた殺しに行けば…

未明

………八雲殿………

”泣かないでください”

八雲

…うん。

未明

はぁ…

未明

気をつけてくださいよ。貴方は雪女。涙が凍って目が傷ついてしまうの、お忘れで?

八雲

…うん。分かってるよ………

未明

………何より

未明

我々”ヴィラン”が”ヒーロー”に同情なんてしてはいけませんよ。

八雲

…そっか…

八雲

…でも、どうしてこっちが”ヴィラン”だって言うの…?

未明

…逆に、貴方はこちら側が”ヒーロー”だと思うのです?

八雲

…どっちも自分が”ヒーロー”だって思ってるよ。

八雲

人間なんて、そんなモンでしょ。

未明

…そうですねぇ…

私達は、かなえさんに連れてこられてイーハトーブ書店の近くに戻ってきた。

その頃には、太宰君の傷も完治していた。

圭吾

あ、ありがとうございます…

かなえ

いーのいーの!

みすゞ

あの…鴎外さんにご挨拶、とかは………

かなえ

いや、私はそういうのはしないわよ!

かなえ

だって、勧誘話を聞かされるのも、もう疲れてるし!

かなえ

私は生涯単独陰陽師でいいわよ!

かなえ

ま!困ったときはお互いに助け合うってことでいいんじゃない?

圭吾

…そうだね。ありがとう

屈託なく爽快に笑う彼女に微笑みかけ、その場をあとにした。

八雲

ただいま戻りました。主様。

 

…ご苦労さまでした。八雲君。

 

さて…

 

未明君の報告によると、志賀家の軍は発砲した殆どが死亡…ということでいいんですね?

八雲

…はい。

 

まぁ、次、行きましょうか。

 

では、文さんと八雲君。行ってきてください。

八雲

…承知しました。

かしこまりました。主様。

「幸田 文」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 水 「流れる」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

ブラム

…善いのか?

ブラム

あんな小娘を戦場に連れて行って…

未明

小娘…って………彼女、もう12歳でしょう?

ブラム

我らから見ればまだ子供だ。

 

ははは。確かに、それもそうですね。

 

彼女の御父上とは彼女を保護すると約束しましたし…ね…

 ̄薬師堂 ̄

 

はい、治療終わったよ〜

 

薬も処方しておくから、安静にしてね。

あ…ありがとうございます!

 

うん。

 

患者さんを治すのが、我の仕事だしね。

 

 

さてと…

 

小野君に電話して、足りなくなった薬を買ってきてもらおうかな…

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