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【完結】世の中は理不尽だけれど…

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【完結】世の中は理不尽だけれど…

9 - 世の中は理不尽だけれど…⑦

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2021年02月16日

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サタン

っという話しなんだが…

サタンは

死神ノノから聞いた話しを、

そのまま使い魔たちに説明する。

ロマリエル

なんとなくそういうことだとは思っていましたが…

ヴィアルテ

マジで死んでたんだな。あいつ

ベザル

でも、自分が死んでることに気付いてないんだ…

サタン

むっ

サタン

お前たち、気が付いていたのか?

ヴィアルテ

さすがに俺らだって気が付くっての

ロマリエルもベザルも大きく頷いて見せた。

サタン

そ、そうか

ヴィアルテ

んじゃ、消したっていう記憶を

ヴィアルテ

思い出せばいいんじゃないのか?

ベザル

そうだけど…

ロマリエル

そう、単純な話しではないような気がします

ヴィアルテ

そうか?

ヴィアルテ

忘れたこと思い出せば

ヴィアルテ

勝手にあの世に逝くんじゃねの?

サタン

そういうわけではないらしい

ベザル

さっき、太郎くんの魂はサタン様に寄り添っているって言ってたじゃないか

ヴィアルテ

ん?ああ…そうだっけ?

ベザル

無理矢理引き剥がすのも良くないんじゃない?

ヴィアルテ

んじゃ、どうすんだよ

ロマリエル

それを今、考えてるんでしょ

ベザル

一番いいのは

ベザル

段階を踏んで思い出してもらうことかな?

ロマリエル

ええ、そうね

ヴィアルテ

段階っつったって

ヴィアルテ

一つ思い出したら

ヴィアルテ

忘れてたこと全部思い出すこともあるだろ

ヴィアルテ

んな、悠長に出来るもんじゃないと思うけどな

サタン

ルーテの言う通りだ

サタン

一つのきっかけで全てを思い出す可能性もある

サタン

だが、

サタン

ことは慎重に運ばなければならない

ヴィアルテ

そりゃそうだけど

サタン

あやつは我に”幸せになりたい”と願ったのだ

サタン

嫌な記憶を思い出して不幸にしてしまっては

サタン

サタンの名折れ

ヴィアルテ

(つっても、”本”契約してねぇんだけどな)

ロマリエル

(サタン様ってそういうところ真面目よねぇ)

ベザル

(人を幸福にする悪魔……?)

ヴィアルテ

かしこまりました

ヴィアルテ

んじゃ、慎重にやっていきましょう

ロマリエル

そうね

ベザル

ねぇ、サタン様

サタン

なんだ?

ベザル

太郎くんがはっきり見えているのは

ベザル

サタン様の御力だと思っていたんだけど

サタン

うむ、そうだ

サタン

さすがに、我々の目にしか映らないのでは

サタン

日常生活に支障があると思ってな

ロマリエル

やっぱりそうだったんですね

サタン

うむ

ベザル

普通にコンビニで買い物もできますし

ベザル

道行く人に挨拶も出来ています

ベザル

魂だけの存在ではそこまで出来るとは到底思えなかったので

ロマリエル

だから、物もちゃんと召し上がられていますし

ロマリエル

日数の経過も理解していらっしゃる様子だったのですね

サタン

うむ

サタン

とはいえ

サタン

全てが生身の人間と同じようにいくわけではないからな

ベザル

わかりました

ヴィアルテ

で?太郎が死んだ場所ってサタン様知ってんの?

サタン

むっ

ロマリエル

……

ベザル

……

サタン

なんとなく

サタン

薄っすらと…

ヴィアルテ

(あ、これ)

ロマリエル

(覚えてないパターンね)

ベザル

(相変わらず方向音痴なんだ)

みな、一様に黙り込むと

不意に、付けっぱなしになっていたテレビの声が

四人の耳に入った。

 

マンションの一室から損傷の激しい二人の遺体が発見されました

サタン

……

 

このマンションに住む時塚英司(ときつか えいじ)さんとその妻、時塚七菜香(ときつか ななか)さん

ロマリエル

……

 

二名との連絡が取れないことから、遺体は時塚夫婦とみて確認を進めています。

ベザル

……

 

警察は、遺体の損傷の激しさから事件、事故どちらの可能性もあるとみて捜査を開始しました。

ヴィアルテ

…これって太郎の

サタン

…うむ、確か太郎の名字は時塚だったな

ロマリエル

今になってご両親の遺体が…

ベザル

でも、遺体は二人って言ってたよ

ベザル

太郎の遺体は?

ロマリエル

太郎くんはベランダで亡くなったので

ロマリエル

最悪……

ヴィアルテ

カラスにでも食われたか

ロマリエル

……

ベザル

……

サタン

いや、さすがにカラスはそこまで食べんだろ

サタン

ルーテ

ヴィアルテ

いや、別に思いつきで言ったわけじゃ

サタン

そのことではない

サタン

我と一緒に現場に行って

サタン

調査を手伝ってほしい

ヴィアルテ

か、かしこまりました

サタン

マリーとベザルはいつも通り頼む

サタン

何か変わったことがあればすぐに知らせるように

ロマリエル

承知しました

ベザル

わかりました

———

———

———ろう

———たろう

夢の縁……

誰かの呼ぶ声が聞こえた。

太郎

……

太郎

太郎

その声は物悲しく

弱弱しく

それでも

確かに彼らの大切な人へと

届いた。

太郎

……

ゆっくりと目を開ける。

太郎

……

まだ、夜なのだろう。

辺りは真っ暗だった。

太郎

パパと

太郎

ママの

太郎

声が聞こえた

顔も姿もはっきりと思い出せないけれど

あの声だけは

自分の両親であると

言い切ることが出来た。

太郎

……

太郎

でも

太郎

今は聞こえない

太郎

…パパ…

太郎

…ママ…

太郎

…どこ…

しかし、

それに答えてくれるモノはいない。

太郎

パパ……

太郎

ママ……

太郎

ボクは……

太郎

ここだよ……

襲い来る睡魔に負け

目を閉じると、

太郎

……

寝息を立てて眠りについた。

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