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【完結】世の中は理不尽だけれど…

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【完結】世の中は理不尽だけれど…

10 - 世の中は理不尽だけれど…⑧

♥

50

2021年02月20日

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ヴィアルテ

ひでぇ部屋…

ヴィアルテ

散らかり過ぎだろ

サタン

うむ…改めて見ると酷い有り様だな

時塚夫婦の死体はすでに運び出され、

現場検証も終わったのだろう。

しかし、

玄関には黄色いKEEP OUTのテープが貼られ、

室内はおそらく発見時のままの放置されていた。

ヴィアルテ

サタン様が来たときも

ヴィアルテ

こんな状態だったのか?

サタン

気が付かなったな

サタン

二人が亡くなっていることが印象的で

ヴィアルテ

……どんな風に死んでたんだ?

サタン

うむ

サタン

女性はここに座ったおった

サタンはダイニングテーブルの椅子を指さす。

サタン

突っ伏したように倒れておってな

サタン

その近くにホールのケーキがあった

ヴィアルテはじっとダイニングテーブルを見つめるが、

そこにケーキは無かった。

毒物の有無を調べるため

鑑識が持ち出した可能性がある。

サタン

男性はその対面の椅子に座っておった

サタン

こちらは仰向けに

サタン

脱力した感じであったな

ヴィアルテ

傷は?

サタン

二人とも首をザックリと切られておった

ヴィアルテが天井を見たので、

サタンもつられて天井に目をやると

血しぶきが天井まで届いていた。

ヴィアルテ

…で、太郎はベランダにいたっと

視線をベランダに向ける。

ダイニングテーブルに座って左方向に首を向けると、

そこにベランダへと繋がる大きな窓が見える配置だ。

ヴィアルテ

……

サタン

……

サタンは窓に近づき、

ベランダを見る。

しかし、

そこに太郎の死体は無かった。

サタン

何もないな…

サタンが低い声で唸ると、

ヴィアルテは窓を開けてベランダに出る。

そして、

見下ろした。

サタン

何か見えるか?

真夜中だ。

当然下は暗闇が広がっているだけなのだが、

使い魔のヴィアルテの目は夜目が効き、

よく見えた。

ヴィアルテ

植木……

サタン

……

ヴィアルテ

例えば、

ヴィアルテ

カラスが咥えてこっから下に落とす可能性は?

サタン

ゼロではないだろうな

ヴィアルテ

んじゃ、ちょっと探ってくる

そう言うと”ひょいっ”とベランダの手摺を飛び越えた。

五階という高さだったが、

サタンは驚くことも心配することもなく、

振り返り再び部屋を見渡す。

サタン

二人の魂の痕跡が見えん…

サタン

成仏したなら良いのだが……

サタンはそう言って眉間に皺を寄せた。

ベザル

太郎くん

太郎

……

ベザル

太郎くん?

太郎

……っ!

太郎

な、なに?

ベザル

…眠いの?

太郎

う、ううん

太郎

そんなことないよ

ベザル

それならいいけど

ベザル

さっきからずっと同じページ見てるよ?

太郎

……

太郎は開いた絵本のページに視線を落とす。

そこには、

両親に抱き締められる女の子の絵が描かれていた。

ベザル

……

太郎

…パパとママに会いたいな…

ベザル

……

ベザル

太郎くんのパパとママは優しかった?

太郎

……

太郎

…うん

ベザル

そっか

ベザル

会ったら何をしたい?

太郎

……

太郎

……

ベザル

……

太郎

…抱き締めてほしい…

ベザル

うん

太郎

ギュッて

太郎

いつもサタンがしてくれるみたいに

ベザル

うん

太郎

それで

太郎

それでね

ベザル

うん

太郎

どうして

太郎

ボクを置いて行ったのか

太郎

聞きたい

ベザル

……

ベザル

そっか

太郎

一緒に

太郎

一緒には行けなかったのかな

ベザル

たぶんね、そうだと思う

ベザル

何か理由があるんだよ

太郎

…うん

太郎

だから

太郎

それを聞きたいな

ベザル

そうだね

ロマリエル

うわぁ~ごめん!二人とも!

ロマリエル

今から晩御飯の準備するから

ロマリエルがバタバタと部屋に入ってきて、

台所に立つ。

太郎

ねぇ、マリー

ロマリエル

なんですか?

太郎

ボクも手伝っていい?

ロマリエル

ええ、もちろんです

ロマリエルは笑顔で言って頷くと、

太郎は立ち上がり台所に向かう。

ベザル

(両親が置いて行った理由…)

ベザル

(両親がここに来ない理由…)

ベザルは辺りの空気を嗅ぐ。

ベザル

(霊魂の臭いはしない)

ベザル

(ということは、近くに両親はいないんだけど)

ベザル

(無事に成仏…)

ベザル

(なんて都合の良い話しがあるだろうか…)

太郎

うわっ!

パリンッ!

ロマリエル

太郎坊ちゃん!

ベザル

太郎くん!!

太郎

ご、ごめんなさい

床には割れた皿の破片が散らばっていた。

ロマリエル

あ!危ないから触らないでください

太郎

ごめんなさい

ベザル

怪我は無い?

太郎

ごめんなさい

太郎

ごめんなさい

太郎

ごめんなさい

ロマリエル

大丈夫ですよ、坊ちゃん

ロマリエルは

そっと太郎を抱き締めた。

太郎

ごめんなさい

太郎

捨てないで

太郎

捨てないで

太郎

捨てないで

太郎

良い子にしてるから

太郎

お願いっ

ロマリエル

捨てませんよ

ロマリエル

そんなことしたら

ロマリエル

私がサタン様に怒られてしまいます

太郎

怒る…怒る?

ロマリエル

ああ、いえいえ、そういう意味じゃなくて

太郎

怒らないで

太郎

もうしないから

太郎

何もしないから

太郎

捨てないで

ロマリエル

……

ロマリエルは力いっぱい抱き締め、

そして、

頭を優しく撫でた。

太郎

ごめんなさい

ロマリエル

もう謝らないでください

ロマリエル

太郎坊ちゃんが無事ならそれでいいんです

太郎

捨てない?

ロマリエル

もちろん

太郎

嫌いにならない?

ロマリエル

当たり前じゃないですか

ロマリエル

ねぇ、ベザル?

ベザル

そうだよ

ベザル

どうしてそんなことで捨てなきゃいけないんだい?

ベザルは首を傾げて見せる。

ベザル

太郎くんは僕にとって大切な友達なんだから

ベザル

捨てるわけないだろ

太郎

……

太郎は涙で濡れた目で

ロマリエルと見つめ、

太郎

……

ベザルを見つめた。

ベザル

太郎くん、怪我はない?

太郎

…うん

ロマリエル

では、ベザル

ロマリエル

片付けお願いします

ベザル

はいはい

太郎

ボ、ボクがやるよ!

ロマリエル

いいえ、危ないんでベザルに任せましょう

ロマリエル

私たちはその間に晩御飯の準備をしなきゃいけませんから

太郎

う、うん

太郎

ごめんね、ベザル

ベザル

気にしないで、サクッと片付けちゃうから

そう言って

ベザルは微笑んで見せた。

サタン

皿を割った?

太郎

う、うん

太郎

ごめんなさい

サタン

怪我は無かったか?

太郎

う、うん

サタン

ならいい

太郎

いいの?

サタン

皿ならまた買えばいい

サタン

それだけの話しであろう?

サタンはさも当然のことのように言ってのけた。

ロマリエル

だから言ったでしょ?

ロマリエル

サタン様は怒らないって

太郎

う、うん

サタン

マリーもベザルも無事か?

ロマリエル

当たり前です

ベザル

それで怪我するほどやわには出来てませんよ

サタン

うむ

太郎

……

サタン

では、今度の休みに新しい皿を買いに行くか

太郎

えっ

サタン

太郎が新しい皿を選んでくれ

サタン

我はそういうセンスが無いからな

太郎

うん!

太郎

お買い物っ

サタン

うむ

太郎

やった~!サタンとお出かけ!

サタン

ん?そんなに嬉しいことか?

太郎

うん!嬉しい!

太郎

サタン、ずっと忙しそうだったし

サタン

むっ…そう言えばそうだな

サタン

では、ついでに遊園地でも行ってみるか

太郎

えっ!?いいの!?

サタン

もちろんだ

サタン

久しぶりの遠出も悪くないだろ

太郎

やった~~!!

サタン

マリー、ベザル

サタン

そういうことだ、用意を頼む

ロマリエル

かしこまりました

二人は恭しく頭を下げ、

太郎は嬉しそうに部屋を駆け回った。

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コメント

2

ユーザー
ユーザー

十話で終わらせる予定が………まぁ予定は未定ということで。引き続きよろしくお願いしますm(_ _)m

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