天才の成長記録

アルトと出会い一週間が経った頃でした

アルトは国内1位のため特別研修で現場に行って知識や技術を学びに行きました

同じランクイン者の翔羽や飛び級昇格で来た吉良なども参加していました

廻は独りで考え事をしながら夜の道を徘徊するのが日課になっていました

『法則無視』

廻は無意識のうちに攫われる子供をたすけていたのです

拒否する自分を押し退けて、たすけていたのです、

心の奥底に沈んだ本当の、本来の廻、将来の遊族のエースの血がまだ流れていました

廻はいつも通り頭の中で自分と会話しながら雨の商店街を歩いていた

お分かりの通り商店街は看板だけで空いてる店も人もほぼいない

うぅ…

死ね！！！！

路地裏から罵倒とうめき声が聞こえたのです

廻は裏路地に来て声の主を探しました

中年の小太り男は藍色のショートボブの小さな子供を踏んでいました

この子供こそがゼルス戦などで活躍して遊族の勝ちに貢献した雨霞礼衣［あまずみれい］、後の伍塔礼衣なのです

彼女は無言でただただ暴力を受け入れているようにすら見えました

無意識のうちにまたもや法則無視が発動し中年男は吹き飛んで失神してしまいました

感情のない冷たい声で彼女は中年男にはなしかけました

男は彼女を蹴って階段にぶつけました