サッカー部のメンバー3人でキャンプに出かけたときの話だ。 この近くにあるという、 使われなくなったトンネルを探しに 行くことになった。
リク
(ネットの情報頼りにしてきたけど…
ホントにあるとはな…)
ホントにあるとはな…)
リク
(気味が悪い…)
リク
(出口見えねぇし…)
リク
なぁ、やっぱり帰ろうぜ。流石にヤバイって
リクがそう言うと、タケルも 大きく頷いた。
カイト
なんだよお前ら、ビビってんの?
カイトはすっかりトンネルに 入る気でいるようだ。
タケル
このトンネル、長さもわからないし危ないよ…
タケルが不安そうな声で言うと、ふいにハルキが口を開いた。
ハルキ
………それじゃあ、こうしない?
ハルキの提案で、10分歩いても出口が 見えなかったら戻って 来ることになった。
リク
(怖すぎだろ…真夏なのにさみーし…)
カイト
おっ、出口だ!
ハルキ
おぉ!
カイト
向こう側はどうなってんだろうな
カイトが興奮気味に言った時、 急にあたりの空気が一段と冷たくなった 気がした。
タケル
これ以上はヤバイよ!
同じタイミングで、タケルが 大きな声を出した。
ハルキ
どうしたの?出口はすぐそこなのに
ハルキがタケルを振り返る。 ハルキとカイトは明らかに 不機嫌だった。
タケル
僕は戻る。リクも戻るよね?
いつもは大人しいタケルのあまりの勢いに、リクは驚きながらも頷いた。
リク
俺もタケルと一緒に入り口で待ってるわ
そう口にした瞬間、タケルはリクの手を取り全速力で駆け出した。
カイト
チッ、つまんねぇ奴らだぜ
背後では怒ったカイトが不満そうに声を上げていたが、タケルは 立ち止まらなかった。
リク
はぁ、はぁ、はぁ、
タケル
はぁ、はぁ
入り口に戻ったときには、二人とも息が上がっていた。
リク
タケル、どうしたんだよ。確かに不気味なトンネルだったけど…
そう聞くと、タケルは青ざめた顔で リクを見て言った。
「なぁ、ハルキってだれ?」
そうだ。トンネルには、〟3人〝で来たはずなのに……。 あの日、 一緒にトンネルに入ったカイトは 今も見つかっていない………