テラーノベル
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天まで伸びるほど高い木の隙間を抜けて歩を進める。静まり返った森、中々に雰囲気がある。それにしても、結構な距離を歩いてきたというのに人間も小動物さえも見つからない。何かに怯えているのか、それとも全部死んでしまったのかは分からない。そもそも彼は理解しようと思わない。そんなこと思っていたらキリが無いという単純な理由だ。
空澄 流
空澄 流
三日月 紫乃
他人事のように、実際他人事なのだが無愛想な彼の口調はどこか優しい。三日月 紫乃(ミカヅキ シノ)は小さな手を握り締めて、自信満々な笑顔を浮かべてみせた。彼女は空澄 流(ソラズミ ナガレ)が勤める職場、ミザンの相棒で、腐れ縁とも言えるかもしれない。
空澄 流
三日月 紫乃
空澄 流
三日月 紫乃
視界が安定しない森の奥へ、奥へと進んでいく。すると10分ほど経った頃だろうか。後ろを向いた長身の「ナニカ」がそこにいた。紫乃は武器を握る手に一層力を入れながら「ナニカ」に忍び寄る。
???
前兆もなく「ナニカ」は振り向いた。フードを被っている長身の男性。男性アイドルと言われても何も疑いを持たないほどの美形だった。彼は怪訝そうな顔をしながら二人を見つめていた。紫乃は安心したように息を吐いて一瞬武器を持つ手を緩める。するとソレは突如耳元まで口が裂け、妖しい笑みを浮かべた。
妖
彼は目を血走らせながら紫乃目掛けて凄まじいスピードで突進してきた。生気を感じない。まるで獣、暴走汽車だ。
三日月 紫乃
彼女は青ざめながらもハンマーを握りしめて彼の頭目掛けてハンマーを振るう。しかしハンマーの狙いは外れる。彼の動きは止まらない。暴走汽車は穢らしい汽笛をあげながら、体勢を戻して彼女に向かって突進する。動けなかった。金縛りにあったように重く、力強く、体が押さえられていた。彼女の視界に映る目の前の獣も、近くにいるであろう流も全てがスローモーションで、有名映画の先輩役のように感情移入できない謎の感情に包まれた。
三日月 紫乃
後悔、怒り、恐怖、絶望、少しの希望。そんなグチャグチャしたどす黒い感情を押さえ込んで、彼女は目を閉じた。死を覚悟していた。
三日月 紫乃
三日月 紫乃
来ると思っていた痛みが中々来ず、ゆっくりと目を開ける。視界が霞んでいた。唯一見えるのは動きが止まった暴走汽車と、二丁拳銃を構えた銀髪の悪魔だけだった。
空澄 流
空澄 流
空澄 流
三日月 紫乃
何も言わずに下を向いていた紫乃は、糸が切れたように流に抱きついて泣き叫んだ。本人はいろいろ言いたいことがあるんだろうが、ゴチャゴチャした言語に泣き声が加わって全く聞き取れない。申し訳程度に彼女の頭を撫でて、顎を掴み、念のため持ってきたクッキーを彼女に見せる。彼女はクッキーを察知して口だけ開けて噛み砕く。目を開けずに分かるのはさすが、としか言いようがない。
三日月 紫乃
空澄 流
三日月 紫乃
空澄 流
三日月 紫乃
空澄 流
三日月 紫乃
空澄 流
セレスヴァ・ルー・ホワイト
空澄 流
彼の後ろから聞こえた声に思わず不抜けた声をあげる。悪戯っ子は満足そうに声をあげて笑った。流は思わず出そうになった拳を宥めて、名前を呼ぶ。
空澄 流
セレスヴァ・ルー・ホワイト。異国の出身らしいが日本語ペラペラ。そして仕事が優秀だったため、入社してわずか2年で流の職場の二番目に偉い立場に昇格した。正直とても羨ましい。
セレスヴァ・ルー・ホワイト
三日月 紫乃
いつの間にか泣き止んでいた紫乃もセレスヴァに同意した。ここに流の味方はいないらしい。
空澄 流
セレスヴァ・ルー・ホワイト
セレスヴァ・ルー・ホワイト
空澄 流
食い気味に言う流と、ずいぶん落ち込んでいる紫乃を交互に見て、セレスヴァは隠すことなく苦笑いをした。ポーカーフェイスが苦手らしいから仕方ないだろう。
セレスヴァ・ルー・ホワイト
三日月 紫乃
セレスヴァ・ルー・ホワイト
セレスヴァは笑いながら言うと、何かを呟いた。黒く濁った目に小さい金色の光が浮かび上がる。
セレスヴァ・ルー・ホワイト
雨と直射日光を防げる黒屋根と柱、光を採り入れるためか飛び降り自殺を防ぐためか縦長の防弾ガラスが柱と柱の間に張られている。ここは街全体が見渡せる高層ビル、ミザンの屋上。彼は1年ぶりに戻ってきた実家と同じ気持ちを抱く。
セレスヴァ・ルー・ホワイト
三日月 紫乃
空澄 流
三日月 紫乃
流は歩こうとしない紫乃の手を引っ張り、三人で支部長が待つ部屋へ向かった。
ー申し訳程度の自己紹介ー
空澄 流
三日月 紫乃
セレスヴァ・ルー・ホワイト
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【1月18日投稿】