もう、遅い

取り返しのつかないことをしてしまった

そう後悔してももう、遅い

君はもう目を覚まさないんだ────

ガラガラッ

いつもと変わらない光景

君は病室のベッドの上で

俺はベッドの隣の椅子で

たわいもない話をしている

それは嬉しいことでもあり、悲しいことでもある

君は数年前に重い病を患っていた

発見した時は少し遅く

入院生活を余儀なくされた

最初、君は辛そうだったけど

最近は笑顔が増えた

オレンジ色の光に照らされた君の顔は

とても綺麗で

とても幻想的で

触れるとすぐに壊れてしまいそうで

とても俺は怖くなった

君は少し寂しそうにそう言った

キキィーーー

何が起こったんだ

頭が追いつかない

真央は？

どこだ？

なにを騒いでいるんだ？

何かあったのか？

…血？

…真央？

何度自分を責めたかわからない

なんで？なんで？

何度呼びかけても返事は無い

なんで俺はあの時真央を連れ出したんだ…

そう、何度後悔してもどうにもならない

もう、遅い

君は、もう

目を覚まさないんだ────────