一覧ページ

冥界の守護者

第18話 - もう1人の自分

586

2025年05月17日

#司類

#冬彰

#寧々えむ

#こは杏

#瑞類

あかまる🍓🐾໊

数週間後

ルイ

(相変わらず、すごい部屋の破壊具合…)

司

Zzz…

カイト

ごめんね。今日も持って帰ってくれ。

ルイ

はい。

ルイ

今日はどうでしたか？

カイト

何度も僕に負けて、そろそろ勝てないのは悟り始めてるみたいだ。

カイト

ただ、かなり頑固だけどね。

ルイ

そうですか…あと、どのくらいかかりそうで？

カイト

さぁ……まぁ、1年はかからないかな。

ルイ

…分かりました。

司

うぅ……ん？

司

ルイ……は、仕事か…

司

(オレのせいで、ルイが、1人で…)

エム

司くーーんっ！！

司

どわっ？！え、エム？！

ネネ

勝手に入ってごめん。一応、ルイに許可はもらってるんだけど、

司

おぉ、ネネまで…構わんぞ！

司

2人とも、何か用だったか？

エム

司くんが一人ぼっちかと思って、遊びに来たの！

エム

元気出して！司くん！

司

…

司

2人は…聞いたのか？オレが謹慎になった理由。

ネネ

うん、聞いた。会議で説明されたから、シライシさん達も知ってるよ。

司

そうか…

エム

あのね、あのね。誰も、司くんのこと怒ったり、嫌いになったり、怖がったりしてる人はいないよ！

エム

みんなね、司くんが帰ってくるの待ってるよ！

司

エム…

ネネ

体がしんどく無ければだけど…また、訓練場にも顔出してね。

司

い、行っていいのか？謹慎中なのに、

ネネ

敷地内から出たらダメなだけだから、別に問題ないよ。

ネネ

私も、シライシさんも、シノノメくんも、みんな待ってるから。

司

ネネ…

司

行きたい気持ちは山々だが…

司

謹慎が明けるまでは…オレは、大人しくしていようと思う。

司

もしかしたら、誰かを傷付けてしまうかもしれなくて…怖いんだ。

エム

司くん……

ネネ

…もちろん、無理にとは言わないから。

司

すまんな、2人とも。わざわざありがとう。

数日後

司

カイトさん…あと、どのくらいかかりそうなんですか？

カイト

うん…

カイト

ちょっと考えてたんだけど…1度、君も"彼"と話してみるべきだと思うんだ。

司

…え？？

カイト

まだ会ったことないだろう？

司

は、はい。そりゃあありませんけど…

カイト

だから、今日は少し話してきてもらうよ。

カイト

そこでちゃんと、"彼"と話し合ってみて。

カイト

どうするかは、君次第だよ。

司

うおっ？！真っ暗だな！？

司

しかし、"彼"と話すって…

司

…なんだ、まさか話すことになるとはな。

司

？！？！

司

お、お前か？！

司

あぁ。

司

な……っ

司

お、お前！！トウヤに酷い怪我を負わせただろう！！

司

トウヤがオレの邪魔をしたのが悪い。

司

はぁ？！

司

何故、悪霊を消滅させてはいけないんだ。おかしいだろう。

司

悪霊のしてきたことを思えば、消滅は妥当じゃないか。

司

！

司

オレは悪霊が嫌いだ。ルイを、みんなを悲しませる。

司

…

司

悪霊は全員、残らず消滅させる。あのアキヤマも、必ず。

司

……そうか、

司

お前は…オレの、負の部分なんだな。

司

明察だな。

司

悪霊が憎い。強くなりたい。負けたくない。

司

お前の汚くて重たい、負の部分が増幅したのがオレ。

司

それを、お前が過去に演じた冥界の王に投影し、オレが出来た。

司

そうか……

司

オレなら、ルイを守れる。お前と違ってな。

司

……

司

お前は王の力を使えない。だが、オレは使える。

司

もういっそ、ずっと"オレ"でいた方がいいんじゃないか？

司

…ダメだ。

司

…

司

オレはお前が嫌いだ。お前は自己中心的で、人を傷付ける。

司

オレは誰も傷付けたくない。

司

…そんな奴が、王の力を使えると思うな。

司

何かを傷付ける覚悟のある者しか、王の力は使えない。

司

王の力は、何かを傷付けるためのものじゃないだろう！

司

王の力…強大な権力や、力は、何かを守るために使うべきものだ！

司

甘い。

司

！

司

何かを守るため…その考えは否定しない。

司

だが、何かを守ることで、必ず何かが傷付く。

司

お前はそれを分かっていない。だから、王の力が使えないんだ。

司

優しいだけで、理想だけで、大切なものを守れるものか。

司

な…

司

全く、お前は王には相応しくないな。

司

…まぁ、オレもトウヤにそう言われてしまったが。

司

トウヤに…

司

オレは王になる。そして、必ず悪霊を全員残らず消滅させる。

司

そうすればきっと、ルイも…認めてくれる。

司

オレが強いと。ルイの「守護者」だと。…オレを信じて、良かったと。

司

……

司

だから、オレに全て委ねろ。オレならきっと、ルイに認められるオレになれる。

司

…お前は、ルイのことを何も分かっちゃいないな。

司

…何？

司

ルイもきっと、お前のことが嫌いだ。

司

オレは好かれているがな。

司

？！

司

な…っ、そ、そんなはずない！オレはこんなに強くて、カッコイイというのに…！

司

ルイは優しい。

司

ルイは、何かを傷付けることが嫌いだ。本当はきっと、戦いや争いが好きじゃない。

司

つまり、お前のこともきっと嫌いのはずだ。

司

…そんなの、お前の勝手な憶測に過ぎない。

司

ルイのことを分かっていないのはお前の方なんじゃないのか？

司

何っ？！お前よりは確実に！分かってるぞ！

司

お前、知ってるか？ルイは寝ている時、体を小さく丸めるようにして寝るんだぞ！

司

んなっ？！

司

ふっ、お前は知らんだろう？

司

ぐ…！

司

オレはお前が嫌いだが、消えて欲しいとは思っていない。

司

…え？

司

お前も一応、オレだ。それに、お前は王の力が使える。

司

強いお前と、ルイに好かれているオレ…足してみたらいいと思わないか？

司

足す…？

司

あぁ。

司

協力しよう、オレ。

司

協力…そう言われても、どうする気だ？

司

それは今から考えよう。特に何も考えとらん。

司

お前な……

司

…まぁ、いい。少しくらいなら考えてやろう。

司

じゃあ、オレが呼んだ時だけ、交代する…これで異論無いな？

司

質問いいか。

司

あぁ、聞こう。

司

オレが出てきたくなったらどうすればいい？

司

うむ…その時は要相談だな。

司

分かった。

司

それと、絶対に仲間を傷つけない。これだけは守ってくれ。

司

……

司

ルイに嫌われるぞ。

司

…分かった。約束しよう。

司

それでよし！

司

あとは…そうだな。悪霊を消滅させないと約束しろ。

司

…それは約束しかねる。

司

ダメだ。そんな事したら、監獄行きなんだぞ。ルイが1人になってしまう。

司

…

司

お前はカイトさんには勝てないんだから、諦めろ。

司

クソ…

司

……仕方ない。それも約束してやる。

司

うむ！

司

それと、もう1つ。王の力は、守るために使うと忘れないでくれ。

司

頼む。

司

……

司

…いいだろう。

司

！

司

それで終わりか？

司

えっと…思い付く限りは、そうだな。

司

そうか。

司

オレからも1つ、条件を提示させてくれ。

司

む…とりあえず聞こう。

司

お前ばっかりは不公平だから、夜はオレに代われ。

司

こ、断る！！

司

む、

司

絶対、ルイと一緒に寝たいだけだろう！却下だ！

司

なら、さっきの約束も無効にする。

司

ぐ…

司

オレは！…出来れば、どうしようもない時以外は、お前に出てきて欲しくないんだ。

司

…

司

…なら、今日だけだ。今日だけ代わらせてくれたら、お前との約束を守ろう。

司

！

司

…ルイに、何をする気だ？

司

何もせん。

司

むむむ…

司

……まぁ、今日だけなら、

司

本当に何もするなよ！

司

あぁ、分かってる。

司

心配だな…

司

大丈夫だ。用が済んだら、ちゃんと代わってやるから。

司

むぅ…なら、信じるからな。

司

…ﾊﾟﾁｯ

カイト

おはよう。君が起きたんだね。

司

あぁ…今日だけ、と約束してな。

司

司とはちゃんと話した。後でアイツから聞くといい。

カイト

おや…そうか。話せたんだね。

司

あぁ。

司

今日はもういいか？用事があるんだ。

カイト

…

カイト

うん、構わないよ。今の君からは敵意を感じられないし。

カイト

信じるよ。

司

…ふん、

司

(やはりコイツは好かん…)

司

(まぁいい。)

コンコンッ

トウヤ

どうぞ。

司

今いいか。

トウヤ

！

アキト

お前は…

司

おぉ、アキト。この前はよくもオレの顔面を叩いてくれたな。

アキト

あー…ごめん。

司

まぁ、過ぎたことだ。構わん。

トウヤ

…何をしに来たんだ？

司

あぁ、今日は…トウヤに、謝りにな。

司

…すまなかった、トウヤ。

トウヤ

…

トウヤ

ふふっ、随分丸くなったみたいじゃないか。あの事は別に気にしていないから、大丈夫だぞ。

司

…司も謝ったようだが、オレが謝らないと意味が無いからな。

トウヤ

そうか。やっぱり、お前も司なんだな。

トウヤ

俺の方こそ、すまないな。それなりに傷を負わせてしまっただろう。

司

あぁ…本当に化け物だったな。

司

まさかお前があそこまで戦えるとは、驚いた。

トウヤ

ふふ、まぁな。

トウヤ

紅茶でも淹れようか？

司

いいや、必要ない。もう部屋に戻る。

トウヤ

そうか。

ルイ

(司くんの謹慎、いつまでになるかな…)

司

あぁ、ルイ。おかえり。

ルイ

？！

ルイ

あっ……き、君は…

司

君だなんて。オレも「司」だぞ。

ルイ

そ…そうだね、

司

ルイ、おいで。

ルイ

えっ

ルイ

えっと…

司

ルイ。

ルイ

…分かったよ。

ルイ

…で、どうして君なんだい？

司

なんだ。やっぱり、オレのことは嫌いか？

ルイ

嫌いというか…まだよく分からないから、

司

…

突然スッと司くんの手が伸びてきた。

ルイ

？！

ルイ

えっ、ちょ、司くん？！

司くんは何も言わずに、淡々と僕の服を脱がし始める。

ルイ

き、急に何だい？！

司

……やっぱり。

司

この怪我、いつのものだ？誰にやられた？

ルイ

あ…

腹部にある、悪霊に刺された傷を指された。

ルイ

えっと…先日、仕事中に悪霊にね。僕の不注意だよ。

司

悪霊に……

司

……そうか…

ルイ

(び、ビックリした…)

司

そういえば、お前は寝る時小さく体を丸めるようにして寝るらしいな。

ルイ

？！

ルイ

えっ？！と、突然何の話だい？

司

司から聞いてな。アイツはオレの知らないルイを、沢山知ってると。

ルイ

そ、そうかい…

司

オレにも教えてくれ。アイツだけズルい。

ルイ

えっと…それはどういう…？

司

アイツの知らないルイを、オレに教えて欲しいんだ。

ルイ

司くんの知らない、僕…

ルイ

どうして知りたいんだい？

司

…ルイとオレだけの秘密が欲しい。

ルイ

ふむ…

ルイ

…いいよ、教えてあげよう。司くんには内緒の事ね。

司

！

ルイ

…実は、僕ね＿

司

……そうなんだな。

ルイ

うん。2人だけの秘密だよ。

司

あぁ、分かった。約束だ。

ルイ

これで満足かい？

司

あぁ、ありがとう。ルイ。

そう言うと僕の顎をクイッと上げ、そのまま口に接吻された。

ルイ

……ぇ？

司

なんだ。そんな可愛い顔も出来るんだな。

ルイ

…………？！//

司

Zzz…

ルイ

え、えぇ…？？！

司

…ﾊﾟﾁｯ

司

全く、アイツは何を考えているのか…

ルイ

あ…つ、司くん、

司

ルイ！…顔が赤いが、どうかしたのか？

ルイ

え、えっと…

司

…アイツに何かされたのか？！

司

何をされた？！嫌な事でもされたか？！

ルイ

嫌……じゃ、なかったのかも…

司

…？？？

ルイ

…//

司

な、なんだその顔は？！本当に何をされたんだ？！

ルイ

ひ…秘密。

司

何っ？！

司

る、ルイ？！何があった？！ルイ？！

ルイ

(…年甲斐もなく、少しドキッとしちゃったな。)

冥界の守護者

作品ページ

次の話を読む

この作品はいかがでしたか？

586

9件

毎回すごい面白いし、考察とかそういうのは苦手なのでコメントできないけど、続き楽しみにしてます！

冥界の王の司くんは、司くんの負の部分でその分を冥界の司くんが補ってるって考えると目から雫様が…(( 「お前、知ってるか？ルイは寝ている時、体を小さく丸めるようにして寝るんだぞ！」の司くんの自慢がそれでとても安心しました笑冥界の王の司くんもまったく悪い子じゃなくて司くんとの約束をちゃんと守るの偉すぎます… 司くん、ルイくんと…接吻を……あぁぁ❤︎((( 続き待ってます！頑張ってください！！