春美
(なんか今日のゆかり、なんだか変な感じするんだよね……。)
春美
(もしかして、本物のゆかりじゃないとか……?)
春美
(……まさかね。)
すみれ
ねえ、春美。
春美
ああ、すみれ。なに?
すみれ
今日のゆかりさ、なんか変じゃない?
春美
(……やっぱり、すみれもそう思うか。)
春美
なんで?何かあった?
すみれ
だって、あのときのこと、話してきたんだよ?
春美
あのとき?それって……。
すみれ
ゆかりの幼なじみが告白してきたときのこと。
すみれ
たのしげにさ、話してきたの。
すみれ
うれしかったけど、断っちゃったあって。
すみれ
一体、どうやっているの?
すみれ
あれは、偽物だったって話なんじゃなかったの?
春美
うーん、でもやっぱり違和感があるよね、ゆかり。
すみれ
そうそう。話し方も何かへ……
ゆかり
なに話してるの?二人とも。
春美
えっあっ。
すみれ
ゆ、ゆかり……。
ゆかり
どうしたの?
仲良しのゆかりのはずなのに、なんだか恐ろしい。その目には、光がないように見えた。
すみれ
な、なんでもないよ。
ゆかり
え?なんでもないって?なんの話ししてたの?
春美
あー、ちょっとね。トイレ行きたいなって。
ゆかり
え、私もいく!
すみれ
……え?
春美
(いつもなら一緒に行くなんて言わないのに……。)
ゾッとした。なんだか違う。もしかして、本当にゆかりじゃない……?
春美
すみれ。ゆかり。
ゆかり
ん?
すみれ
なに?
春美
ちょっとトイレ行ってくるね。
ゆかり
ん?
わかった。
私はトイレに行くフリをして教室をで、隠れながらゆかりたちの様子を伺った。
ポケットから携帯を取り出し、ゆかりに電話をかける。
……ならない。確かにゆかりにかけているのに、ゆかりの携帯が鳴らない!
春美
……やっぱり。
春美
(あれはゆかりじゃない!偽物の方だ!)
春美
ひっ。
ゆかり
どうしたのお?春美ぃ。トイレ、行くんじゃなかったのお?
春美
う、うん。今行こうとしてたとこ!
恐怖に迫られながらも、足を動かす。自然と息が止まる。
トイレの個室に入ったところで、私はやっと息を吸った。
春美
はあ……助かった。