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遠い遠い昔の話。

とある村の村人は、お互い助け合いながら自給自足の生活を送っていた。

村人たちの食料の大きな助けとなったのは、近くにある森であった。

野草や動物も多く、人々はそこで狩りをして暮らしていた。

しかしある時から、上半身は女の姿、下半身は蜘蛛の姿である「蜘蛛女」と呼ばれる妖怪が森に現れるようになった。

蜘蛛女の存在を恐れた村人たちは、蜘蛛女を退治するために何人かを森に送ったが、二度と帰ってくることはなかった。

このままでは食べていけない。

痺れを切らした村人は、腕のいい妖怪退治屋──名を吉助という─に頼み、蜘蛛女を退治してもらうことにした。

吉助は蜘蛛女の住処とされる森に足を踏み入れる。

ザッザッザッ

森の静寂に、足音だけが響きわたる。

瞬間、

ズオォッ

体を突き抜ける凄まじい妖気に、吉助は身構える。

顔を上げると、そこには巨大な蜘蛛女の姿があった。

蜘蛛女

ダレダ…ダレ…

蜘蛛女

クルナ…クルナ…

妖気に威圧されながらも、吉助は蜘蛛女の心臓目がけて矢を放った。

まずは1発。

蜘蛛女

グオオオォォォ…

すると蜘蛛女はうめき声をあげてその場に倒れた。

おかしい。

急所とはいえ、矢一本程度では倒れないはずなのに。

驚いたことに、蜘蛛女はみるみる小さくなっていく。

人間位の大きさになったころ、蜘蛛女は掠れるような声で言った。

蜘蛛女

許してくださいませ…

蜘蛛女

今あなたがご覧になったのは全て幻でございます。

蜘蛛女

私は本当は弱い妖怪です。

蜘蛛女

一般人には勝てますが、やはり退治屋には敵いませぬ。

蜘蛛女

どうかお許しを…

なぜ村人を襲う、と吉助が尋ねると、蜘蛛女は涙ながらに言った。

蜘蛛女

…子供が、いるのです。

蜘蛛女

弱い故他の妖怪にも勝てない私は、平穏を求めて食料豊富なこの森にやってきました。

蜘蛛女

しばらくは落ち着いて暮らしていたのですが、ある日人間と出会ってしまいました。

蜘蛛女

私の姿を見た人間は、当然私を恐れます。

蜘蛛女

その日は逃げてくれたので良かったのですが、数日後に私を退治しにやってきました。

蜘蛛女

私は戦いました。

蜘蛛女

子供を守るために。

蜘蛛女

生きるために。

蜘蛛女

私は、平和に暮らしたいだけなのです。

蜘蛛女

これからは村人に害を与えないと誓います。

蜘蛛女

だからどうか、お許しを…

座りこんで頭を下げる蜘蛛女を前に、吉助は呆然としていた。

しかし、すぐに吉助は蜘蛛女の前に膝をついて、ゆっくりと話し始めた。

吉助

お前の気持ちはよくわかった。

吉助

だが…すまない。

吉助

俺はお前を助けることはできない。

吉助の言葉に、蜘蛛女は体を震わせる。

吉助

仮にお前を助けたとして、俺はどうなる?

吉助

村人は事情を知らない。言っても信じてくれないだろう。

吉助

人間は自分が経験しないと本当の意味で信じられないからな。

吉助

その目で確かめさせようとしても村人は拒否するだろう。

吉助

「気が狂ったのか」「殺す気か」

吉助

こんなことを言ってな。

吉助

理不尽だが…それが人間だ。

吉助

お前が村人に害を与えないとしても…

吉助

依頼された以上、俺はお前を退治しなければならない。

吉助

退治屋は妖怪から人々を守る存在だ。

吉助

やはり人間にとって妖怪は怖い存在だ。だから…

吉助

俺は村人の心を守るよ。

そう言うと、吉助は蜘蛛女に札を貼った。

すると、蜘蛛女は灰になり、風にのって消えた。

吉助は手を合わせると、元来た道を引き返した。

村に戻るやいなや、吉助は村人に囲まれた。

村人

吉助さん!無事に戻って来てくれたということは…やったんですよね?

村人の言葉に、吉助は静かに頷く。

村人たちはわっと歓声をあげる。

皆口々に吉助を褒めたたえた。

村人

いやーよくやってくれました!

村人

これで安心して暮らせるわ。

村人

邪悪な妖怪がいなくなってくれて清々するわい!なあ吉助さん?

吉助は何も言わなかった。

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