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怖っわ(( 鳥肌たった((
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
彼が笑顔の時は、
必ず何か企んでいる。
彼がその笑顔で話し始めた。
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彼と知り合ったのは、
半年前のこと。
闇サイトで知り合って、
意気投合して
直接会うのは今日で四回目。
彼の提案を聞いてそう言ったが、
きっと私も笑っているのだろう。
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切られた動脈から鮮血が吹き出し、
口角の端から血の泡を吐く。
白目を剥いて痙攣する姿は、
いつ見ても滑稽だと思う。
私は乾いた笑い声をこぼし、
酒を喉の奥へと流し込んだ。
ホラー映画が好きだった。
ホラーというかスプラッタもの。
ストーリーの良し悪しなんてどうでもよくて、
ただ人がゴミみたいに死んで逝く、
そんなシーンを垂れ流している映画が好きだった。
でも、いつしか作り物に見飽きてしまった。
飛び散る血糊も、
ばら撒かれる人じゃない臓物も、
俳優陣の薄っぺらい演技も、
全てが急にどうでもよくなってしまった。
そんなとき、
闇サイトで見つけた
彼の撮った動画。
本当の血が飛び散り、
本当の人の臓物が腹部から零れ落ちる。
本当の殺人シーン。
殺される人物の表情は、
本物の恐怖と絶望に染まり、
苦痛で歪む。
作り物ではけして表現できない本物が、
そこにはあった。
そして、
私は彼の作品にのめり込んでいった。
そんな折、
殺人現場の後片付けを手伝って欲しい、
という仕事を闇サイトで見つけた。
ちょうど小金も欲しかったし、
軽い気持ちで応募して、
現場に向かった。
向かった先にあったのは、
娼婦の遺体。
ノコギリの体をズタズタに切り裂かれ、
部屋の中は血塗れで、
彼女の顔は
原型を留めていなかった。
じっと見つめている私を気にかけて、
依頼してきた人物が声をかけてきた。
しどろもどろ言い訳という名の、
趣味嗜好を披露する私に
彼は
ただ黙って話しを聞いてくれた。
作り物のホラーに飽きてしまった話し、
今、はまってみている闇サイトの動画の話し、
やっぱり
私は本物の死体を目の当たりにして
興奮していたのだ。
そうでなきゃ、
そんな話し、
初対面に人にするはずなどないのだから。
まさか、そんな。
という疑心暗鬼を払拭したのは
パソコンの中の映像だった。
ノコギリで切り刻まれる娼婦。
痛い痛いと泣き叫びながら、
痙攣する姿を見て笑みを零した私を
彼はけして軽蔑しなかった。
それが彼と初めて会った時のことだ。
それは本当にありがたい話しだった。
彼の映像のいちファンとして、
彼の制作を手伝えるのだから。
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彼はそう言ってニヤリと笑う。
そうやって笑うときは、
必ず何か企んでいて、
私はいつも良い意味で驚かされる。
その日は女性一人殺す予定だったが、
彼はその女性の子供も一緒に連れて来ていた。
そして、
子供の前で親を鉈で切り刻んだのだ。
子供は泣き叫び、
親は子供だけは傷つけないでくれと
叫びながら死んだ。
涙で顔がぐちゃぐちゃにして、
私たちが見ると顔を強張らせた。
さも当たり前のように言って、
彼は鉈を振り下ろした。
ああ、この人は最高だ。
そう思った瞬間だった。
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そうやって彼の殺人現場に同行し、
カメラを回し、
現場の後処理をしたのは
過去に三回あった。
一回目は前途した親子。
二回目はどっかのお偉いオッサン。
三回目はチャラい男。
一応、彼は
誰かに依頼されて人を殺しているようだった。
だから、
手伝った私にも
少なからず報酬を渡してくれた。
彼からしてみれば、
口止め料のようなものだったかもしれない。
彼と一緒にいるけれど、
別に一緒にいたぶっているわけではない。
同じリスクは負いたくなかった。
自分は観客なのだ。
彼の作品を最前列で見ているだけ。
いや、
ライブを見ているのと同じ感覚かもしれない。
だから、
もし、
警察に捕まっても、
知らん顔するつもりだった。
関わったかもしれないけれど、
彼の素性については知らないと、
きっぱりと言うつもりだった。
私は彼と深い関わり合いは無いのだ。
あくまでも、
殺人鬼と一般人という線引きを
私の中ではきちんとしているつもりだった。
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閑静な住宅街を歩く。
前方から歩いてくるのは
某お嬢様学校の制服を着た女子高生。
私は彼女に向かって真っすぐ歩く。
スマホを見ながら歩いていた彼女は、
驚いたような顔をしてこちらを見る。
私がスマホを向けると彼女は
そのスマホを覗き込んだ。
その瞬間、
後ろから彼がスタンガンを使って気絶させる。
あとは素早く側に停めていたワゴン車に押し込み、
逃げるように走り去るだけ。
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彼が目的地まで運転している間に、
私は彼女の手足を拘束する。
すでに三回目とあれば手慣れたものだ。
機材と機材の間に転がったペットボトルのお茶を手にして、一口飲む。
チラッとバックミラーに顔を写すと
確かに唇に薄っすらと笑みを浮かべていた。
ちょっと軽いショックをうけながら
さらにお茶を飲む。
そんなことを考えながら、
目を閉じると自分でも驚くほど
ストンッと眠りに落ちてしまった。
そのときは疑いもしなかった。
まさか、
お茶に睡眠薬を
入れられていたなんて……。
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そう言って彼は笑う。
あの、
何かを企んでいるような
笑みだ。
物陰から現れたのは、
あの
お嬢様学校の制服を着た
女子高生だった。
言いながら彼は動画を撮りはじめた。
そう言って彼は彼女に
包丁を手渡す。
グサッ
彼女が刺したのは、
私ではなく
彼だった。
彼女は刺した包丁を捩じった。
押し飛ばそうとした彼の手を搔い潜って、
彼女は
彼に
抱きついた。
彼の足元には
腹部から流れ落ちた血で
血だまりが出来ていた。
血で足が滑ると
そのまま彼らは床に倒れる。
カメラを彼の方に向ける。
グサッ
言いながらぐりぐりと包丁を捩じり、
彼は痛みに喘ぐ。
私は私でしっかり拘束されて、
少しも動ける状態じゃなかった。
彼女はそう言って彼の上から降りる。
彼は血塗れだったが、
致命傷には至っていないらしい。
彼女の手を取って
ヨロヨロと立ち上がる。
そして、
彼女を抱き締めた。
しかし、
彼が隠し持っていたナイフを振り下ろすよりも先に
彼女が彼の腕からスルリと抜ける方が先だった。
そして、
彼の攻撃を綺麗に受け流すと
その首に包丁を突き刺した。
包丁を抜くと、
鮮血が噴水の如く吹き出す。
膝を付いて
微かに震える彼を
彼女は愛おしそうに抱き締めた。
深々と心臓に突き刺された包丁。
彼の体から力が抜け、
仰向けに倒れる。
彼女は、
彼の持って来た道具箱の中から
鉈を取り出すと、
渾身の力を込めて
その首を胴体から切り離した。
そして、まだ鮮血滴る生首を拾い上げる。
彼女は愛おしそうに彼の頭を撫でて立ち上がった。
彼女は恐ろしく冷めた目で
私を見つめる。
彼女は
振り返ることなく
私を置いて
立ち去ってしまった。
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【数か月後】
そういうと彼女は
テーブルの上に置いた
生首の入った瓶の蓋を
愛おしそうに撫でた。
瓶の中の生首は
薄っすらと目を開いた状態で、
笑みのようなものを浮かべているように見えた。
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