雲ひとつない青白い空が澄み渡る。
思わず息を大きく吸い込みたくなるような、そんな空。
中原中也
おい、何処行くかくらい教えやがれ
太宰治
悪いけど話しかけないでくれる?
ちょっと今呼吸で忙しいから
中原中也
首引っこ抜くぞ自殺願望
中原中也
何処に向かってるか答えろっつってんだよ
中也君はそう云うと地面を蹴り、
私の前を風の速さで通り過ぎて太宰の方へ跳ぶ。
蹴りを入れようと振った中也君の足が空を切った。
太宰が跳躍してかわしたのだ。
太宰治
判った、答えるから近くに寄らないでくれる?
太宰治
連れだって歩いてると思われたくない
中原中也
心配すんな、俺も思われたくねえから
太宰治
気が合うねえ、そんな君が大好きだよ!
中原中也
うわ、やめろ!気色悪くて死ぬ!
太宰治
……うん、僕も気持ち悪くて死ぬかと思った
杏堂〇〇
ギャーギャーギャーギャー喧しい!死ね!
太宰治
死ねは酷いなぁ〇〇
僕だって生きたくて生きてるわけじゃないのさ
太宰治
そんなに云うなら一緒に死のう?
杏堂〇〇
厭だね、お一人でどうぞ
太宰治
ちぇっ
中原中也
お前らどう云う関係なんだ…?
杏堂〇〇
ただの仲間
中原中也
ふーん
杏堂〇〇
自分で聞いてきたくせに興味無さげなの心底腹立つ
太宰治
で、なんだっけ?
ああそう、今向かってる場所だったね
太宰治
これから向かうのは調査だよ
太宰治
爆発を一番間近で目撃した人間に
聞き込みに行く
杏堂〇〇
一週間前、私達が経験したのと同じ爆発が起きてたんだよ
杏堂〇〇
場所も同じ擂鉢街で
太宰治
先代そのものの姿は目撃されなかったから
気付くのが遅れたけど、
太宰治
おそらく僕達が追ってる事件と
同じものが原因だろう
太宰治
その爆発の生存者に訊きに行く
中原中也
生存者……ってことは死人が出たのか
太宰治
ああ、君の嫌いなポートマフィアの一団だ
太宰治
生き残った人は異能力者でね、
君も既に会っている人物だよ
杏堂〇〇
この先に自宅があって、
そこで話を聞く約束を───
私が路地の先を指差した時───
呼応するようにその方角から轟音が鳴り響いた。
杏堂〇〇
えっ
太宰治
あー…これは犯人に先を越されちゃったかな
中原中也
云ってる場合か
蔦の絡まる西洋風の屋敷が姿を現す。
が、その屋敷の半分ほどが吹き飛んでいた。
杏堂〇〇
ヤバいじゃん
太宰治
始まっているね
男
両手を上げて此方を向きなさい
杏堂〇〇
!
と、突然後ろから男の声が聞こえる
私達は手を上げずに振り向いた。
中原中也
おいおいおい、
鴨が葱を背負って何とやらか?笑
中原中也
聞き込みなんてだりぃと思ってたんだよ
杏堂〇〇
誰、このオッサン
中原中也
口封じに来た犯人をぶっ飛ばして
口を割らせる方がシンプルじゃねえか
中原中也
下がってろ、俺がボコってやる
杏堂〇〇
あら男前。さっさと片付けて
太宰治
はぁ……子供だ(呆)