白凌(はくりょう)は 妖怪ではない。
元々は『永久記(とわき)』という
書物である。
そこには
稀代(きだい)の巫女と謳われ
若くして亡くなった
”龍宝とわ(たつとみ とわ)”が
今まで出会った妖怪について
そして
彼女が取得した
呪(しゅ)に関することが
事細かに書かれている。
それゆえ、
白凌は他の妖怪よりも
呪の扱いを得意とし、
多くの妖怪についての知識も持っていた。
”野鎌(のがま)”のことも
もちろん書かれており、
彼女がいかにしてそれを封印したのかも、
しっかりと残されていた。
・
・
───今から数百年前の話。
村人①
村人②
村人③
村人②
村人②
村人③
村人①
村人①
村人③
村人③
村人③
村人②
村人②
村人③
村人①
村人①
村人①
村人①
村人③
村人③
村人③
村人③
村人③
村人③
村人③
・
・
”とき”
”とわ”
”とき”
”とき”
”とき”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とき”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とき”
”とき”
”とわ”
”とき”
”とき”
”とき”
”とき”
”とき”
”とき”
”とき”は曇天を見上げ、
ため息を一つこぼす。
”とわ”
”とき”
”とき”
”とわ”
”とわ”
”とき”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とき”
”とき”
”とき”
”とき”
”とき”は優しく微笑んで、
”とわ”の頭を撫でた。
”とわ”
”とき”
”とき”
”とき”
”とき”
”とわ”
・
・
”とわ”が指し示した場所にいたのは、
見るからに普通ではない人。
血走った目に、
開いた口からは涎が垂れている。
操られている男
その手には、
赤錆のついた草刈り鎌が
しっかりと握りしめられていた。
”とわ”
”とわ”
”とき”
”とき”
”とき”
龍の姿が彫られた鞘から
刀をゆっくりと抜き取る。
白銀の刀身、
光を浴びて煌めく様は
まるで水面のようだった。
操られている男
操られている男
勢いよく飛び掛かってきたが、
”とき”はそれを軽々と飛んで避ける。
操られている男
男が右足を軸に振り返ると、
眼前にキラリと光る
刀身が迫っていた。
操られている男
その言葉の途中で
刀は男の体を斬った
かのように見えた。
しかし、
不思議と痛みも
斬られた感触も無かった。
操られている男
操られている男
そう言って一歩踏み出したところで、
急に体から力が抜け
その場に膝をついた。
操られている男
”とき”
”とき”
”とき”
操られている男
”とわ”
”とわ”が男の前に立つ。
操られている男
”とわ”
操られている男
操られている男
操られている男
男は震える足で立ち上がる。
”とき”
”とき”
”とわ”
操られている男
操られている男
操られている男
操られている男
操られている男
操られている男
斬り掛かってきた男の鎌を
”とき”は流れるような動きで
弾いた。
弾かれた鎌は
男の手から離れ
宙を舞い、
そして、
近くにあった
木の幹に突き刺さった。
《くそっ!!》
鎌を持っていた男は、
崩れるようにその場に倒れる。
”とき”
”とき”
言いながら木に刺さった鎌を掴む。
”とき”
”とき”
《誰が貴様らなんぞに!》
”とき”
”とき”
《うるせぇ!》
”とき”
”とき”
”とわ”
”とわ”
《ど、どういうことだ!?》
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
《ぐっ…》
”とき”
”とき”
《……》
《いっそのこと》
《このまま浄化すりゃいいじゃないか》
”とわ”
”とわ”
《!?》
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
《ああ!くそっ!!》
《まだオレは…》
《何も───》
・
・
その数年後───。
”はな”
”はな”
”とわ”
”はな”
”はな”
”とわ”
”はな”
”とわ”
”とわ”
”はな”
”とわ”
”はな”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”はな”
”はな”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”とわ”
”はな”
”はな”は”とわ”の背中をさする。
”とわ”
”はな”の母親
”はな”
”はな”
”はな”の母親
”とわ”
”はな”の母親
”はな”の母親
”はな”の母親
”とわ”
”はな”の母親
”はな”の母親
”はな”
”はな”
”とわ”
”とわ”
・
・
稀代の巫女と謳われた
”龍宝とわ”は
多くの悪しきモノを祓い
多くの人々を救った。
しかし、
その代償は
彼女の体を
確実に蝕んでいった。
長くは生きられないと悟った”とわ”は
己がこれまで培ってきたモノを
見てきたことを書物にまとめ、
体調の良い日は
お伽噺のように
子供たちに話していた。
そのお伽噺の中で生まれたのが
”白凌”だった。
・
・
コメント
3件
話の雰囲気が すごく好きです🙇♂️