月日は流れ、4月になりマヌエルは大学2年生、清士郎は高校3年生に進級した
お互いそれぞれの学生生活が忙しくなり、ようやくふたりが会えたのは夏本番を迎えたあとだった
清士郎
ぎゅっ
マヌエル
清士郎
清士郎
清士郎
マヌエル
マヌエル
ふたりは近くの喫茶店に入っていった
マヌエル
清士郎
マヌエルの口元に付いていたアイスを指で拭った
マヌエル
一瞬固まる
清士郎
マヌエル
清士郎
マヌエル
マヌエル
クリームソーダを一気に飲み干すと、マヌエルは席から立ち上がりレジへ向かう
清士郎
残りのクリームソーダを飲み干し、慌てて清士郎はマヌエルのあとを追った
──数時間後
マヌエル
清士郎
チュ
マヌエル
清士郎に唇を奪わられる
マヌエル
清士郎
マヌエル
清士郎
清士郎
マヌエル
清士郎
清士郎
マヌエル
清士郎
マヌエル
遮るように口を開く
マヌエル
清士郎
清士郎
マヌエル
マヌエル
清士郎
マヌエル
マヌエル
にこ
清士郎
マヌエル
マヌエル
ぎゅっと抱擁を交わした
──1週間後
《今日、ひとつ年下の女の子から告白された。告白されるなんて思ってもみなかったから少し驚いた。 清士郎のことが頭に浮かび丁重に断った。》
《街中を歩いていたら女の子と勘違いした男が僕をナンパしてきた。無視して通り過ぎようとしたがかなりしつこかった。 「僕、男なんだけど」どすをきかせると男は驚きのあまり唖然となる。 その隙に僕は足早に離れた。》
清士郎は僕よりも女の子と付き合った方がいいんじゃないのか?
《最近、そんな考えが浮かぶようになってきた……。 外見上女の子に間違われるけれど性別は男。 同性で付き合ってると知られたら僕だけじゃなく、清士郎まで好奇な視線を向けられてしまう可能性がある。絶対にそれは避けないと……。 清士郎にとって今は大事な時期だから》
数ヶ月後
2月某日
音楽院の入学試験のため清士郎は渡航した
マヌエル
清士郎の合格を祈った
そして2週間後、【試験に合格した】とメールが来た
【おめでとう】と返信する
僕はある決心を固めていた
この数ヶ月間、結論が出るまで悩みに悩んだ
マヌエル
これは勝手に僕が決めたことだから
【空いてる日ある?】
休日
水族館
休日のためか家族連れが多い
清士郎
ぎゅっと手を掴む
マヌエル
清士郎
マヌエル
マヌエル
ふたりは矢印とおりに水族館内を歩きまわっていく
ひと通り歩きまわるとベンチに腰を下ろした
目の前にはクラゲの水槽があり、ゆらゆらと浮遊している姿は光が当たって幻想的だった
マヌエル
マヌエル
清士郎
向こうの音楽院の入学は9月で、それまでいろいろ準備をしなければならないらしい
物件探しや手続きやらその他諸々──
マヌエル
清士郎
他愛のない会話
けれどそんな会話をするために来たんじゃない
マヌエル
決心が揺らぐ前に
マヌエル
マヌエル
清士郎
何かを察したのか困惑した顔で僕を見つめる
マヌエル
清士郎
マヌエル
別れよう
しばらく沈黙のあと、絞り出すように口を開いた
清士郎
清士郎
マヌエル
清士郎
清士郎
チュ
清士郎
言葉を遮るように清士郎の唇を塞いだ
ほかの見物客たちはクラゲに目を奪われ、僕と清士郎に気づいていない
マヌエル
清士郎の頭を撫でる
清士郎
マヌエル
マヌエル
現代
冴夏
いつの間にか涙が流れていた。それを手の甲で拭う
“彼“──マヌエルは本当に父のことを……
日記帳の最後のページには
《僕が女の子だったら、今でも一緒にいられたのかな…………》
と書かれていた
一部文字が滲んでいる
日記帳をそっと閉じた
冴夏
もう1冊の日記帳を手に取りページを開く
日付は4年前──
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