《まさか再会するなんて思わなかった。 あれから20年以上は経つのに……》
繁華街でばったり清士郎と会うなんて、なんの因果だ
マヌエル
呑気にそう思っていると──
ぎゅっ
マヌエル
抱きしめられた
マヌエル
清士郎
離れようとする僕を許さず腕の力が強くなる
マヌエル
清士郎
マヌエル
マヌエル
幸いというべきか通行人たちは僕らに目もくれず気づいていない
なんとか説得し、清士郎はしぶしぶ離れる
マヌエル
マヌエル
清士郎の腕を引っ張り、その場をあとにした
清士郎を自分の家へ連れてきた
マヌエル
清士郎
マヌエル
何か言いたげな清士郎を残して、僕は台所に入っていく
シードル(林檎酒)の缶とおつまみを盆に載せテーブルの上に置く
マヌエル
清士郎
缶を開け、ごくりとシードルを飲む。ほんのりとリンゴの匂いがした
清士郎
清士郎
マヌエル
マヌエル
マヌエル
清士郎
言うまでもなく清士郎は“天才ピアニスト”として名を馳せている。
こっそり本人のピアノ・リサイタルに行ってることは本人に内緒だ
マヌエル
マヌエル
清士郎
名前を呼ばれ顔を上げると
チュ
唇を奪われた
マヌエル
がっちりと頭を押さえられ逃げられない
マヌエル
しかも濃厚なのをかまされた
ようやく唇を離した
マヌエル
マヌエル
清士郎
マヌエル
マヌエル
清士郎
清士郎
射通すような鋭い目付きに何も言えなくなる
マヌエル
清士郎
清士郎
マヌエル
清士郎
優しく僕を抱きしめる
マヌエル
マヌエル
マヌエル
抗うことなく
清士郎
僕は清士郎を受け入れた
《一瞬で“あの頃”に戻った》
《清士郎からマネージャーにならないかと誘われた。 前任者は家庭の事情でやめたのこと。 「マネージャーになれば、そばにいられる」 僕はその“悪魔の囁き”に二つ返事で了承した。》
冴夏
日記帳にはわたしたち家族のこと、マネージャーの仕事内容のこと、逢瀬を重ねていたことが書かれていた
そして、見え隠れする“罪悪感”────
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《清士郎からアイビーの水挿しをもらった。 枯れないように気をつけなきゃ》
《蔓が少しだけ伸びた♪》
嬉しそうな顔が浮かぶ
冴夏
《家の鍵を無くし途方に暮れている冴夏ちゃんを放っておけなくて、自分の家に連れてきた。 玄関のドアを開けた瞬間、ちょうど一階へ下りてきた清士郎と出会した……。 まずいと思った僕は彼女に少し待っててもらい、急いで清士郎を二階の部屋へ押し込んだ。 説明している暇はないし、今会わせるわけにもいかない。 万一のため清士郎の靴も下足箱に隠した。 そして彼女を招き入れた》
ゴメンね、僕は清士郎との関係を無くしたくないんだ──