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化け猫から逃げるには……
ふっ と考えが浮かぶ
………
……やるしかない
志織
揺さぶって自失状態の友人を起こす
そして、自らの手をメガホンのようにして叫ぶ
志織
リサがぽかんとした顔で私を見る
わかってる
ばかみたいに見えるのは私だってわかってる
しかし死の窮地に立たされている今、恥ずかしいなんて言ってられない
耳を赤くしながら、リサもやるようにうながす
志織
理彩
ぴたりと暗闇に浮かぶ目玉が静止する
瞳孔がここから見えるくらい大きく広がり――
ギニャアァァァーーーー!!!
一斉にあがった悲鳴で闇が満たされる
おびただしい数の猫が、我先にと四方八方へと散っていく
逃げ損ねた猫は仲間たちに踏まれ、罵声があちこちで飛び交う
あの化け猫でさえ、犬の鳴き真似に驚いて逃げていった
そんな様子を私たちはただ呆然と見つめていた
最後の一匹が姿を消す
志織
理彩
志織
理彩
もう物音ひとつ聞こえない
猫たちはいなくなった
緊張が解け 脱力して座り込む
こんな作戦がうまくいくとは思っていなかった
今はただ生きているという実感がたまらなく喜ばしい
志織
理彩
やっと…やっと帰れるんだ
全てを思い出した今、私はずっとあの店から逃げようとしていたことに気づいた
もう大丈夫
理彩
志織
理彩
後ろ…?
はっと振り返ると――
暗闇に白い歯が大きく開かれていた