気が向いたら再開します

女は狂気に満ち溢れ 檻をこれでもかというほど揺らす。 その切なる願いが 息ができないほど胸を苦しくさせた

この女は混血だが、罪はないじゃないか

なのに俺は…リン家の跡取りという身分で何も出来ない

檻の前に行くと その場で ゆっくり腰を下ろす。

それからというもの 俺は一晩、檻の前に座っていた

こうして座っていると 暗くて寒くて 先の見えない不安に襲われる。

これを何年もやっているなんて どれだけ寂しかったことか…

その瞬間、膝に隠してあった短剣を その女の前に差し出し 女の手に剣を握らせる

女の手を掴むと 自分の胸に勢いよく剣を突きだす

"キンッ"

そのとき 女は精一杯の力で剣を投げつけ 金属音が空間に鳴り響き 同時に女はその場に倒れこんだ

"ぽたっ"

暗くてよく見えなかったが 体を震わせ、溢れる涙が地面にこぼれて音が鳴っているのだと理解できた

俺の目を澄んだ瞳で見つめる。 その目は涙が溜まっていて今にも 泣きそうだった

彼女は戸惑いながらも檻から傷だらけの白い手を出す。

俺はその手をとると 顔を近づけ、やさしく口づけをした

そのとき彼女の顔が歪むと 途端に、溜まっていた大粒の涙が彼女の目からぼろぼろこぼれた。 まるで俺の言葉に安心したかのように…

初めて彼女が笑った。 その笑顔は今まで見た花よりも 一番美しく、光輝いていた…

この幸せな時間が続いてほしい 気がつけば、そればかり考えていた

すぐにその場を立ち、 重苦しい金属の扉を開ける。 すると、そこには 眠っているレンと警備の者が立っていた。

"バンッ"

首の後ろを素手で叩き、警備の者を 気絶させその場に寝かせると その者の衣服から鍵を取る。

"ガチャンッ"

思わず涙ぐんだ目を拭き 金属の扉を開けると、 すぐに 彼女の不安げな顔が映った

鍵穴に鍵を入れくるっと回すと、 檻の扉を開け

中に入ると 彼女の手、足についてる重い金属の鎖を順番に解除をする。

その儚げな表情を見ていたら 今にも消えそうで 華奢な体を引き寄せると そっと抱き締めた

気がつけば 俺は彼女の肩で涙が止まらなかった 彼女はとても温かかったから

彼女をひょいっと持ち上げると 扉へ向かう

"ガチャン"

レンは目にも止まらぬ早さの華麗な剣術で後ろの敵を瞬殺する。

"グサッ"