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#たまに雑談
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数日後
朝の澄んだ空気が、蝶屋敷の庭を静かに 満たしていた。
烏城 琴葉
そう呟いて、自分に言い聞かせるように拳を 軽く握った
縁側には、しのぶとアオイが並んで立っていた。
胡蝶 しのぶ
胡蝶 しのぶ
胡蝶 しのぶ
胡蝶 しのぶ
烏城 琴葉
その言葉に、アオイはふいっと顔を逸らした。
神崎 アオイ
しのぶはくすりと笑い、一歩近づく。
胡蝶 しのぶ
胡蝶 しのぶ
その言葉に、胸が少しだけ締め付けられた。 ――誰かの顔が、頭をよぎりそうになる。
烏城 琴葉
しのぶは満足そうに頷き、優しく微笑んだ。
胡蝶 しのぶ
私は深く一礼する。
烏城 琴葉
門をくぐり、蝶屋敷を背にする。 朝日に照らされる小道を歩きながら、ふと足を止めた。
烏城 琴葉
理由の分からない胸騒ぎ。 誰かが、怒ったような、焦ったような気配。
私は小さく首を振る。
烏城 琴葉
再び歩き出し、薙刀の柄に手を添える。 もう“隠”ではない。 今は、鬼殺隊の一員として前に進むだけだ。
その背中を、蝶屋敷の縁側から、しのぶが静かに 見送っていた。
胡蝶 しのぶ
誰に向けた言葉なのかは分からないまま、 春の風だけが、そっと庭を抜けていった。
任務の場所は、山奥の小さな集落だった。
私は一人、その地へ足を踏み入れる。
風はなく、木々も揺れない。 静まり返った空気が、肌にまとわりつく。
烏城 琴葉
ヒュンッ
反射的に身を引く。 頬に、浅い熱。
触れると、血がにじんでいた。
烏城 琴葉
背後の木が、遅れて“ズルッ”と滑るように 崩れ落ちる。 まるで、何かに“なぞられた”ように。
黒羽
低く、冷えた声。
闇の中から現れた鬼は、どこか人間離れした静けさを纏っていた。 黒い羽のような模様が、全身に広がっている。
その瞳に刻まれた文字。
――下弦ノ陸。
烏城 琴葉
薙刀を握る手に、力がこもる。
黒羽は口元を歪めた。
黒羽
ヒュッ、ヒュヒュッ
連続する“見えない斬撃”。
私は地を蹴り、木々の間を縫うように駆ける。 だが、服の端、髪、肌――かすめるたびに 切り裂かれていく。
烏城 琴葉
耳を澄ます。
わずかな音。 空気の歪み。
烏城 琴葉
薙刀で受け流す。
黒羽
黒羽の目が細くなる。
黒羽
烏城 琴葉
血痕の位置。 破壊された地面。 残された“痕跡”から、全てを読む感覚。
烏城 琴葉
黒羽の指先が、わずかに動く。
烏城 琴葉
琴葉は一歩、踏み込んだ。
黒羽
黒羽の裂線が、真正面から襲う。
だが私は、その“内側”へ滑り込む。
黒羽
初めて、黒羽の表情が崩れた。
烏城 琴葉
黒羽の腕が、宙を舞った。
黒羽
血が噴き出す。
だが黒羽は笑った。
黒羽
無数の裂線が、嵐のように放たれる。
烏城 琴葉
呼吸を深く。 視界が研ぎ澄まされていく。
音。 空気。 “流れ”。 すべてが、見える。
烏城 琴葉
黒羽が突っ込んでくる。
その軌道は、完全に読めていた。
烏城 琴葉
烏城 琴葉
黒羽の首が、落ちた。
黒羽の身体が、ゆっくりと崩れていく。
黒羽
鬼は歪んだ笑みを浮かべたまま、私を見た。
黒羽
その言葉を最後に、灰となって消えた。
琴葉は薙刀を下ろし、荒く息を吐いた。
全身が震える。 傷も浅くはない。
烏城 琴葉
空を見上げる。 暗い夜空の奥に、わずかな光。
薙刀を握り直す。 その手には、“命を繋いだ重み”があった。