<死刑囚>の首輪の鎖が、ものすごい音を立てて巻き取られ、その身体を引き摺り寄せたのだ。
不気味な椅子は、<死刑囚>が無理やり着席させられると同時に、 何かの仕掛けを起動させる。
すると、その身体は強制的に正しい着席姿勢にさせられ、椅子の手枷と足枷が恐ろしい音を立てながら、その四肢を拘束した…。
???
それでは、君たちの運命を試す試練を始めよう。
???
時間は5分。踏踊っている暇はないぞ。
???
生き残る為に、存分に本当の自分を曝け出したまえ。
その時、床板の金属板が、激しい音を立てながら横滑りして壁の中に消えていく…。
これによって、足元の金網フェンスの下は、漆黒の闇となった。
だが、その闇はすぐに、床下いっぱいに灯された青い炎によって照らし出される。
見れば、不気味な配管が縦横無尽に広がり、そこから一斉に青い炎を噴き出しているのだ。
その青い炎は、理科の実験で使うバーナーや、ガスコンロの炎を思わせる。
kr
うっ…熱い……。
pn
ふざけんなよ……こんなの……!
仮に、5分という時間制限がなくとも、ここにこのまま留まれば どうなるか、誰にでもわかる…。
???
その部屋の全てのものは、耐熱性と断熱性に 優れた特別な金属で出来ている。
???
それは君たちを拘束する首輪や鎖、 その部屋からの出口であるエレベーターについてもだ。
???
熱で火傷をすることはないだろうが、 熱で歪みなどが生じることは期待しない方がいい。
???
私からは以上だ。存分に君たちの、 本当の自分を曝け出したまえ。
sn
うぅ…あああああぁぁ……!!
tr
しにがみさん…!気をしっかり持って……
sn
ぅぅ…ぁ…ぐすっ……
謎のデスゲームに巻き込まれ、最も死に近い位置にいるという恐怖。
それを絶叫にして全て吐き出したしにがみは、肩で息をしながら、呆然としていた。
sn
………………。
sn
…クロノア…さん……。
sn
話が違うじゃないですか……。
kr
え…?な、何が…?
sn
これじゃ…おかしいですよ……。
sn
…うぅっ……最初の話と違います……。
sn
なんで僕が<死刑囚>なのッ!!?話が違う!!!
sn
僕は<断罪者>にしてくれるって言ったのにぃ…!
sn
クロノアさんの嘘つきッ…!!
kr
な…何の話か分からないよ……!
sn
騙したッ!クロノアさんが騙したんだ!!
sn
本当は、ぺいんとさんを<死刑囚>にするって言ってたのにッ!!!
kr
訳わかんないこと言わないでよッ…!
sn
嘘つき嘘つきッ!!!協力したら助けてくれるって言ったのにぃ!!!
kr
黙れッ!嘘つきはお前だ、訳の分からないこと言うな!!
tr
やめろ2人とも!クロノアさんも落ち着いて!!
tr
きっと、しにがみさんは混乱してるだけだよ…!
sn
混乱なんかじゃありませんッ!!!
sn
ぺいんとさんもトラゾーさんも聞いてください…!
sn
これを仕組んだのはクロノアさんなんです…!!
sn
うぅっ…ごめんなさい…。どうしても逆らえなくって…協力させられていたんです…。
kr
離せトラゾーッ!!こいつの嘘を信じるなッ!!
sn
僕は…、どうなってもいいから…クロノアさんをやっつけて…。
tr
そんなことして意味なんかないよ…!
pn
……いや、あるよ。
pn
俺とトラゾーは<断罪者>
そしてクロノアさんは<ピエロ>なんだ。
pn
俺たちは、しにがみかクロノアさんのどちらかを助け、どちらかを見殺し にすることで、生き残ることが出来る。
tr
どちらかを信用して、どちらかを見捨てるってこと…?
sn
クロノアさんが犯人なんです…。証拠もあるんですよ…!
kr
あるワケないッ!むしろ犯人はお前だろ!!?
pn
……クロノアさんには、しにがみを犯人だと示せる証拠はない?
kr
こんな訳の分からないことを言い出すこと自体が証拠だッ…!!
pn
…しにがみのクロノアさんが犯人だという証拠は?
sn
そこの……エレベーターを上がったところにある部屋。
sn
そこがクロノアさんが、このデスゲームの準備をしていた部屋なんです……。
sn
見れば、一目でクロノアさんが犯人だと分かるものでいっぱいですよ…。
tr
…そ、……そんな……
kr
しにがみィッ……!!殺すッ…ぶっ殺すぞッ!!!