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主
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神社でひたすら勉強し、本を読んで過ごした高校生時代。
おかげで私は塾に通うこともなく、学年で成績はいつもトップだった。
だけど、私は満点の答案用紙や成績表を、あの家族の誰かに見せることは無かった。
そんなもの見せたところで、誰もが困る。父も、困らせる
えとちゃんはお母さんに似ているね
えとちゃんはすごく成績が良いんだってね。
そんな言葉をあの家族は嫌った
特に父の正妻である美里さんは、私の母に激しい劣等感を抱いていた。
母は何事においても優秀で、 誰もが見惚れるほどの美人だったから
元々母も、父も、美里さんも、同じ音大の同級生だったらしい。
なにがあったかは知らないが、 美里さんは私という存在が、自分の子供たちより優れている点なんて絶対に知りたくない。
ましてや他人の口から聞きたくない
それは当たり前だと思っいる
それまでは普通の家庭だったのに、私のような厄介な存在がやってきて、 家族の空気を乱し、凍り付かせ、一度壊しかけたのだから
母違いの妹に当たる、真奈美ちゃんが、我慢できずに泣き喚き、ひどく暴れたことがある。、
私の存在が、大きなストレスを与えてしまっていたのだ。
きっかけはピアノだった。
私も母が亡くなる前まで、ピアノをずっと弾いていた。
頑張ってきたそれを、父に聞いて欲しかっただけなのに。
あの時、父の前で弾いたのは、ショパンの幻想即興曲
母が最も愛した曲
それと同時に父や美里さんも好きな曲であり、真奈美ちゃんが当時練習を始めた曲でもあった。
父は初めて聞いた私の演奏をすごく褒めてくれた
けど、真奈美ちゃんや美里さんは、 そうではなかった
酷くショックを受けた真奈美ちゃんの顔を、私は今でも忘れられない。
なぜこんなことで、と思うかもしれない
けど、我慢してきたものが爆発するきっかけとしては、十分だった
大好きな父が、大嫌いな腹違いの姉を、しかも今自分が練習している曲の演奏を褒めているのは、ひたすら悲しいことだったのだろう
迂闊だったのは私だ
この件以降、私はピアノがまるで弾けなくなる。
そして、自分の力や存在感を消すことに徹するようになる。
父に対してのアピールも許されない
父に褒められたくても、それはあってはならない事なのだ。
えと
???
知らない男の声がした
えと
私を見ているものがいる。 柔らかそうな、紫の髪の青年?
現代日本ではお目にかからない、 かなり妙な人だ。 でも、西洋の外人さんかというとそれも違う。
品のある端正な顔立ちをしているが、それは日本人に近いもので、広く言えばアジア人のものだ。
あまり違和感がないのも不思議だ
えと
???
……あんぽんたん?
???
???
異界人?仙力?
えと
急に起きあがろうとしたからか、体に痛みが走った
えと
布団から手を出してみると、所々かすり傷のようなものがあったが、 すでに薬を塗られ手当てをされている
えと
えと
???
そして、その青年はやかんに熱いお茶を注ぐ
えと
えと
ちょうど今、ガラスの急須の中で、花が咲いた。
えと
???
えと
???
えと
えと
???
えと
???
湯気が甘く、苦い。よく飲む麦茶とかとはちがう
えと
えと
なぜか心が落ち着く。こんな状況でも、お茶を飲むだけで冷静になれた。
えと
???
えと
???
えと
えと
???
青年は私が問いかけ終わるまでに即否定
ポカンとしている間に、自らの名を名乗った
???
もふ
えと
もふ
名前を呼ばれ、それに反応するようにベッドを降りた。
白の石畳の床が冷たい___
主
主
主
主