ナツ
保科宗四郎
保科宗四郎
保科宗四郎
ナツ
保科宗四郎
保科宗四郎
保科は自分の人差し指で己の頭をトントンと叩いた
ナツ
ナツ
ナツは冷たい目で保科を見つめた
保科は大して動揺したりもせず、口を開く
保科宗四郎
ナツ
ナツは好戦的な口調で聞いた
保科宗四郎
ナツは軽く目を見開いた
ナツ
保科宗四郎
保科宗四郎
保科宗四郎
保科宗四郎
保科宗四郎
除隊やぞ?
ナツ
ナツ
保科宗四郎
保科宗四郎
ナツ
ナツは声を荒げて机を両の掌で叩いた
バァン!!という音が診察室に響く
ナツ
ナツ
保科宗四郎
保科宗四郎
ナツ
ナツ
ナツ
保科宗四郎
ナツ
時は2年前に遡る_____
あの子___仁乃は、母親を無くしたんです
…え?なんだ、もう知ってたんですか
そうですよ、母は母でもホントの母じゃなかったんです
だけど、あの子にとっては小さい頃から一緒にいた"家族"で自分でも無意識のうちにその存在に縋り付いてたみたいなんですね
母親…叔母をなくしてからはあの子は施設に引き渡されると、学校に来なくなりました
学区的には全然来られたのに、です
私は何度も施設を訪れたけど
仁乃は面会すらさせてくれませんでした
相当弱ってたみたいですね
そんな状態が1年続いて、私たちが中2になった時、事件は起きました
ジメジメした湿気が体にまとわりつく梅雨の6月でした
私は学校帰りに傘をさして家路を歩いていました
その時、何を思ったのかは忘れてしまいましたけど、寄り道をしようと思ったんです
それでいつもは右に曲がる十字路を真っ直ぐ進みました
真っ直ぐ行った先は、川がありました
私は川べりを歩いていたら、人影が見えたんです
フラフラとした頼りない足取りで、少しでも風が吹けば川に落ちそうでした
危ないなと思って、私は注意しようとその人に近づきました
その人とは、仁乃だったんです
2年前のナツ
2年前のナツ
2年前のナツ
2年前の仁乃
仁乃は弱々しく振り向いて、そう言いました
私は仁乃に駆け寄って、傘も投げ捨てて、仁乃の肩を掴みました
2年前のナツ
2年前のナツ
2年前の仁乃
2年前のナツ
2年前の仁乃
2年前の仁乃
2年前のナツ
私は仁乃に突き飛ばされて尻もちを着きました
土砂降りですっかり濡れた土の地面で、私のおしりはびしょ濡れになりました
だけどそんなのにも構わず、私は必死に仁乃に話しかけました
2年前のナツ
2年前のナツ
2年前のナツ
川は連日続く雨で、水かさは増えていて……
水流もとても早くて誰が見ても入れば溺れ4ぬことは明らかでした
2年前の仁乃
2年前の仁乃
2年前の仁乃
2年前の仁乃
2年前の仁乃
2年前の仁乃
2年前の仁乃
2年前のナツ
仁乃は最後に柔らかく微笑むと、その身を川に投げ出しました
濁流の、川に。
続く
コメント
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続きがめっちゃ気になります!!