闇桜
…さっきの人、
夜桜と顔が
そっくりだったわね。
夜桜猫
あれ、
訓練所に
いなかったの?
闇桜
もう休憩時間よ。
壁掛け時計を見ると、
時刻は12:00を過ぎていた。
夜桜猫
(昼休憩か。)
闇桜
それで、受け付けの
窓口からちらっと
見えたのよ。
闇桜
あれは誰?
夜桜猫
え、えっと…
夜桜猫
(夜桜の双子の
お姉さんだけれど、)
夜桜猫
(言わない方が
いいかな?)
闇桜
あら、双子の
お姉さんなんて
いたんだ。
夜桜猫
え、
夜桜猫
(あ、思考
読めるんだったね。)
闇桜
なんか酷く
悲しんでたけど、
お姉さんに何したの?
夜桜
…お前らに
関係ない。
夜桜はそう言葉を零し、
会議室の去ろうと動き出した。
夜桜猫
(関係ない…か。)
夜桜猫
(まぁ、
そうだよね。)
夜桜猫
(夜桜にとって
私達は他人だし…)
闇桜
…離れるためには
それしかない…
ってどういう事?
夜桜猫
え??
闇桜
わざと、
酷い事を言ったの?
闇桜
言葉は慎重に
選ばないと、
闇桜
相手を最悪なら
道に選ばせて
しまうわよ。
夜桜
……。
闇桜
それにわざわざ
傷つけるより、
闇桜
他にも方法が
あったんじゃない?
闇桜
相談してくれれば
良かったのに…
夜桜猫
(夜桜の思考と
会話してるのかな?)
夜桜猫
(じゃあ、
離れる為って??)
闇桜
ところで、
なんで離れた
がってるのよ?
闇桜
昔を思い出
したくないから?
夜桜
……な。
闇桜
それとも、
本当に嫌いだから?
闇桜
夜桜は、
夜桜
見るなっ!
夜桜猫
ッ!?
夜桜
…勝手に他人の
思考を読むなっ!
夜桜
不愉快だ!
闇桜
無理よ。
闇桜
だって、
常に見えるもの。
夜桜
見ようとするからだろ!
夜桜
なぜ知ろうとする?
夜桜
勝手に
他人の思考の中に
踏み入るな!
夜桜
関係ないなら、
ほっといてくれ!
闇桜
それは…
夜桜
…そういえば、
お前は悪魔だったな。
闇桜
え?
夜桜
悪魔は
人の不幸を願う。
闇桜
ッ
夜桜
そして、
人の弱みを嘲笑い、
不幸に陥れる存在。
夜桜
お前にとっては
今の状況が
一番の喜びだもんな?
夜桜
人の愚かな思考を
嘲笑って、
さらに追い詰めて…
夜桜猫
ちょ、ちょっと
夜桜…
夜桜
本当は
今の俺が
可笑しいだろ?
夜桜
人の弱さが見えて、
さぞかし面白…
夜桜猫
ッ!?
闇桜
…適当な事
言わないで。
突然、 ナイフが
夜桜の横を通過し、
壁に突き刺さる。
闇桜
…分かったわ。
夜桜猫
や、闇桜?
闇桜
いいわよ。
闇桜
なら、
お望みどおり
笑ってやるわ。
闇桜
あんたの隠し事を
暴露してあげる!
夜桜猫
(か、隠し事??)
夜桜
どういう事だ?
闇桜
全部
知ってるのよ。
闇桜
私が女性服を勧めても
「興味ない」
って断るけど、
闇桜
本当は女性服に
興味あるよね?
闇桜
この前、
女性服の店前で
着物着たマネキン
ずっとみてたもんね~?
夜桜
ッ!!
夜桜猫
えっ!?
闇桜
それだけじゃないわ。
闇桜
自室に女性ファッション
雑誌を隠し持ってる
のも知ってるわよ!
夜桜猫
えぇっ!!?
夜桜猫
(よ、夜桜がっ!?)
夜桜猫
(凄い衝撃的な事実!!)
夜桜猫
(夜桜って
食べ物にしか
興味ないイメージ
だったから…)
夜桜猫
(いいや、でも
夜桜って女性だもんね??)
夜桜猫
(そう思うのは
当たり前…)
闇桜
まだまだあるわよ。
闇桜
桜には
「物語興味ない」
って言ってたのに、
闇桜
昨日、一昨日の
夜遅くに
桜の物語集
見てたわよね?
闇桜
確か1つは
「人魚姫」と
だったかしら?
夜桜猫
(あ、悲しい話の
やつ…)
夜桜
…やめろ…。
闇桜
1ヶ月前に
夜桜猫に無表情を
指摘されて、
闇桜
最近、部屋で
こっそり笑顔の
練習してたり、
夜桜猫
(気にしてたんだ…。)
夜桜猫
(夜桜、ごめん。)
闇桜
桜が猫好きで、
猫系雑貨買うのを
真似して和菓子系雑貨
こっそり買ってみたり、
闇桜
「太ったんじゃない?」
って言われたら、
気にしてこっそり
体重計で測ってるし、
夜桜猫
(こっそり多いね。)
夜桜猫
(まぁ、気持ちは
分かるけど…)
闇桜
夜桜の机の
1番下の引き出しに
大量に…
夜桜
やめろって
言ってるだろっ!!
闇桜
これが
夜桜の思う私
なんでしょ?
闇桜
なら、
存分にあんたの
弱みを皆に
曝露してやるわよ!
夜桜
お前…
闇桜
あら~、
私と殺る気?
闇桜
あんたが
私に勝てるかしらね?
夜桜猫
ちょっと、
二人とも…
夜桜猫
(や、やばい。)
夜桜猫
(こうなったら、
もう止められる
気がしない!)
夜桜猫
(ど、どこかに
隠れないと
巻き込まれ、)
夜桜
ッ!!
闇桜
ッ!?
夜桜猫
ッ!!
突如、闇桜と夜桜の間を
遮るように氷の壁が出現した。
夜桜猫
(こ、氷?)
青影
…落ち着いて下さい。
夜桜猫
(あ、青影…)
青影
ここで
交戦すると、
会議室が滅茶苦茶に
なります。
青影
武器を
納めて下さい。
闇桜
……。
夜桜
……。
二人は睨み合いながら
ゆっくりそれぞれ
武器を収めた。
闇桜
ふんっ!
夜桜
……。
そして、二人は
不機嫌なまま会議室から出て
別々に別れたのだった。
夜桜猫
(た、助かった…)
青影
…大丈夫か?
夜桜猫
うん。
夜桜猫
止めてくれて
ありがとう。
夜桜猫
(青影いなかったら、
完全に巻き込まれてた…)
青影
一体、
何があったんだ?
夜桜猫
最初は
夜桜のお姉さんの
事で始まって、
青影
夜桜さんに
お姉さん!?
夜桜猫
私も初耳。
夜桜猫
それで、
闇桜が夜桜を
怒らせて、
夜桜猫
夜桜も闇桜に
色々言ったんだ。
夜桜猫
そしたら、
闇桜が夜桜の秘密を
ペラペラと喋って…
青影
なるほど…。
夜桜猫
(危うく
交戦に巻き込まれる
所だった…。)
青影
とりあえず、
一旦落ち着いたが…
青影
今の状態じゃ
また同じ事に
なりかねないな。
夜桜猫
だよね。
夜桜猫
(収まる気がしない…。)
夜桜猫
(今日、闇桜に
森の行き方知ってるか
聞きたかったんだけど…)
夜桜猫
(無理そうだね。)
青影
…何か
小さい紙はないか?
夜桜猫
え??
青影
夜桜猫は、
魔法持ってないだろ?
青影
一応、俺も
警戒しておくが、
青影
万が一、いない時に
交戦に巻き込まれたら
大変だ。
青影
だから、
簡易的な魔法道具
を作る。
青影
魔法道具なら
だれでも使えるからな。
夜桜猫
(私の心配して
くれるんだ。)
夜桜猫
(優しい…。)
夜桜猫
紙なら沢山あるよ。
夜桜猫
持ってくる。
夜桜猫
あ、ついでに
使い方も教えて。
青影
おう、