蘇枋
蘇枋
夕暮れの桜の下、 緊張を帯びた顔で笑いながらも 真剣に想いを伝えてくれた 蘇枋の告白を思い出した。 俺らが立つ場所に風が吹き抜け、 心地良さを感じると同時に 沢山の桜が舞った。
その時の蘇芳の顔は、 とても綺麗だと、 そう思った。
あの頃の景色を 懐かしむ様に 目を細めた。 俺とは対照的に、 目を見開いて固まる蘇枋が居た。 表情もあの時とは逆になったように 感じた。
桜
蘇枋
桜
桜
初めて告白した相手は、 初めて好きになった人 初めて恋人になった人 初めてキスをした人。 全ての初めてを分け与えた人だ。
蘇枋
蘇枋が言う事もわかる。 その理由は俺から蘇枋を振ったから。 1度振っておいて今更 付き合って欲しいだなんて 図々しいにも程がある。 自分の身勝手すぎる 心情に嫌気がさした。
桜
蘇枋
蘇枋
桜
蘇枋
真剣な瞳で、 柔らかい笑みで 俺を優しく見つめてきた。 その瞳がまた見れたのが嬉しくて 心臓が飛び跳ねた
桜
「あっさり別れたんだ」 そう聞こうとして、 俺は口を閉じた。 自分だって、好きで好きで 堪らない相手を振ったのだ。 俺が言えたことじゃないだろう そう思った。
俺の言いたい事を 悟ったかの様に、 蘇枋が口を開いた。
蘇枋
蘇枋
そこからの言葉は 蘇枋の口から出てこなかった。 それでも 何が言いたいのか 分かってしまう俺は、 よっぽどアイツのこと好きなんだな そう思った。
桜
桜
蘇枋
桜
口から思った様に、 上手く言葉が出せなかった。 蘇枋の口から出てくる言葉は 検討違いの物ばかりで、 俺が知りたい答えには 一向にたどり着かない。
桜
蘇枋
蘇枋
桜
俺と別れようとしていた 蘇枋の心情が一向に つかめず、 口が空いたり閉じたり パクパク動いていた。
蘇枋
蘇枋
蘇枋
そんなくだらない事で、 そう言いたかったが、 自分も自分なので、 言いたかった事を飲み込んだ。 それでも、俺の言いたかった言葉を 蘇枋は理解したかの様に 苦い笑顔をした。
蘇枋
蘇枋
遂に俺の番が来たか、 そう思い緊張を帯びた口を ゆっくり開いた。 手をぎゅっと握りしめ、 自分の思いを素直に口に出した。
桜
桜
桜
桜
桜
精一杯でた言葉は、 きっと震えていたし、 自分の目は、 蘇枋の顔を正面から見られず 視線を漂わせていただろう。
蘇枋
蘇枋
俺の答えに以外そうに、 尚且つすごく申し訳なさそうに 瞳を伏せて 謝る蘇枋を、 今度こそ俺の瞳は 姿を捉えた。
桜
蘇枋
蘇枋
自分が今どんな顔をしているのかは、 分からないが、 なんとなく想像が着いた。 視界がボヤっとし始め、 蘇枋の姿をゆらゆら写した。
桜
喉が引き攣り、 言葉があまりでなかった。 足りない言葉でも 蘇枋は理解したように 優しくも辛い笑身をうかべた。
蘇枋
桜
蘇枋
桜
蘇枋
桜
蘇枋の不安を全て吹き飛ばす様に 言葉を投げ返すと、 蘇枋まで、 赤くて綺麗な隻眼を 揺らした。
2人似合った距離は 一気に縮み、 気づいた時には体全体が 蘇枋の腕に収まっていた。
久々に抱きしめられて、 嬉しいやら 悲しいやら 感情がぐちゃぐちゃで、 顔もきっと酷かったと思う。 フワリと香る 甘すぎず落ち着く 蘇枋の匂いに目を細めた。
桜
蘇枋
2人してぐちゃぐちゃになって 笑いあった。 桜は俺達を祝福するかの様に 舞い上がり、 2人だけの空間に包まれた。
桜
蘇枋
蘇枋
蘇枋
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
桜
何か言ってやろうと思って 口を開いたが、 蘇枋の顔がとても幸せそうで、 甘すぎるくらいの笑顔で、 何も言わずに口を閉じた。
蘇枋
桜
桜
蘇枋
あまりにもしつこいので、 鼻をフンっと鳴らし、 怒ったふりをしてやった。 ちょっとした言い合いも懐かしくて、 2人して吹き出してまた笑った。
笑って、笑って、 笑いあって、 疲れた挙句に、俺らは 甘いキスをした。 触れるだけのそれは、 初心を思い出した。
柔らかい唇を離したあとも、 なんだかおかしくて、 2人して吹き出して笑った。 こんなにも幸せで、 嬉しいことは、 蘇枋からの告白以来かもしれない。
蘇枋
桜
俺の返事を聞いた途端、 桜君らしいね と、蘇枋はクスクス笑った。 上品な笑い方に 少し見惚れてしまったが、 首をブンブンと振って 正気に戻った。
桜
蘇枋
幸せを確認するかの様に 答えあった。 今度こそは、 2人でやって行ける様な 気がする。 あいつの不安も、 俺の不安も全部聞いた今なら、 前よりもずっと 楽しくやってける そう思った。
桜
蘇枋の持っていたタバコを 自分のポッケから取り出し ヒラヒラとしてみせる。 悪戯が成功した猫の様な、 怪しげな笑みを浮かべながら。
蘇枋
桜
桜
自分で言ってて恥ずかしくなってきた。 最後の方は本当に 小さな声になっていたと思う。 2人して抱き合っていて 良かったと思った。
蘇枋
桜
桜
タバコの吸殻掻き集め___
❦ℯꫛᎴ❧
コメント
30件
良かったあぁああぁああぁあぁあぁああぁぁああぁあぁあまじで終わり方も天才ストーリーも神ほんとに凄い ここまで見るのが遅れた事に本気で謝罪すぎる(´;ω;`)ありがとうございました
「まだ来ないで欲しかった最終話。」明日からどうやって生きてけば良いんですかね、俺。長文書けるほど頭回んないし… でも、ほんっっっとに素敵な作品ありがとうございました(涙) 後日談読みたいです。(真顔)すおさんの会社の同僚ちゃんに報告(?)して欲しい。そして、桜と同僚ちゃんの絡みとか見てみたいです、お願いします(土下座)
お疲れ様でした〜!初めの頃はあっさりと2人が別れたことがほんと悲しかったんですが、お互いがお互いを好きで、相手のことを第一に考えていたからこそ別れるって言う選択肢になってしまったのが優しさが溢れ出てるなぁと思わせてくれました。タバコのように苦いところからとろけるくらいの甘さをありがとうございます♪本当に大好きな作品です。タイトル回収もお上手です!後日談として楡井君たちの反応見たかったりします!