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…やだっ、いきたくないっ!

おかあさんっ…ぐずっ…

朝花っ、離しなさい!

貴方はこっちよ!

大人達は顔の同じ少女二人を 強引に引き離そうとしている。

だが、色の眼の少女は もう片方の少女の しっかり握りしめている。

おねえちゃんっ…やだっ…

いい加減にしなさいっ!

言う事を…

ドンッ

ッ!?

色の眼の少女は 女性の手を振り払い、 もう1人の少女に近づく。

…おねえちゃんっ、

彼女は 紫色の目の少女を 優しく抱きよせる。

…おねえちゃんも
いっしょにいくよ。

ひとりはさみしいね。

…ぐずっ…

よしよしっ、
なかないで…

だいじょうぶ、
きっとこわくない。

こわいことがあったら、
おねえちゃんが
まもってあげるから。

第68話

『姉妹』

夜桜

はぁ…はぁ…

夜桜は刀を地面に 刺し、身体を支える。

夜桜

(…身体が重い…。)

えっ、夜桜?!

夜桜

ッ!

夜桜は背後から 名前を呼ばれ、振り返る。

そこには 起きて地面から立つ 朝花が映る。

夜桜

(…間に合ったか。)

朝花

ど、どうしたの!?

夜桜は刀を杖代わりにして 朝花にゆっくり近づいた。

夜桜

…朝花、
大丈夫か?

夜桜

どこか
痛いところは…

夜桜

(特に
消化液のようなのは
何もついてないな。)

朝花

私は全然大丈夫よ!

朝花

夜桜はどうしたの!?

朝花

頭から血が流れてて…

…ハ…レロ。

朝花

ッ!?

夜桜

……。

離れた場所から 緑髪の少女がこちらに ゆっくり近づいてくる。

…ネ…チ…ン、
…チカ……ナ…

チ…ヅクナッ…

シュルッ

壊れかけた白い板から 細い蔦がゆっくり3本出現し、 夜桜達に近づく。

朝花

ヒッ…

夜桜

(…完全に破壊
できてなかったか。)

夜桜

(朝花を守りながらは
厳しいだろう。)

夜桜

…朝花、
あっちに出口がある。

夜桜

先に走って
ここから出ろ。

朝花

…夜桜はどうするの?

夜桜

…大丈夫だ、
後から出る。

朝花

……。

夜桜

(…あと少し…いけるな。)

夜桜

(限界が来る前に…
完全に破壊する。)

グイッ

夜桜

ッ!

朝花は夜桜の右腕を 首にかけ、支える。

夜桜

…おい、何やってる。

朝花

私が支えるから
一緒に逃げましょう。

夜桜

駄目だ…1人で行け…

朝花

嫌よっ、妹の貴方を
放って行けない!

夜桜

言うこと聞け!

夜桜

このままだと
俺ら2人とも死ぬぞ!

朝花

絶対嫌っ!

夜桜

(…どんだけ
頑固なんだ。)

夜桜

(腕は…しっかり
掴んでて離なせん。)

夜桜

(駄目だ、
こんな事してる内にも
あれが来ている。)

夜桜

(どうにかして…)

夜桜

(…ん?)

……。

夜桜

(…止まった?)

先程、近づいてきた 蔦がなぜか少女の後方の地面で 静止している。

夜桜

(…何をしている?)

…イモ……ナノ…

夜桜

ん?

…オ…エチ…ンノ
…イモ…ト?

夜桜

夜桜

(こっちに来る。)

夜桜は刀を持った手を 前に出し歩いてくる 少女に向ける。

だが、何もしてこず 少女は無言のまま 二人の1m前で止まった。

……。

夜桜

(…こっちを
見ているが、
何もしてこないな。)

夜桜

(何故だ??)

朝花

あれ、貴方…
美鳥ちゃん?

夜桜

ん?

朝花

なんでここにいるの?
確か6年前に…

……。

バコンッ!

朝花

ッ!?

2人は音の方へ同時にみる。

視界の先には 白い板が破損し、魔法陣が 消えていくのが映る。

夜桜

(…壊れたか。)

朝花

あら、美鳥ちゃんは?

いつの間にか先程の少女は そこにはいなかった。

夜桜

(…機械が壊れたからか?)

夜桜

うっ…

朝花

だ、大丈夫!?

朝花が夜桜をその場で 地面へ降ろす。

すると、夜桜はそのまま 朝花の座る方に もたれかかった。

朝花

(…頭から血が
流れてるからかしら?)

朝花

どこかに
救急の用具は…

朝花

(あ、あの建物の中は
どうかしら?)

朝花

夜桜、私の背中に…

夜桜

…一人で歩ける。

朝花

いいから乗って。

朝花

歩くの大変でしょ?

夜桜

……。

夜桜は渋々、 朝花の背中に覆い被さる。

朝花は背中に夜桜を乗せ、 彼女の両脚を持ったまま 立ち上がる。

そして、 朝花は夜桜を背負いながら 小走り気味で歩き始めた。

朝花

…人は…いないわね。

夜桜

……。

夜桜

(…研究室か。)

朝花

あった、あれだわ!

朝花は救急マークの ついた箱か机の上に あるのを見つけた。

彼女は夜桜を ゆっくり床に降ろし、 箱の中身を確認する。

朝花

まだ新品ね。

朝花

これで頭の怪我を
手当てするわね!

夜桜

……。

朝花

夜桜?

夜桜が座りながら、 何かを見つめている。

朝花も不思議に思い、 夜桜の目線の先の方へ 眼を向けた。

朝花

ッ!?

夜桜

……。

朝花

な、何あれ…
あの中にいるのって…

2人の前には円柱の透明な カプセルが設置されていた。

カプセル内は赤黒い液で 満たされており、中には 小さな人らしきものが入っている。

さらにそれの頭には 複数のチューブの ようなものが刺さって 上に伸びている。

夜桜

…研究の被害者か。

朝花

…研究の被害者?

夜桜

施設の奴らは
地下で人体実験を
していたんだ。

夜桜

保護した一部の
子どもを使ってな…

夜桜

(あの中にいるのも
おそらく子ども。)

朝花

…生きてるの?

夜桜

…あの状態で
生きてると思うか?

朝花

夜桜は刀を杖代わりに ゆっくり立ち近くの 机の上の紙を見る。

夜桜

…被験者情報か。

夜桜

(…やっぱり全然読めん。)

夜桜

(多分、ここに来る前に
見た紙と同じだな。)

夜桜

…朝花、これ読めるか?

朝花

…ちょっと待ってね。

朝花は紙の束を手に持ち、 目を通す。

紙を黙読している中、 彼女の顔が少しずつ 暗くなっていく。

夜桜

…どうだ?

朝花

…これはここでの
実験内容が
書かれてるみたい。

朝花

…実験名は
「shadow clone」。

朝花

…あの中に被験者を
閉じ込め、設置した
機材から別の空間へ
姿を映す。

朝花

そこに存在するように
見えるけど、それは
映像であり本体に
攻撃が通用しない。

朝花

さらに、魔法も
遠隔に扱える
ようになれば、
軍事に使えるだろう、って

夜桜

(…分身の
ようなものか。)

朝花

ほとんどは
失敗してるみたい…。

朝花

映し出す途中、
被験者の脳に
負荷がかかって
死んでしまうらしいわ。

夜桜

……。

朝花

…なにこれ、
被験者って全部
まだ幼い子じゃない。

朝花

それも、皆
失敗って…

朝花

…あれ?

夜桜

どうした?

朝花

この子、
8年前に施設に
いた子なの。

朝花

この子も養子に
出されたはずなのに…
なんで…

朝花

…あ、

夜桜

…こいつ、
さっきの子ども
じゃないか。

朝花

…美鳥ちゃんよ。

朝花

他の子と同じ…
六年前に養子になったって…

夜桜

…ほぼ成功と
書かれてるな。

朝花

…まさか…

朝花はカプセルに目を向ける。

朝花

…嘘、そんな…

夜桜

……。

朝花

どうして…なのっ…
幸せに暮らしてると
思ってたのに…

朝花

…あんなに、
嬉しそうだったのに…
こんな酷い事っ…

夜桜

(…こいつは、朝花の
知り合いだったか。)

夜桜

(そういえば、
朝花と会話した途端に
大人しくなった。)

朝花

うぅ…

夜桜

(…今思えば、
こいつは朝花を
守ってたかもな。)

夜桜

(あの場にいたならば、
とっくに職員のように
殺されてるはずだ。)

夜桜

(植物の中でも
簡単に殺せただろう。)

夜桜

(となると、
あの植物に隠したのも
手が出せないように、か…。)

…シテ…

夜桜

ッ!

朝花

ッ!?

夜桜

(…カプセルの中か。)

夜桜は声のした カプセルの正面に立つ。

中を覗くと、先程の少女が 遺体に重なるように 薄ら浮かび上がる。

夜桜

(もう死んでるが、
魂の方もまだここに
囚われてるのだろう。)

夜桜

(このカプセルに
付与されてる魔法の
せいだろうか。)

…ダシテ…

オネ…ガイ、デタイ…

…ココカラ、ダシテ…

夜桜

…それでいいのか?

夜桜

ここから出ても
もう生き返らない。

夜桜

お前は…残念ながら
死んでるからな。

…ダシテ…
ココ…イヤ…

…クルシィ…サミシイ

イヤ…ダッ…
オソト…デタイ…
タスケ…テ…

夜桜

…わかった。

夜桜

(本人が望むならば、
そうしよう。)

夜桜

朝花、
これの開け方
書いてるか?

朝花

…書かれてないわ。

夜桜

…そうか。

夜桜

(ならば、
壊すしかないな。)

夜桜

うっ…

夜桜は力を振り絞り、 刀を前に構える。

夜桜

(これぐらいの
魔力ならカプセルの
魔法諸共壊せるだろう。)

夜桜

…今、解放してやる。

夜桜

…ふぅ…

ブンッ!

ズバッ!

夜桜

(よし…斬れた…。)

…ピシッ…

ピシピシッ!

ガシャンッ!

夜桜が後ろへ離れた瞬間 カプセルの硝子が壊れた。

そして、赤黒い液体が 勢いよく流れ出す。

…ワレタ…

カプセル内にあった液体が 外に流れ出た後、 中から透き通った少女が ゆっくりと出てきた。

背後には彼女の痛々しい 遺体がある。

ヤッタ…デレタ…

ソトニ…デレル…

サムクナイ…
クルシク…ない…

少女は身体が白くなり、 元より一層透けていく。

朝花

…美鳥ちゃん…

…おねえちゃん、
もう、だいじょうぶ…
だね。

夜桜

……。

…ありがとう。

少女は二人の方を向き、 にっこりと微笑んだ。

そして、数秒後 霧のように少女は その場から消えるのだった。

朝花

…美鳥ちゃん…うぅっ…

夜桜

(…一件落着、か。)

夜桜

…はぁ…

…フラッ

バタンッ!

朝花

夜桜ッ!?

夜桜が糸が切れたように 地面に勢いよく倒れる。

朝花

どうしたの!?

夜桜

…はぁ……はぁ…

朝花

(どこか悪いのかしらっ!?)

朝花

(でも、分からないわ
どうしよう…
このままじゃ…)

夜桜

…朝花、

朝花

どうしよう…
どうしたら…

夜桜

…落ち着け…

朝花

落ち着いてられないわ!

朝花

このままじゃ…

夜桜

…問題ない。

夜桜

…お前が…無事で
良かった。

朝花

…駄目…

朝花

(…夜桜…駄目よ。)

朝花

死なないでっ…

朝花

お願いだからっ、
生きてよっ!!

朝花

私を…一人に
しないで…ううっ…

グウゥゥッ~~!

朝花

ひゃいッ!?

朝花は突然の音に 驚き、辺りを見回る。

朝花

(な、何の音っ?!)

夜桜

…へった。

朝花

え?

夜桜

…腹、減った…

グウゥゥ~~!

朝花

…え、お腹の音??

夜桜

…食べ物…餓死する…

朝花

し、死んじゃ駄目よっ!?

朝花

えっと、どこかに
食べ物は…って
あるわけないわ!!

夜桜

鞄の内だ…

朝花

え、鞄?

夜桜

…腰についてる鞄…

夜桜の腰辺りを確認すると、 そこに小さな鞄が 巻ついている。

朝花

この中??

朝花は鞄に手を入れる。

そして、手に 当たったものを 丁寧に取り出した。

朝花

あらッ!?

朝花

(お、おにぎり出てきた!?)

朝花

夜桜、これ?

夜桜

……。

朝花

あ、夜桜っ
駄目よ起きてっ!?

朝花

ほらっ、
おにぎりっ!!

朝花

早く食べて~~~っ!!

…10分後、

夜桜

もぐもぐ…もぐもぐ…

夜桜は地面に正座し、 両手でおにぎりを持ち ゆっくり食べていた。

夜桜

(軽食を持ってきて
正解だったな。)

夜桜

(なかったら、
餓死してただろう。)

朝花

えっと…
大丈夫なの?

夜桜

あぁ、問題ない。

朝花

そう…

朝花は夜桜の頭に ガーゼを当て、白い テープで止める。

朝花

…良かった、
傷は浅かったのね。

朝花

血が出てるから
死んじゃうと思ったわ。

夜桜

…看護師だから
分かるだろ。

朝花

ち、血を見たら
焦っちゃうのよ!

朝花

夜桜急に倒れてたし…
死んじゃうかと…

夜桜

空腹で倒れただけだ。

夜桜

(まぁ、身体の
疲労もか…)

夜桜

(しばらくは動けん…)

夜桜

朝花も食べるか?

朝花

えっ、いいの?

夜桜は小さい鞄から おにぎりを取り出し、 朝花の前に10個置く。

夜桜

これで足りるか?

朝花

その鞄、そんなに
おにぎり入ってるのっ!?

夜桜

あぁ、後50個
ぐらいはある。

夜桜

腹が減ると、
動けないからな…

朝花

小さいのに
収納量すごいわね…。

夜桜

魔法によって
いくらでも入るようだ。

夜桜

(闇桜はこんなものを
どこで見つけたんだ?)

夜桜

(…まぁ、
だいたいは
あの吸血鬼か。)

朝花

う~ん、おにぎり
美味しいわ~♡

朝花

夜桜が作ったの?

夜桜

…具を作って入れて、
握っただけだ。

朝花

それでも十分
すごいじゃない。

朝花

夜桜って施設で
寝てるか和菓子
食べてるしか見た
ことなかったし…

朝花

後、昔より
食欲もあるし、
健康的で安心したわ。

夜桜

(俺の心配など
しなくてもいいのに…)

朝花

ねぇ、夜桜…

夜桜

ん?

朝花

…あのね、
手紙に書いてた事
なんだけど…

夜桜

……。

夜桜

(…そういえば、
書いたな。)

夜桜

(二度と会わない
つもりだったから、
内容はかんけつに書いた。)

夜桜

(このままでは
根掘り葉掘り
聞かれそうだ。)

夜桜

その話は…

朝花

…私、貴方がいるから
不幸になるって
思ってないわよ。

夜桜

ッ!?

夜桜は驚き、 口の動きを止める。

夜桜

(…その手紙は…)

夜桜

…2つに破れて
なかったか?

朝花

え、破れてるって??

夜桜

(確かあの時…)

夜桜

……。

朝花へ この前の発言、 申し訳なかった。 かなりきつく言ってしまった。

あれは朝花が嫌いだから 言ったわけではない。 俺は朝花の事は大事に思ってる。

だが、あそこまで 言わなければ、 お前はずっと俺と一緒に いるだろう。 家でも施設でだって そうだったからな。

あればお前が離れる為に と思った方法だ。 施設の時に冷たくしてたのも その一つだ。

朝花は、俺と いない方がいい。 姉として俺の面倒を 見てきて、そのせいで 散々な目に遭っただろう。

俺を庇う事をしなければ、 お前まであの場所で 酷い目にあうことは無かったはずだ。 今頃母親と一緒に不便なく 暮らせてただろう。

いや、そもそも 俺がいなければ 良かったんだろうと感じてる。 そうすれば母親もお前も 困らなかったはずだ。

だから、もう俺に関わるな。 朝花をこれ以上、 不幸な思いを遭わせたくない。 俺の存在を消して 生きればいい。

今までありがとう。 俺はお前の妹で良かった。 朝花の幸せを願ってる。

夜桜

(…手紙を書くのは
あの日以来か。)

夜桜

(…母親の日とかいう
ので、朝花から字を
教えてもらって…)

夜桜

(謝罪とあの日までの
感謝を書いた。)

夜桜

(…でも、
伝わる事はなかった。)

夜桜

(読まれず、
すぐにゴミ箱に
捨てられたな…)

夜桜

(…俺は
あいつにとって
厄介者でしか
なかったんだろう。)

夜桜

…手紙を書くなど
馬鹿な真似をしたな。

夜桜

(…朝花は、
絶対みるだろうな。)

夜桜

(これを見て
会うのを
諦めるだろうか?)

夜桜

……。

…ビリビリッ

夜桜は書いた手紙を 2つに破り、ゴミ箱に捨てた。

そして、 新しい便箋を取りだし、 書き始める。

夜桜

(…これでいいだろう。)

朝花へ この前の発言、 申し訳なかった。 かなり言いずきた。

あれは別に朝花が嫌いで 言ったわけではない。

だが、これ以上 俺に関わるな。 お前に妹はいなかったと 思って生きればいい。 今までありがとう。

夜桜

…はぁ、疲れた。

夜桜

(…時間をかけすぎたな。)

夜桜

(ベッドに行く
気力が湧かない…。)

夜桜

(今日は…このまま寝るか…)

夜桜

(…最初に書いたのは
破いて捨てたはずだ。)

夜桜

(なぜ入れ替わってる?)

朝花

多分、
お母さんの言葉を
気にしてるのよね?

朝花

ずっと夜桜に
言ってたから…

夜桜

…実際に
そうだろう。

朝花

そんな事は…

夜桜

あいつは
お前は愛してた!

夜桜

俺に構わなければ…
施設に送られる
事はなかっただろうっ!

夜桜

施設だって…ずっと…
俺を庇ってたせいで…
殴られて…

朝花

それは私が選んだ事よ、
夜桜が責任感を持つ
必要ないわ。

夜桜

…なぜ選んだ?

夜桜

あいつはお前だけは
施設に送る気はなかった。

夜桜

言う事聞いてれば
良かったのに…

夜桜

俺なんて
放っておけば
よかっただろ…

夜桜

俺なんか…

むぎゅっ…

夜桜

ッ!

夜桜は朝花の腕で 彼女の方へと寄せられ 抱かれる。

朝花

…夜桜だけが
離れ離れになるなんて
おかしいでしょ。

朝花

私達、家族なのに…

朝花

それに、
大事な妹が傍に
いなくなるなんて
嫌だったの。

朝花

それなら、
私も夜桜と一緒に
って思った。

夜桜

……。

朝花

私ね、
夜桜がいるから
不幸とは思った事
1度もないわ。

朝花

厄介に感じたこともない。

朝花

むしろ夜桜の存在は
私を幸せにしてくれたのよ?

朝花

夜桜が話してくれたり、
笑ってくれたりしたら
とても嬉しかった。

朝花

昔からずっと、
夜桜がいるから
私は頑張れるし、
元気になれた。

夜桜

…朝花、

朝花

だからね、
自分を否定しちゃ
駄目よ。

朝花

誰がそんな事
言ってても
聞かなくていい。

朝花

貴方は
生まれてきて
良かったんだから、ね?

夜桜

……っ、

夜桜は朝花の肩に 顔を隠すように押し当てる。

彼女の頬からは 涙が流れ落ちる。

夜桜

…ごめん…

朝花

…大丈夫よ。

朝花

私もごめんね、
夜桜の気持ちに
気づけなかった。

朝花

もう悩まなくて
いいからね。

朝花は優しく微笑む。

そして、泣いている 夜桜の頭を優しく 撫でるのだった。

夜猫🌸依頼事務所~厄災の魔女~

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