1話1話で完結する短い話集

プルルルルルルルル

燃え尽き症候群

これは、ある目的に対して献身的に努力した人が、目的を達せられなかった際に徒労感や無力感に苛まれること。 あるいは、たとえ目標を達成したとしてもそのあとに生じる虚脱感を指す

最近は、大人だけでなく、学生や子供にも多くなっている

らしい

燃え尽きた心の中の火は、 いつ、どんなきっかけで、 また燃え始めるのだろうか

1週間目

テストはやっぱり緊張するようで、毎回、テストの日も返却の日もクラスはざわざわとする

“ちょっとうるさいな” とは思うけど… この空気感は…あまり嫌いではなかった

先生は丸付け済みの解答用紙を配り始めた

この中学校に入学して早六ヶ月

毎日毎日勉強に明け暮れ、 受験し合格したこの学校

だけど…もう、勉強に価値を見出せなくなっていた

無気力　虚脱状態　 “ああ、つまらない” “関心が持てない”

例えどんなに偏差値がよくなくても、点数が悪くても… 悩むのはテストを受けていない母で、私ではなかった

あー私の番だ

・ ・ ・ ・

隣の席で、音を立てながら机に突っ伏し、情けない声を上げる彼

“並木肇くん”

せっせと教科書を見たりしながら書き進める

点数を知られても特に気にしなかった 前は、すごく気にしてたのになぁ

2週間目

・ ・ ・

そういうとテストのプリントを見せてきた

3週間目

・ ・ ・

私は自分から聞いた

自分でもびっくりだった

並木君は一瞬驚いたようだったけど、嬉しそうに笑って見せてきた

————しまった————

イライラをぶつけてしまった 並木君は気まずそうに顔を背けた

“並木君は、ただ私のために言ってくれただけなのに…”

4週間目

あの日から、私と並木君は気まずくなった 隣同士だから話し合いとかもする時あるのに…

そう言ってプリントを見せた

今まで間違いが多かった理科の点数が上がっていた

そう言って並木君は笑った

水木は静かに微笑んだ

水木の心には、小さくも確実に火が灯った。

ちょっとしたきっかけだが、彼女が勉強し始めるのには十分だった。

別に聞きたくないんじゃね

プルルルルルルルル