不安になる言葉って、誰にでもあると思う。
柚月
私の場合はこれ。
元カレ騒動を想起させる為 非常に心臓に悪い。
山川のぞみ
もうラインが届いた瞬間、飛び起きた。
柚月
山川のぞみ
山川のぞみ
柚月
柚月
柚月
山川のぞみ
柚月
柚月
山川のぞみ
山川のぞみ
山川のぞみ
山川のぞみ
ラインを終えると、ベッドに倒れ込んだ。
山川のぞみ
声に出したところで、反応が返ってくるわけではない。
それでも声を出さないと、何かに押し潰されそうだった。
自分の居る空間がひどく広く、冷たく感じる。
柚月君と遊ぶことが、何よりの楽しみになっているから。
落ち込むこと、と言うのは続く物だ。
翌日 大学から自宅の道のりを歩いていると、声をかけられた。
魔法のツボでも買わされるのか、と思ったらそうでもなかった。
鳴沢真由子
鳴沢真由子
鳴沢真由子
それはもう素敵な、勝ち誇ったような笑みだ。 ムカつくけど言い返せない。
絶対に相手してやるもんかと無視を決め込むが、母親はいつまでも私の横を追随して来る。
鳴沢真由子
聞こえないフリを貫いていたが、これは聞き捨てならなかった。
山川のぞみ
山川のぞみ
鳴沢真由子
隣で密やかな嘲笑が漏れた。
鳴沢真由子
鳴沢真由子
週に2回は家に行くのが「本気」?
鳴沢真由子
それだけの措置で何も出来なくなる
鳴沢真由子
鳴沢真由子
一番痛い所を突かれた
言葉のナイフは、絶え間なく容赦なく抉る。
鳴沢真由子
鳴沢真由子
鳴沢真由子
鳴沢真由子
最大級の勝ち誇った笑みを残して
ヒールを鳴らして母親は颯爽と去って行った。
現実を見ろ
一番嫌いな言葉だ。
言われなくても、嫌と言うほど見てる。
山川のぞみ
山川のぞみ
のぞみは 唐揚げに割りばしを突き刺した。
落ち込むことが続いたら、どうするか。
のぞみの場合 お酒だ
「私が出すから、今晩付き合って」 とラインが来たので来てみれば、かなり怒り心頭のご様子だ。
澪
山川のぞみ
山川のぞみ
山川のぞみ
澪
澪
山川のぞみ
澪
澪
澪
山川のぞみ
話してあげるわ、奴の数々の暴挙を
全て聞き終わった時には、唐揚げが滅多刺しされていた。
澪
山川のぞみ
のぞみは手元の梅酒(2杯目)を空にすると、すぐに3杯目を注文する。 のぞみは炭酸が飲めないくせにお酒は強い。
山川のぞみ
山川のぞみ
そう言って、無惨な姿になった唐揚げを頬張った。
本来なら「そんなことないよ~」とか言う場面だろうけど
私は言わない。
澪
澪
って言うのが私の意見や
山川のぞみ
澪
自分は待つしか出来ひんって分かってるだけいいやんか
澪
長続きするタイプ
山川のぞみ
山川のぞみ
澪
澪
そういう人とは趣味嗜好が違うし
山川のぞみ
タピオカミルクティー買うお金あったら漫画に費やすからね…
澪
澪
澪
澪
山川のぞみ
不意にのぞみが、何かに気づいたような顔になった。
山川のぞみ
山崎君の話よくするよね
澪
そ、そお?
山川のぞみ
澪
塾に向かう交差点で出会って、ちょっと話して…
それだけだ。 発展なんて、しようがない
はずや。 だけど____
__暖房、効きすぎちゃう?
柚月
柚月
ラインが来た瞬間、飛び起きた。
はやる気持ちを抑えている為、指が震える。ミスタップが多い。 5分しかないのに。
山川のぞみ
山川のぞみ
柚月
柚月
山川のぞみ
柚月
山川のぞみ
山川のぞみ
柚月
あと3分。 量より質な会話にするには、何を話したらいい?
山川のぞみ
山川のぞみ
何を突然言ってるんだろう。
でも本当のことだ。
数秒の後(のち) 柚月君から返って来たのは
照れたパンダのスタンプ。
1つじゃなくて2つ、3つ… …
10連。
山川のぞみ
照れ隠し??(^-^)
柚月
柚月
柚月
量より質になったかな?
柚月
そう嬉しそうに呟きながら
スマホを充電器に刺す柚月を
少し開いたドアの隙間から、じっと見ている者がいた。
慈愛に満ちた表情とは、かけ離れた
氷柱のように冷たく鋭い視線で
鳴沢真由子は息子の姿を見つめていた。