母
山崎孝太
塾から帰り、遅い夕食を食べているとテレビを占領している母が話しかけて来た。
木曜10時のドラマ視聴に命を懸けている母から話しかけて来ることは、めっったにないので驚いた。 (現在CM中)
母
山崎孝太
母
母
山崎孝太
出来たのは 友達だ。
塾に行く時に話す、関西弁の女性と
体育のテニスのペア。
自覚はないけど、第3者に指摘されるくらいの、何かしらの変化はあるのだろう。 吉田達と居る時より数倍楽しいから。
今も表情に出てたのかもしれない。 母がテレビの音量を下げた。
母
山崎孝太
母
山崎孝太
山崎孝太
母
山崎孝太
母
山崎孝太
母
山崎孝太
山崎孝太
母
母
山崎孝太
母
母
もうすぐCMが終わりそうなので、黙って味噌汁をすすった。
母
味噌汁を吹いた。
山崎孝太
母
身の危険とスマホの危険を感じた。
職員室横には、定期テストの結果をランキング形式で表した紙が貼ってある。
それぞれの科目と総合点数 上位20名の点数と名前が公開される。
昼休みを利用して、ランキング表を上から下まで眺めたが、 無理だ、と絶望する。
ランキング入りする為には、90点は越えないといけない。
一方俺の平均獲得点数は、80点を越えるか越えないか。 (だから塾に通っている)
学年末テストまであと1週間しかないのに、5教科の点数を20点上げないといけない。
天を仰いだ。
柚月
山崎孝太
柚月
山崎孝太
山崎孝太
柚月
天は仰いでみる物だ。
とても慈悲深い言葉を頂いた。
体育以外にも
理科の実験とか、放課後の(押し付けられた)掃除当番とか 次第に一緒に居る頻度が増えた。
矢面に立たされた者と傍観者だった俺達は
今や お互いを下の名前で呼び合って、昼休みに勉強を教えて貰っている仲だ。
吉田達と居た時より数倍楽しい。
昼休み終了5分前 柚月の筆箱に、ビーズの猫が入っていることに気づいた。
確か、彼女さんが作ってくれた物だ。
不意に、昨日の「柚月が変な女につきまとわれてる」と言う話に違和感を覚えたことを思い出した。
山崎孝太
柚月
山崎孝太
柚月
山崎孝太
柚月
山崎孝太
柚月
柚月が眉をひそめた。声も硬い。
無理もない。 「つきまとう」なんて表現は、変人扱いしているに等しい。
山崎孝太
傍から見ても柚月と彼女さんは、とても仲が良いことが分かる。
お互いがお互いを想っている。決して一方通行じゃないはずだ。
どうして 柚月のお母さんは「つきまとってる」なんて言うんだろう…
山崎孝太
山崎孝太
その瞬間
柚月の顔がより一層険しくなった。
最近 お母さんが他所(よそ)行きの服を着て外に出ることが多くなった。
それは
鳴沢真由子
こんな嘘八百を並べる為なのだろうか。
家に帰るとお母さんが誰かと電話していた。
いつもより高い声で 愛想良く
鳴沢真由子
鳴沢真由子
鳴沢真由子
鳴沢真由子
長々と のぞみさんの、ありもしない姿を述べていた。
こんなの誰がどう聞いても、のぞみさんが悪者だ。
お母さんの話を鵜呑みにした人たちは、どう思うだろう。
僕を 可哀想だと思い のぞみさんを 悪者だと思う…?
お母さんと一緒に 僕とのぞみさんを引き離そうとするだろうか。
「何度言っても行くのを止めないなら、行けないようにしてあげる」___
あの言葉は、僕を塾に行かせるだけじゃないと言うことに、 僕はやっと気づいた。
そして そして…
僕が気づかなかった数日の間 悪意と好奇の目にのぞみさんは晒されていた。
居ても立ってもいられないけど、今の僕にはラインを送ることくらいしか出来ない。
こんな形だけの文字列で何が伝わるんだろう。
いつもはすぐ「既読」が付くのに、今日はなかなか付かない。
まだ大学で講義を受けているのだろうか。 今はアルバイトの時間なのだろうか。
それとも…
既読が付く前に
お母さんの電話が終わった。
柚月
柚月
ソファーに足を組んで座っていたお母さんは僕の顔を見ても表情を変えなかった。
鳴沢真由子
鳴沢真由子
微笑んだまま悪びれる風も無く毛先を弄り始める。
その姿に、 かつて吉田にビーズの猫を壊された時と同じ
いや それより強い感情が沸き上がった。
柚月
鳴沢真由子
お母さんは毛先を弄る手を止めると足を組み変えた。
鳴沢真由子
……家に居れば「外で時間を潰してろ」と言われる。
学校に行けば机やノートに落書きされる。
家にも学校にも居場所がなかったから、あの大学生の家に居場所を見出だした。
それは間違ってることだろうか。いけないことだろうか。
それはどんな言葉を並べても、きっと伝わらないだろうけど。
黙りこんだ僕に ひどく優しい声がかけられる。
鳴沢真由子
鳴沢真由子
柚月
鳴沢真由子
柚月
鳴沢真由子
お母さんの声が鋭く冷たくなった。 それでも気持ちが、言葉が溢れて止まらない。
柚月
鳴沢真由子
鳴沢真由子
柚月
お母さんは 話にならない、とばかりに大袈裟にため息をついた。
鳴沢真由子
鳴沢真由子
鳴沢真由子
鳴沢真由子
鳴沢真由子
柚月
鳴沢真由子
鳴沢真由子
鳴沢真由子
勝手すぎる。
でも泣き寝入りなんてしない。したくない。
これだけは、譲れない。
柚月
鳴沢真由子
僕はお母さんと違って、運命の出会いを信じるタイプ。
あの日言ってくれた 「何があっても大丈夫」が嘘にならないように
ずっと隣にいられるように
少しだけ、無理をする。
コメント
13件
ちょっとよろしいですか、ちょっと柚月くんのお母さんのこと、ブッ飛ばしてきてもよろしいですか... いますよね、世間体を気にして子供を束縛?する最低な親......まって、ブッ飛ばすだけじゃ足りない...この現状を動画に撮って世間にリークし((殴
お母さんが引き離そうとしているんですね…😥やっぱり子供のことも考えてくれないと…今回のお話も面白かったです!✨
やっぱりコメディーがあるからぐっと読みやすくなりますね!笑 コロスってカタカナで書いてあるとこも好きです笑