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読書の秋

第1話 - 読書の秋

216

2019年09月21日

#〇〇の秋

#恋愛

Mado

夏美(なつみ)

ねぇ、伸也くん

伸也(しんや)

なに

夏美(なつみ)

今度、家に行っていい？

伸也(しんや)

どうして

夏美(なつみ)

ほら、伸也くんってすごい数の小説持ってるでしょ？

夏美(なつみ)

見てみたいなー、って

伸也(しんや)

小説、興味あるの？

夏美(なつみ)

うん！あるよ！

伸也(しんや)

そう

伸也(しんや)

じゃあ、日曜日でいい？俺、そこしかあいてない

夏美(なつみ)

いいよ！

伸也(しんや)

ん、じゃ

夏美(なつみ)

バイバイ

こんな感じでいつも伸也くんと話していた

小説好きという“関係”で

伸也くんはよく、一部の小説家の言葉を使う

そこが、別の人とは違うところでとても印象に残る

日曜日

夏美(なつみ)

おじゃましま～す

夏美(なつみ)

おわぁ！整ってる！

夏美(なつみ)

いいなぁ～、こういう壁にドカッ！ってなってる本棚欲しいな

伸也(しんや)

狭く見えるぞ

夏美(なつみ)

いいの！狭く見えたって！

伸也(しんや)

ふ～ん、

伸也(しんや)

変わってるな

夏美(なつみ)

どこがよ！

こうやって日曜日はあっという間に過ぎてった

そして月曜日

夏美(なつみ)

おはよう、伸也くん！

伸也(しんや)

おはよう。朝から元気だな

夏美(なつみ)

当たり前でしょ！昨日あんなに幸せだったんだから！

伸也(しんや)

ふ～ん

夏美(なつみ)

んでさ！今日も行っていい？

伸也(しんや)

は？今日も？

伸也(しんや)

昨日、ほぼ１日いたろ？

夏美(なつみ)

いいじゃん！続きが気になるの！

伸也(しんや)

駄目だ。

伸也(しんや)

来週、来週

夏美(なつみ)

え！来週いいの！？

伸也(しんや)

っ、！あ、あぁ...

伸也(しんや)

まぁ、いいよ。来週来い

夏美(なつみ)

うん！

伸也(しんや)

はぁ、それにしても早く卒業してーなぁ

伸也(しんや)

ゲーテに『仕事は仲間をつくる』という言葉もあるし...

夏美(なつみ)

え、何で？

伸也(しんや)

だって金欲しいだろ

夏美(なつみ)

まあ、そうだけど...

夏美(なつみ)

稼いだお金で何に使うのよ

伸也(しんや)

小説を買うんだよ

夏美(なつみ)

そこまで小説？

伸也(しんや)

当たり前だ。

夏美(なつみ)

というか、今は電子書籍とかじゃない？

伸也(しんや)

電子書籍だと、味気無い

伸也(しんや)

紙1枚1枚に作家の思いが詰まっているんだ。電子書籍じゃ、伝わらない何もかも、な

伸也(しんや)

だから俺は紙の本を買うんだよ

夏美(なつみ)

へ～、

夏美(なつみ)

そこまで熱いなんて知らなかった

夏美(なつみ)

ずっと電子書籍読んでたから

夏美(なつみ)

今度、紙の本を買ってみるね！

伸也(しんや)

あぁ

帰宅

夏美(なつみ)

ふぅ～、本当スパルタ～

夏美(なつみ)

あーー！！本読みターイ

プルルル

夏美(なつみ)

ん？

夏美(なつみ)

誰から？

楓(かえで)

もしもし？久しぶり。楓だよ

夏美(なつみ)

楓くん！久しぶりだね！

楓(かえで)

夏美が元気そうでよかったよ

夏美(なつみ)

えへへ、何かテレるよ

楓(かえで)

あはは、

夏美(なつみ)

んで？どうしたの？

楓(かえで)

ああ、夏美さ、小説好きだったろ？

夏美(なつみ)

うん

楓(かえで)

お前の好きそうな小説、揃えたんだ

夏美(なつみ)

え！！そうなの！？

楓(かえで)

うん、だから今度来ない？

夏美(なつみ)

行く行く！で、いつ？

楓(かえで)

う～ん、

楓(かえで)

来週の日曜日かな？

夏美(なつみ)

え...

夏美(なつみ)

(どうしよう。その日伸也くんと約束しちゃった...)

楓(かえで)

ん？夏美？夏美？

夏美(なつみ)

あ！い、行くよ！

楓(かえで)

お！それじゃあ、日曜日！

夏美(なつみ)

うん！

夏美(なつみ)

・・・

夏美(なつみ)

ヤバ...

夏美(なつみ)

行くって言っちゃった.....

夏美(なつみ)

どうしよう

夏美(なつみ)

また連絡するか？

夏美(なつみ)

でも、さっき行くって言ったのにすぐ言うのはちょっとな....

夏美(なつみ)

う～ん

夏美(なつみ)

仕方ない

夏美(なつみ)

伸也くんには悪いけど、伸也くんを断ろ....

夏美(なつみ)

明日言わなきゃ...(ﾄﾎﾎ

夏美(なつみ)

ごめん！伸也くん！！

伸也(しんや)

・・・

伸也(しんや)

あ、朝一から謝られても分からないんだけど...

夏美(なつみ)

実は、元カレから来週の日曜日家に来る？って誘われて...

夏美(なつみ)

元カレ、私にあう小説が揃ってるって言っててさ

夏美(なつみ)

だから、なかなか断れなくて、

夏美(なつみ)

だからごめん！日曜日行けない！

伸也(しんや)

...そうか

伸也(しんや)

それは、俺へのつまらなさか？

夏美(なつみ)

え？

伸也(しんや)

俺の部屋にあった小説。

伸也(しんや)

お前には合わなくて詰まらなかったってこと？

夏美(なつみ)

そ、そんなことないよ！！

夏美(なつみ)

面白かったし！

伸也(しんや)

...そうか。

伸也(しんや)

まあ、楽しんでこいよ“元カレ”と

夏美(なつみ)

う、うん！

伸也(しんや)

・・・

日曜日、元カレの部屋

楓(かえで)

さ、あがって

夏美(なつみ)

うわぁ～！

夏美(なつみ)

あ！アニメのもある～！

夏美(なつみ)

哲学書も！！

楓(かえで)

哲学書は俺の単なる趣味

夏美(なつみ)

凄い趣味ね

楓(かえで)

・・・

楓(かえで)

ねぇ、夏美

夏美(なつみ)

ん？

楓(かえで)

久しぶりに会ってこんな話じゃあれなんだけど...

夏美(なつみ)

どうしたの？

楓(かえで)

俺等、もう一回付き合わないか？

夏美(なつみ)

・・・え？

楓(かえで)

俺等、やり直さない？

楓(かえで)

夏美と会えなくなると、本当に寂しかった...

楓(かえで)

だから...さ、

ドタッ！

楓(かえで)

っ！！

夏美(なつみ)

ご、ごめん。

夏美(なつみ)

来て早々だけど、帰る

ガチャン！

楓(かえで)

・・・

夏美(なつみ)

(え？楓くん？)

夏美(なつみ)

(やり直すって、また付き合うって...)

夏美(なつみ)

(まって、整理できない)

夏美(なつみ)

(どうしよう...)

ドンッ！

夏美(なつみ)

あっ、ごめんなさi

夏美(なつみ)

え、伸也くん？

伸也(しんや)

な、夏美

夏美(なつみ)

っ...

夏美(なつみ)

ごめんね

スタ、スタ、スタ、スタ

伸也(しんや)

待て！夏美！

ガシッ

夏美(なつみ)

な、何！？どうしたの？

伸也(しんや)

元カレと何があったんだ？

夏美(なつみ)

何も無いよ！！

伸也(しんや)

嘘を吐くな

伸也(しんや)

じゃあ、なんでこんなに汗かいてて、顔も赤くて、目を合わせないんだ？

夏美(なつみ)

そ、それは...

伸也(しんや)

話してくれ

夏美(なつみ)

・・・

伸也(しんや)

とりあえず、俺の家行く？

夏美(なつみ)

(ｺｸﾝ

伸也(しんや)

で、何があったんだ？

夏美(なつみ)

そんなに気にすることじゃないのに...

伸也(しんや)

俺は気にするんだ

伸也(しんや)

で、何

夏美(なつみ)

じ、実は、

夏美(なつみ)

さっき、家におじゃましたの

夏美(なつみ)

そしたら、部屋に入って早々『やり直さない？』って言われて...

伸也(しんや)

それって、もう一度付き合うって事か？

夏美(なつみ)

う、うん...

伸也(しんや)

で、返事は？

夏美(なつみ)

出来なかったよ...だから出ていったの

伸也(しんや)

そうか。

夏美(なつみ)

.....私、何も学んでないね...

夏美(なつみ)

駄々ばっかりこねて

夏美(なつみ)

何もできない

夏美(なつみ)

こういうとき、どうふればいいのか分からないの...

伸也(しんや)

そんなことはない

伸也(しんや)

ゲーテというドイツの詩人にこういう言葉がある

伸也(しんや)

『ただ、幸福のつかみかたを学べばよい。幸福はいつも目の前にあるのだ。』

伸也(しんや)

という言葉がな

夏美(なつみ)

幸福のつかみかたを学ぶ？

伸也(しんや)

そうだ

夏美(なつみ)

いつも目の前にって....

伸也(しんや)

・・・

夏美(なつみ)

どうしてこの言葉を選んだの？

夏美(なつみ)

伸也くんは...

伸也(しんや)

っ...！

伸也(しんや)

告白されて早々だけどな

伸也(しんや)

“小説好きの関係”じゃなくて

伸也(しんや)

“恋人としての関係”にならないか？

夏美(なつみ)

私で、、いいの？

夏美(なつみ)

約束を断れなかった私で

伸也(しんや)

いい

伸也(しんや)

あまりマイナスになるな

夏美(なつみ)

うん...

夏美(なつみ)

ありがとう！！

伸也(しんや)

で、返事は

夏美(なつみ)

恋人としての関係...

夏美(なつみ)

なる！！

伸也(しんや)

(ﾌｯ...

優しく微笑んだ伸也くん

微笑んだところ...初めて見た気がする...

これから一緒に、歩んでいくんだ！

ありがとう！神様！！

伸也(しんや)

お前のこと、守らないとな

夏美(なつみ)

えへへ、伸也くんに守られるのはなんか安心

伸也(しんや)

『安心、それが人間の最も近くにいる敵である。』

伸也(しんや)

ウィリアム・シェイクスピアの言葉だ

伸也(しんや)

余計に安心するのはよくない

夏美(なつみ)

そっか

夏美(なつみ)

何かあったら緩んじゃうもんね

伸也(しんや)

ああ

伸也(しんや)

お前の家、ここだったろ？

夏美(なつみ)

うん！ありがとう！

伸也(しんや)

別に、彼氏として当たり前の事をやっただけだ

夏美(なつみ)

でも、ありがとう！

夏美(なつみ)

じゃあね！

伸也(しんや)

じゃあな

私と伸也くんの関係は始まったばかり

恋愛素人の私が望みの高い伸也くんでいいのかと戸惑いつつも

付き合い続けています！

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Mado

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