樹
俺は、彼女を殺してしまった。
どうしたらいいか悩んだ挙句、近くの森に来た。
ここの土は柔らかくて、人が立ち寄るようなところではない。
死体を埋めるのに…ちょうどいいと思った。
樹
俺はそこから出る。
そして、その日から何日か経ってニュースを見ると、
自分が行った森で死体が発見された、というニュースが流れてきた。
なんでも、ちょうどそこの森のある土地は、開発のため伐採が行われるらしい。
調査のためにきた業者がそこの森にある死体を見つけたらしい。
俺は血の気が引いた。
いつ警察が来てもおかしくない。
その遺体が彼女のだと分かってしまえば、
すぐ身辺を調べられ、そしたら一発で自分のところに来る。
俺はその日から家の中に篭ってびくびく震えていた。
その次の日
樹
犯人が逮捕された、とニュース速報で流れてきた。
それまでに警察がたずねに来たこともない。
おかしい、誤認逮捕だろうか、そう思った。
だけど、ラッキーだとか、少し安心した気持ちの自分もそこにいた。
ニュースに映し出された犯人の顔は、
自分ではなかった。
…が、ニュースを見て、すぐに確信した。
そして、再び絶望した。
…そこに映し出された顔は、
一つだけではなかった。
どうやらあそこの森は、
死体を埋める人にとっては、とてもうってつけな場所だったらしい。
コメント
1件
怖さが伝わってきます! 面白いし分かりやすいな~なんて思いながら読んでました笑 フォロー押しときます!